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室屋義秀選手「もちろんワールドチャンピオンを獲る」と誓った2018シーズンキックオフ記者会見

レッドブル・エアレースは2月2日~3日開催の第1戦アブダビ(UAE)で開幕

2018年1月18日 開催

室屋義秀選手の2018シーズンキックオフ記者会見

 世界最高の飛行技術を競う「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」で2017年シーズンのチャンピオンとなった室屋義秀選手は1月18日、都内で会見を開いて2018シーズンに向けての意気込みなどを語った。

 室屋選手が参戦する「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ 2018」は、すでに年間の開催カレンダーが公開されており2月2日~3日にアブダビ(UAE)で開幕する。第3戦ヨーロッパ、第5戦アジア、第8戦アジアの開催地については後日発表としている。

Red Bull Air Race World Championship 2018シーズン レースカレンダー

Red Bull Air Race World Championship 2018シーズン レースカレンダー

第1戦 2月2日~3日:アブダビ(UAE)
第2戦 4月21日~22日:カンヌ(フランス)
第3戦 5月26日~27日:ヨーロッパ(開催地は後日発表)
第4戦 6月23日~24日:ブダペスト(ハンガリー)
第5戦 8月4日~5日:アジア(開催地は後日発表)
第6戦 8月25日~26日:カザン(ロシア)
第7戦 10月6日~7日:インディアナポリス(米国)
第8戦 11月:アジア(日程と開催地は後日発表)

室屋義秀選手の2018シーズンキックオフ記者会見

 MCとのトークイベント形式で行なわれた会見では、2017年シーズンの年間チャンピオンを争っていたマルティン・ソンカ選手との対決で、最後の最後で逆転優勝という劇的な結果で終えた最終戦ついて、室屋選手は「タイトルうんぬんよりも、(ソンカ選手と)もう1回対戦できるのが楽しかった。気づいたら信じられないタイムが出ていた」などと振り返った。

 現在の機体の状態について、室屋選手は「最終戦の翌日にはカリフォルニアに持っていき、整備をはじめました。ポルトガルで機体のフレームに損傷を受けて補修をしていたのですが、このへんの復旧のためエンジンまで下ろしてバラバラの状態にしました。結局、フレームは補修で済まず、機体をコンディションのいい状態に戻すのにかなり時間がかかりました」と報告した。

整備中の機体の様子
新シリーズに投入予定のエンジンカウル

 会場では新シリーズに投入予定のカウリングが公開され、室屋選手は「アブダビ戦の前にテストをする予定だったのですが、修理の行程で1カ月程度遅れが出て、アップデートは途中までといった状況で、アブダビ戦には投入せずにいく計画になりました。エンジンの冷却性能がよくなるという新しいカウリングができているのですが、フランスでテストをして第2戦カンヌ以降、投入しようと思います」と話し、後半にはウイングレットを投入する考えを示した。

 また、2018年シーズンはルール変更が実施される。これまでのレースでは10G以上のGフォースを0.6秒以上記録したパイロットは自動的にDNF(途中棄権)になっていたが、2018シーズンからはDNFの代わりに2秒のペナルティが科されることになる。この変更により、マスタークラスパイロットは10Gを超えてもレースを続けられるが、12Gを超えた場合はこれまでと変わらずDNFになる。

 このオーバーGのルール変更について、室屋選手は「自分はけっこう引っかかっていたほうなんですが、2年前だったらよかったのに。今は引っかからないテクニックを身に着けたので、変えなくてもいいのにと思いますが……。2秒のペナルティがあるので、実際は勝負は決まったに等しいのですが、最後まで飛べるのでお客さんにはよいことだと思います」と感想を話した。

 新シリーズへの意気込みについて、室屋選手は「新チームも加入して、機体も冬の間にアップデートされて、アブダビで蓋を開けてどうなるのかが楽しみ。昨年のことはさておいて、新しいシーズンは1から取り組みたい。昨年の経験は大きく生きてくると思うので、そのぶん他のチームより有利だと思います。もちろんワールドチャンピオンを獲るということで取り組んでいますので、楽しいシーズンになると思います」と意気込みを述べた。

 一方、この会見では室屋選手の国内における活動についても紹介された。室屋選手はエアショーへの参加のほか、航空の体験・学習を通じて未来の航空文化・産業を担う「航空人」の育成を目指したプロジェクトをスタートさせるといい、室屋選手のホームベースとなるふくしまスカイパークには拠点となる施設も建築予定とのこと。

ビジョン2025としてふくしまスカイパークに建設を計画している施設
航空教室などの開催を計画している

 室屋選手は「エアレースはこれからも続けていき、もちろん今年も優勝を目指しますが、世界チャンピオンを獲れたのはいろいろな人の支えがあって世界一に届いたと思っています。これからは次の世代に贈っていくのが世界一を獲った使命だと思っていて、次の世代に伝える活動に力を入れて行なっていきたい」と話すとともに、「我々はビジョン2025として、2025年に向けた活動を昨年より開始しているのですが、ふくしまスカイパークに航空教室が行なえる施設が夏から秋にはできる予定です。ここで定期的に講座を開いて、将来的に航空に携わる人が出てくればいいなと思っています。人づくりと合わせた産業づくりとして、ふくしまスカイパークには小型航空機の製造会社が進出してきますし、日体大のパイロット養成が2020年から始まったり、2025年に向けた産業づくりと人づくりを進め、それが育つまでの間を我々の活動で埋めていきたい」との展望を話した。