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【オートモビル カウンシル2017】ロータリーエンジン誕生50周年の歴史を紹介するマツダブース

ル・マン24時間レースで総合優勝を収めた「787B」55号車など

2017年8月4日~6日 開催

マツダブース

 幕張メッセ(千葉県千葉市)で8月4日~6日に開催されている「オートモビル カウンシル2017」では、マツダが「飽くなき挑戦の歴史 -ロータリーエンジン誕生50周年-」をテーマにブースを出展している。

 ブースにはロータリーエンジンを搭載した「コスモスポーツ」や、1970年のスパ・フランコルシャン24時間レース参加仕様としてレストアされた「ファミリアプレスト ロータリークーペ」といった車両が展示されている。

「コスモスポーツ」のプロトタイプ。ロータリーエンジンの信頼性を確認する実走行テストを行なった車両を展示
1967年に発売されたマツダ初のロータリーエンジンを搭載したコスモスポーツの量産車。6年間でわずか1176台しか生産されなかったという
1978年に発売された「サバンナ RX-7」
2台並べられた「ファミリアプレスト ロータリークーペ」
こちらはノーマル仕様
こちらは1970年スパ・フランコルシャン24時間レース参加車仕様としてレストアされた車両。現在でもサーキットを走っているとのこと
「787B」1991年にル・マン24時間レースで総合優勝した55号車
ボディ後方は開いていて、搭載されているエンジンを見ることができる

 開催初日に行なわれたプレスカンファレンスでは、入社以来ロータリーエンジンとロードスターの開発に関わってきたというマツダ 商品本部 ロードスターアンバサダー 山本修弘氏が登場。ロータリーエンジンの歴史や、マツダが取り組んでいる初代「ロードスター(NA型)」のレストア事業について語った。

マツダ株式会社 商品本部 ロードスターアンバサダー 山本修弘氏

 ロータリーエンジンの歴史について、山本氏は「50年前にマツダが初めて市販化した『コスモスポーツ』から、2012年の『RX-8』の生産終了をもってロータリーの市販車はいったん途切れてしまい、今はロータリーエンジンを搭載した新車を目にすることはできません。ですが、先人が築いた歴史から“作り手の心”を感じ、語り継ぐのも大切なことではないでしょうか」とコメント。

 続けて、「ロータリーエンジン実用化の開発は6年間に及びましたが、それは1960年代に日本の自動車メーカーが再編されようとするなかで、マツダの生き残りをかけた闘いでした。1970年代の開発はロータリーエンジン撤退の危機を乗り越えるために、不死鳥の伝説になぞらえて社内では“フェニックス計画”と呼ばれました」。

ロータリーエンジンの歴史について話す山本氏

「これらは社運に関わる大きな出来事でしたが“モノ造りの技術によって世の中に貢献したい”というマツダの前身である東洋工業の創業者が抱いていた志や、マツダがある広島で戦後、復興をすすめた人々の困難に立ち向かうチャレンジ精神、そして“技術で叩かれたものは技術で返せ”をスローガンとする技術者たちの強い使命感で乗り越えることができた」と話した。

レストアされた「ロードスター」の車両と山本氏

 また、初代「ロードスター(NA型)」のレストア事業について「マツダ車を大切に長く乗りたいというお客様への感謝とその期待に応えたいという思いから、社内でタスクチームを結成して初代NA型ロードスターのレストアサービスの準備を進めました。ファンミーティングでの情報収集、ショップの皆さんやファンクラブのメンバーと意見交換を重ねた中で、強く要望のあった復刻させたい部品について検討をしてまいりました。今後の予定としては2017年内に受け付けを開始し、2018年初頭より実際のレストア作業を開始したいと思っています」と発表した。

 山本氏は最後に「いま私たちには“飽くなき挑戦”という開発スピリットがあります。マツダが目指したいのは、お客様の心をとらえて離さない魅力的なクルマを生み続けていくこと。そして、時代を超えてクルマを愛してやまない方たちと一緒に、クルマのある人生の“走るよろこび”を追求していくことです。私たちは今年誕生50周年を迎えたロータリーエンジンのヘリテージを大切に、これからも飽くなき挑戦を続けてまいります」と締めくくった。

プレスカンファレンス後に行なわれたフォトセッションの様子
展示されているのはレストアのトライアルを行なった車両で、1990年式NA型ロードスターのVスペシャル
タイヤは復刻版のブリヂストン製タイヤ「SF325」を装着
復刻されたものとなるため、製造はまだ新しい
復刻されたパーツも展示
ロータリーエンジン開発の歴史を紹介
ロータリーエンジンの動作モデルと2ローターエンジンの「10A」型が展示されていた。動作モデルはボタンを押して動かす
ロータリーエンジンの開発陣が“悪魔の爪痕”と呼んだ、エンジンパワーを低下させエンジンの寿命を縮めてしまう「チャターマーク(波状摩擦)」の現品も展示されていて、こちらは実際に触ることもできる