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ヤフー、社長交代を発表。新社長の川邊健太郎氏「データドリブンカンパニー」を目指す

宮坂学氏は取締役会長と新会社「Zコーポレーション」代表取締役に就任

2018年1月24日 発表

左からヤフー株式会社 代表取締役社長 社長執行役員 最高経営責任者 宮坂学氏、副社長執行役員 最高執行責任者 コマースグループ長 川邊健太郎氏

 ヤフーは1月24日、代表取締役社長の宮坂学氏に代わり、副社長執行役員の川邊健太郎氏がCEOに就任する4月1日付け新執行体制を発表した。川邊氏は、6月に開催予定の第23回定時株主総会終了後、取締役会の決議を経て代表取締役社長に就任予定。

 同日、記者会見が開催され、代表取締役社長の宮坂学氏と、副社長執行役員の川邊健太郎氏が登壇して新体制に移行する狙いや意気込みなどを話した。

 2012年にヤフーの代表取締役社長 CEOに就任した宮坂氏は、PCで利用されるヤフーからスマートフォンで利用されるヤフーへの移行へ取り組むとともに、メディア事業に加えてコマース事業の業容拡大を図り、コマース事業関連の売上高は2011年度の1079億円から2016年度は5117億円に、eコマース国内流通総額は、9908億円から1兆8529億円と約2倍に増加させるなど、中核事業の多角化に取り組んできた。

ヤフー株式会社 代表取締役社長 社長執行役員 最高経営責任者 宮坂学氏

 宮坂氏は「6年が経ち、スマートフォンで利用される方も増え、eコマースも順調に成長することができた。まだまだ途中段階で油断できる状況ではないが、ある程度前進ができたと思っている。一方、インターネットはグローバルでも国内でも市場環境が大きく変化している。これからYahoo! JAPANが10年~20年成長するには、6年前に掲げたスマートフォンで使ってもらえるヤフー、eコマースでも強いヤフーというようなテーマに変わり、新しい挑戦テーマが必要な時期。新しい挑戦にするには新しいリーダーシップで行なうのが適切であると考えた」と社長交代の理由を述べた。

 新しいリーダーとして代表取締役社長 CEOに就任予定の川邊氏は、新たな挑戦として2018年度から「スマートフォンで利用されるヤフー」という目標に加えて「データドリブンカンパニー」になることを目指すとしている。

 川邊氏は「インターネットにはまだまだ伸びしろがあり、ヤフーの中核事業であるメディア事業、コマース事業についてもまだまだ伸びしろがあると考えている。ヤフーの社長として、誰かがやる前に新しい未来を作っていきたい、世の中から“ヤフーは常に新しいことを体験させてくれる会社だよね”と言われるようになりたい。だからヤフーとして全社員一丸となって事業の拡大と未来の創造に取り組んでいきたい」との抱負を述べた。

 今回発表された新体制では、CEOとCOOを統合してワントップで意思決定と執行を行なうとともに、今回選任し、4月1日から就任する新しい常務執行役員と共に全社一丸となって新たな挑戦と事業の拡大・成長に取り組んでいくとしている。

ヤフー株式会社 副社長執行役員 最高執行責任者 コマースグループ長 川邊健太郎氏

 川邊氏は「(現在のヤフーについて)若手ベンチャーとテックジャイアントと呼ばれるグローバル企業との両ばさみの状態。ベンチャーに対してはユーザーの多さ、組織力、資金力で戦っていく。一方、テックジャイアントにどう対抗していくのかはデータの力が重要になる。こと日本に関しては、Yahoo! JAPANは日本に住まれる方が最も利用しているサービスであり、日本の方についてデータを持っている会社。データの利活用でテックジャイアントに競り勝っていく」との考えを述べた。

 また、ベンチャー企業が立ち上げる新領域への対応について、川邊氏は「ベンチャーにやられている構造を経営者が理解することが重要。構造が理解できれば6000人の社員がいてその半分はエンジニアなので、意思決定ができればそれに集中させるといったことができるはず。サービスに関してはCOOとしてこの6年間でサービスの統廃合は集中してやってきて、ある程度できていると考えている。今後はサービスの統廃合というより、既存サービスにかかるオペレーションをIT化、AI化による自動化でリソースを稼いで、ベンチャーに対抗するのが道筋ではないか」との考えを示した。

 今後、取締役会長に就任予定の宮坂氏は、新会社「Z(ゼット)コーポレーション株式会社」の代表取締役にも就任して、ヤフーの事業と切り離した新領域へ挑戦するという。

 その新領域については宮坂氏は「ヤフーではこれだけの投資をしてこれだけのリターンがあるといった確実性が求められる。(新会社では)漠然とあるのは自分たちの意思ありきで、自分たちのやりたいことをITで実現できること、あるいは今話題のあるテーマを選ぶかもしれないが、まずは自分たちがやりたいことをしっかり見定めていきたい」とした。

川邊健太郎(カワベ ケンタロウ)氏の略歴
1974年10月19日生

1996年12月:
(有)電脳隊取締役

1999年9月:
(有)電脳隊代表取締役社長

1999年12月:
ピー・アイ・エム(株)取締役

2000年8月:
ヤフー入社
Yahoo! モバイル担当プロデューサー

2007年1月:
ヤフーYahoo! ニュースプロデューサー

2009年5月:
(株)GyaO(現GYAO)代表取締役

2012年4月:
ヤフー 最高執行責任者(COO)
執行役員兼メディア事業統括本部長

2012年7月:
ヤフー 副社長 最高執行責任者(COO)
兼メディアサービスカンパニー長

2014年6月:
ヤフー 取締役副社長
最高執行責任者(COO)常務執行役員

2015年6月:
ヤフー 副社長執行役員
最高執行責任者(COO)

2017年4月:
ヤフー 副社長執行役員
最高執行責任者(COO)
兼コマースグループ長(現任)