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【スーパーフォーミュラ最終戦 JAF鈴鹿グランプリ】激しいウェット。コースアウト、赤旗中断が続出したフリー走行と予選Q1

決勝レースはキャンセルとなり、石浦選手がシリーズチャンピオンに

2017年10月21日 予選

2017年10月22日 決勝は中止

【スーパーフォーミュラ最終戦 JAF鈴鹿グランプリ】激しいウェット。コースアウト、赤旗中断が続出したフリー走行と予選Q1 レース1のポールポジションを決めたアンドレ・ロッテラー選手
レース1のポールポジションを決めたアンドレ・ロッテラー選手

 10月21日、「第16回JAFグランプリ 2017年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 最終戦」のフリー走行と予選Q1が鈴鹿サーキットで行われた。Q1ではアンドレ・ロッテラー選手(36号車 VANTELIN KOWA TOM'S/TOYOTA RI4A)がトップタイムをマークしたが、天候回復が見込めず、台風の接近も懸念されるため、予定されていたQ2、Q3と、22日のレース1、レース2はすべてキャンセル。Q1の結果を加味したうえで年間ランキングが確定し、2017年のシリーズチャンピオンには石浦宏明選手(2号車 P.MU/CERUMO・INGING/TOYOTA RI4A)が輝いた。

 ここでは、21日のフリー走行と予選Q1の模様をお伝えする。チャンピオンを決めた石浦選手のシリーズチャンピオン記者会見は別途詳報する。

本気のフリー走行、伊沢拓也選手がトップタイム

 午前中からウェットコンディションとなったこの日の朝、状況によってはフリー走行も予選も行なわれない可能性があった。その場合、前戦第6戦のシリーズランキング順で22日の決勝レース1のグリッドが決定するところだったが、無事フリー走行と予選Q1が実施された。

 しかしながら、激しい水しぶきの上がるコンディションにより、フリー走行開始から10分、中嶋一貴選手(37号車 VANTELIN KOWA TOM'S/TOYOTA RI4A)がスプーン手前でコースアウトしクラッシュしてしまう。この影響で赤旗中断となると、その後も断続的に走行を再開してはコースアウト、スピンが繰り返される。

【スーパーフォーミュラ最終戦 JAF鈴鹿グランプリ】激しいウェット。コースアウト、赤旗中断が続出したフリー走行と予選Q1 中嶋一貴選手はスプーン手前でスピンし、滑走してコース脇のクラッシュパッドに突っ込んだ
中嶋一貴選手はスプーン手前でスピンし、滑走してコース脇のクラッシュパッドに突っ込んだ

 結果的にフリー走行は実施されたとはいえ、雨の影響で万が一この後の予選が行なわれないことになってしまうと、フリー走行のファーストタイムとセカンドタイムの結果でレース1、レース2のグリッドが決まってしまう。それだけに、各マシンフリー走行とは思えない本気モードでラップ。

 そんな状況でトップタイムをマークしたのは伊沢拓也選手(41号車 DOCOMO DANDELION M41Y/Honda HR-417E)。ファーストタイムが1分54秒694、セカンドタイムが1分56秒099で、いずれも最速タイムを記録した。フリー走行自体はトータル4回の赤旗中断をもって、予定の60分より短い40分ほどで終えた。

【スーパーフォーミュラ最終戦 JAF鈴鹿グランプリ】激しいウェット。コースアウト、赤旗中断が続出したフリー走行と予選Q1 フリー走行でトップタイムをマークした伊沢拓也選手
フリー走行でトップタイムをマークした伊沢拓也選手

予選で繰り返される赤旗中断。ポールポジションは決まったが……

 午後、天候が回復しないため実施が危ぶまれた予選だったが、予定どおり最初のQ1は実施された。ところがスタートする頃から雨脚が強まり、開始3分で安全のため赤旗中断。およそ40分後に再開されるも、やはりマシンがコースアウトするたびに赤旗中断が繰り返される。Q1終了まで残り1分30秒のところでピエール・ガスリー選手(15号車 TEAM MUGEN/Honda HR-417E)が1コーナーをコースアウトし、再び赤旗となってそのままQ1は終了した。

 Q1の数少ないアタックラップをものにしたのはアンドレ・ロッテラー選手(36号車 VANTELIN KOWA TOM'S/TOYOTA RI4A)で、1分54秒395。本来はこの後Q2、Q3で上位グリッドが争われる予定だったが、Q1終了後に予選終了がアナウンスされ、ロッテラー選手がこの時点ではポールポジションに決まった。続く2番手は野尻智紀選手(40号車 DOCOMO DANDELION M40S/Honda HR-417E)、3番手は中嶋一貴選手(37号車 VANTELIN KOWA TOM'S/TOYOTA RI4A)だった。

【スーパーフォーミュラ最終戦 JAF鈴鹿グランプリ】激しいウェット。コースアウト、赤旗中断が続出したフリー走行と予選Q1 Q1のベストタイムを出したアンドレ・ロッテラー選手がレース1のポールを決めた
Q1のベストタイムを出したアンドレ・ロッテラー選手がレース1のポールを決めた

 レース2のグリッドはQ1のセカンドベストタイム順で決定されることになり、ヤン・マーデンボロー選手(20号車 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/TOYOTA RI4A)がスーパーフォーミュラで自身初のポールポジション。2番手はレース1に続き野尻選手、3番手には伊沢拓也選手(41号車 DOCOMO DANDELION M41Y/Honda HR-417E)が入った。

