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オン・セミコンダクター、車両の電動化などに向けた事業戦略記者説明会

日本ではオートモーティブ事業をはじめ4つの柱に注力

2017年12月5日 開催

オン・セミコンダクター コーポレートストラテジ、マーケティング&ソリューションエンジニアリング担当上席副社長 ディビット・ソモ氏

 オン・セミコンダクターは12月5日、自動車向けソリューションを中心とした同社の事業戦略についての説明会を開催した。

 同社は半導体技術を使いながら、自動車の電装化や自動運転、ロボット化する産業機器、IoTを牽引する通信などの分野に注力してビジネスを展開している企業。

 説明会にはオン・セミコンダクター コーポレートストラテジ、マーケティング&ソリューションエンジニアリング担当上席副社長 ディビット・ソモ氏と、オン・セミコンダクター 日本地区セールス担当副社長兼オン・セミコンダクター 代表取締役社長 滝口修氏が出席して、同社の戦略を話した。

 ソモ氏からは、オートモーティブ市場のおける同社のソリューションなどについて説明され、現在「オートモーティブ」「インダストリアル」「コミュニケーション」「コンシューマ」「コンピューティング」といった同社の5つの事業領域において、オートモーティブセクターについては全体の売上の30%を占めることが示された。

「オートモーティブ」「インダストリアル」「コミュニケーション」「コンシューマ」「コンピューティング」といった同社の5つの事業領域

 ソモ氏は、現在のオートモーティブ市場においては、自動走行車、コネクティッドカー、車両の電動化といったメガトレンドがあることを紹介するとともに、同社ではそれらに対応するソリューションを備えていることを強調。

 同社は「パワー&バッテリマネジメント」「アクチュエータ」「ディスクリートコンポーネント」「センサインタフェース」「センサ」といった領域で製品を提供しており、ソモ氏は「自律運転車の根幹を支える、マイクロコントローラを除くすべての要素を提供している」と話した。

 同社は自動運転の領域については「イメージセンサ」「超音波センサ」「レーダセンサ」といった製品を提供しており、ソモ氏は「車載イメージセンサでは世界各国市場で50%のシェアを占めております」と紹介。

 また、将来的な自律走行車の実現のためには複数のセンサーが必要との考えを示し、レーダー技術としてはIBMのHaifa研究チームを買収したことを紹介。また、レーダとイメージセンサーを組み合わせた同社のソリューションを示し、「より自動車が走行している環境を的確に捉え、レーダーとイメージセンサーの強みを融合したソリューションを提供できる」と強調した。

 そして車両の電動化に向けた事業領域について、ソモ氏は「2016年にフェアチャイルドを買収することにより車両の電動化、電装化の領域におけるさまざまな製品において優位性を担保している」と話し、車両の電装化については「メインドライブ」「パワーステアリング」「12V~48V DC-DC」「HVロード」「ファン、ポンプ&コンプレッサ モータコントロール」「オンボードチャージャー」「バッテリマネジメント」などの領域でリーダーシップを確保していると強調した。

プレゼンテーションで示されたスライド

日本で注力する4つの事業領域

オン・セミコンダクター 日本地区セールス担当副社長兼オン・セミコンダクター株式会社 代表取締役社長 滝口修氏

 日本における事業展開については滝口氏が説明。国内の従業員数は約1200名であること紹介するとともに、国内にある東京、群馬、岐阜の拠点には、開発チームを含めた製品事業部を有しており、「お客様がカスタム化をしたいといった場合にも、これらの拠点にいる日本のエンジニアと日本語で詰めを行なっていくことができるのが、他社との差別化ポイント」と滝口氏は話した。

 品質面においては、滝口氏は「群馬の敷地には品質部門と解析部門を有しており、我々の会社の方針として日本市場に出荷された製品は基本的には群馬で解析を完結する」とコメント。

 さらに、滝口氏は「日本の中でのメイドインジャパンにこだわり続けている」と、新潟に製造施設(自社ファブ)を有していることを紹介するとともに、製造パートナーとなる会津富士通セミコンダクターマニュファクチャリングについては、「先日発表したとおり40%に出資比率を引き上げるとともに、2020年中、2021年前半には我々の小会社として展開していく」との考えを述べた。

 また、滝口氏からは、日本で注力する事業領域として「オートモーティブ」「(家電等の)日本の特徴的なアプリケーション」「中核的なインダストリアルFA&ロボット」「ブロード&エマージングマーケット」という、4つの柱が示された。

日本で注力する事業領域として示した「オートモーティブ」「(家電等の)日本の特徴的なアプリケーション」「中核的なインダストリアルFA&ロボット」「ブロード&エマージングマーケット」

 滝口氏は「オートモーティブはコーポレートでも最大の売上を有するセグメントで、ここは日本市場でも重要視されており、経営資源を集約して成長していく。今までのビジネスは、従来型の自動車、例えばイグナイター、ドアコントロールモーター、パワーステアリングといったものに軸足を置いてきたが、今後は成長の柱となる、電動パワートレーン、LEDのライティング、ADAS、さらには自動運転車」などと、今後の展望を示した。

 また、2016年に買収したというフェアチャイルドに触れた滝口氏は「これまで弊社の製品ポートフォリオでは、産業機械ロボティクスの全ての領域をカバーできなかった。今回、フェアチャイルド買収により、11月にはシステムまで含めてインテグレートして、我々はコーポレートとタイアップして日本市場に参入していく」との意気込みを述べた。

 さらに、ブロード&エマージングマーケットについて滝口氏は「マスマーケットやブロードマーケットだけでなく、将来の私共の成長を支える、スーパースターのお客様、マーケット、テクノロジーがあると考えて、4本目の経営の柱を置きたい。最近の例で言うと、アメリカのテスラさんは数年前まではここまで成長する会社とは思わなかったはず、アプリケーションもここまで成長するとは思わなかった。こういったものを日本発信型のビジネスとして展開していきたい」と語った。

 説明会のまとめとして、滝口氏は「弊社は半導体テクノロジーを使って、エネルギー効率の高い、イノベーティブで、グローバルでマルチ市場に向けた広範囲なサプライヤーに成長できたと自負を持っている。今後立ち上げるオートモーティブのアプリケーションにおいて、マーケットリーダーとしての位置付けを築いていく」との意気込みを示した。

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