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ジャパン・トゥエンティワン、後付け衝突防止補助システムへの取り組みなどを示した「第5回モービルアイセミナー」

三菱ふそうは後付けの純正アクセサリーとして販売

2017年8月21日~25日 開催

ジャパン・トゥエンティワン株式会社 佐藤元気氏(写真右)、Mobileye Vision Technologie David Oberman氏(写真中央)、三菱ふそうトラック・バス株式会社 田中康博氏(写真左)

 ジャパン・トゥエンティワンは2017年8月21日~25日に、東京と名古屋、大阪のそれぞれで「第5回モービルアイセミナー」を開催した。

 モービルアイのADASシステムは日産自動車の「セレナ」などで採用されているが、アフターマーケット向けに後付け可能な衝突防止補助システムも提供している。具体的な製品としては、車両のフロントガラスに取り付けたカメラで前方車両や歩行者、車線を検知し、小型ディスプレイの表示や警報音でドライバーに危険を知らせる「Mobileye 570」がある。

Mobileye 570のカメラユニットと小型ディスプレイ

 今回、日本におけるモービルアイのマスターディストリビューターであるジャパン・トゥエンティワンと、三菱ふそうトラック・バスが提携し、三菱ふそうの全車両に後付けできる純正アクセサリーとして、モービルアイの販売を開始した。

ジャパン・トゥエンティワン株式会社 執行役 佐藤元気氏

 セミナーに合わせて実施された記者会見において、ジャパン・トゥエンティワンの佐藤元気氏は、モービルアイの衝突防止補助システムについて、「使ってもらえば絶対によさが分かるという自信がある。他社製品は汎用CPUを使っているため、パフォーマンスに制限があり、そういった部分が誤警報につながる。一方、モービルアイの製品は根幹の部分でASICを使っているため、高速に処理が可能だ」とした。

 また、モービルアイの製品は車速やウィンカー、ブレーキの信号を取り付けた自動車から取得している。このため、同様の機能を備えるドライブレコーダーなどと比較し、「車線逸脱時に意図した車線変更なのか、それとも意図しない車線逸脱なのかが判断できる」と優位性を説明する。

三菱ふそうトラック・バス株式会社 田中康博氏

 後付け衝突防止補助システムの需要について、三菱ふそうトラック・バスの田中康博氏は「このモービルアイの製品は既販車に対して取り付けられる利点がある。商用車は乗用車に比べて買い換えサイクルが長く、また三菱ふそうの既販車は100万台近くあるため、相応の需要が見込める」との認識を示した。また、海外での需要もあるとした上で「現地販売店の意見を聞き、どこで展開するかを検討している段階」と話した。

Mobileye Vision Technologie ディレクター David Oberman氏

 開発元であるMobileye Vision TechnologieのDavid Oberman氏は、「後付け衝突防止補助システムの需要は、2008年の段階で5年程度で尽きると言われていたがまだ伸びている。このトレンドはこれからも続くだろう」とした上で、特に韓国やインド、メキシコ、中国といった国でニーズが高まると予測した。

 モービルアイのADASシステムの中核にあるのは「EyeQ」と呼ばれる画像処理チップであり、Mobileye 570では「EyeQ2」というバージョンが搭載されている。今後、このチップのバージョンを引き上げ、「EyeQ4」ではさらに高度な処理を実現するとDavid Oberman氏は述べるとともに、「すでにEyeQ4のテストは始めており、2019年にはアフターマーケット向けの後付け衝突防止補助システムの製品のリリースを目標にしている。このチップを搭載した完成車の製造が始まるのは2021年頃になると思われる。EyeQ4では速度標識以外も認識できるようになるなど、より高度な処理を行なってドライバーを支援する」と話した。

 後付け衝突防止補助システムではブレーキの制御などは不可能なため、危険が迫った際の警報などに留まるが、不注意や居眠りなどを原因とする事故を防ぐ上で有効なのは間違いないだろう。実際、ジャパン・トゥエンティワンでは自社集計の結果として、モービルアイの後付け製品の装着後に追突事故の件数が82%減少したとの結果も公表している。このように安全に大きく寄与するシステムであるだけに、今後広まっていく可能性は高いだろう。

【お詫びと訂正】記事初出時、ジャパン・トゥエンティワン 執行役 佐藤元気氏の役職が間違っておりました。お詫びして訂正させていただきます。