【スーパーフォーミュラ最終戦 JAF鈴鹿グランプリ】激しいウェット。コースアウト、赤旗中断が続出したフリー走行と予選Q1 セカンドベストタイムで全体のトップとなり、レース2のポールとなったマーデンボロー選手
セカンドベストタイムで全体のトップとなり、レース2のポールとなったマーデンボロー選手

 チャンピオンシップをリードする石浦宏明選手(2号車 P.MU/CERUMO・INGING/TOYOTA RI4A)は4番手タイム。0.5ポイント差でランキング2位のピエール・ガスリー選手(15号車 TEAM MUGEN/Honda HR-417E)は予選8番手。同4位の関口雄飛選手(19号車 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/TOYOTA RI4A)は13番手。同3位のフェリックス・ローゼンクヴィスト選手(7号車 SUNOCO TEAM LEMANS/TOYOTA RI4A)は走行記録が残らなかった。

進路を妨害されたロッテラー選手が不満を漏らす

 予選後の記者会見。レース1のポールポジションに決定したロッテラー選手が、「セーフティマージンを削ってリスクを負い、でも自分の運を試しながらアクセルを踏んで、あとは祈るしかなかった」と激しいウェットコンディションの予選を振り返った。

【スーパーフォーミュラ最終戦 JAF鈴鹿グランプリ】激しいウェット。コースアウト、赤旗中断が続出したフリー走行と予選Q1 記者会見で不満を口にしたロッテラー選手
記者会見で不満を口にしたロッテラー選手

 多くのドライバーが前方マシンとの距離と視界を確保してクリアラップをとろうと、わざと遅く走るせいで混雑する場面が見られた今回の予選。ロッテラー選手はアタックラップ中、前方でスローダウンした国本雄資選手(1号車 P.MU/CERUMO・INGING/TOYOTA RI4A)に接近し、避けるためにシケインを突っ切る形になって、ペナルティによりタイムが残らないというアクシデントもあった。

 これによりロッテラー選手はセカンドベストタイムが失われ、レース2のポールポジションを逃すような形になってしまった。「彼はすごく遅く走って僕の予選を妨害した。避けるために僕がペナルティをもらうことになったのはフェアじゃない。彼も同じようにペナルティを受けるべきじゃないか」と怒りを隠さなかった。

 セカンドベストタイムの結果、レース2のポールポジションに決まったマーデンボロー選手。スーパーフォーミュラではキャリア初のポールポジションとなり、「最高です」と切り出した。前日と当日朝のフリー走行で苦戦し、予選は賭けのようなものだったと言うが、「結果ポールポジションになってここ(記者会見場)に来られたのはスーパーハッピー。いい気分です」と話した。

【スーパーフォーミュラ最終戦 JAF鈴鹿グランプリ】激しいウェット。コースアウト、赤旗中断が続出したフリー走行と予選Q1 レース2のポールを獲得したマーデンボロー選手。スーパーフォーミュラでの初ポールだったが……
レース2のポールを獲得したマーデンボロー選手。スーパーフォーミュラでの初ポールだったが……

 Q1のベストとセカンドベストのいずれも2番手タイムだった野尻選手は、「もっと速いラップタイムを刻めたかもしれない」とわずかに悔しさをにじませながらも、表情は明るく、「すごく難しい予選だったが、そのなかでも今の自分の力をある程度出せたかなと思う」と語った。

【スーパーフォーミュラ最終戦 JAF鈴鹿グランプリ】激しいウェット。コースアウト、赤旗中断が続出したフリー走行と予選Q1 ベストタイムとセカンドベストタイムがいずれも2番手だった野尻選手
ベストタイムとセカンドベストタイムがいずれも2番手だった野尻選手

 予選3番手の中嶋一貴選手は、当日朝のフリー走行でクラッシュしたばかり。修理を予選に間に合わせたメカニックに感謝しながらも、「(そのせいで)アンドレと違って、朝の時点で今日は運がないなというのが見えていた」ことから、リスクを負えなかったのが3位という結果になったのではないかと悔やんでいた。

【スーパーフォーミュラ最終戦 JAF鈴鹿グランプリ】激しいウェット。コースアウト、赤旗中断が続出したフリー走行と予選Q1 予選3番手タイムだった中嶋一貴選手
予選3番手タイムだった中嶋一貴選手

 レース2の3番手スタートとなる伊沢選手は、直前まで記者会見場に来ることになると思わず、もう着替え終わっていたと打ち明けた。「こういう難しい予選をしっかり準備して、タイムを出したロッテラー選手はすばらしいと思う」とレース1のポールシッターに賛辞を送りつつ、「朝(のフリー走行で)調子がよかったのに(予選では)力を出せなかった不完全燃焼な思いもあるが、これが自分の力だと思う」と冷静に自己分析していた。

【スーパーフォーミュラ最終戦 JAF鈴鹿グランプリ】激しいウェット。コースアウト、赤旗中断が続出したフリー走行と予選Q1 セカンドベストタイムで全体の3番手だった伊沢選手
セカンドベストタイムで全体の3番手だった伊沢選手

 予選後の記者会見が終了してからしばらくして、レース運営の日本レースプロモーションから10月22日の決勝レースをすべてキャンセルするとの発表があり、予選のポールシッターが獲得したポイントを加味したうえで年間ポイントランキングが確定した。チャンピオンは33.5ポイントの石浦選手。2位はピエール・ガスリー選手(15号車 TEAM MUGEN/Honda HR-417E)で、ルーキーオブザイヤーも獲得。3位はローゼンクヴィスト選手となった。

【お知らせ】鈴鹿サーキットで10月22日に開催予定の決勝レースは台風接近に伴い中止になりました。これに伴い鈴鹿サーキットではチケットの払い戻しを実施しています。詳細は鈴鹿サーキットのWebサイトを参照ください。