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横浜ゴム、100年の最高傑作となるトラック・バス用オールシーズンタイヤ「710R」発表会

耐摩耗性能20%以上向上など、山石社長「100年の技術力を盛り込んだ」

2018年2月28日 開催

トラック・バス用オールシーズンタイヤ「710R」と横浜ゴム株式会社 代表取締役社長 山石昌孝氏

 横浜ゴムは2月28日、3月に発売するトラック・バス用オールシーズンタイヤの新商品「710R(ナナイチマル・アール)」の発表会を開催。同社代表取締役社長 山石昌孝氏が登壇して新商品の位置付けなどを示した。

 新商品の710Rは、同社従来品「ZEN 701ZE」との比較で耐摩耗性能を20%以上向上、空荷時ウェット発進スリップ性能を57%改善するとともに、ウェット制動性能や雪上性能も従来品同等レベル以上を確保したトラック・バス用オールシーズンタイヤ。発売サイズは全10サイズで、価格はオープンプライス。

横浜ゴム株式会社 代表取締役社長 山石昌孝氏

 発表会の冒頭に挨拶をした山石氏は「先日、2020年までの新中期経営計画『GD2020』の詳細を発表しました。GD2020は、横浜ゴムの強みを再定義して独自路線を強めた各事業の成長戦略を通じた経営基盤を強化することで、2020年代でのさらなる飛躍に備えることを目指したもの。その中の柱としてタイヤ生産財事業の強化を掲げている」と述べた。

 その新中期経営計画「GD2020」では、タイヤ生産財事業は2016年に買収したアライアンスタイヤグループの農業機械用タイヤ、林業機械用タイヤ、2017年に買収した愛知タイヤ工業の産業車両用タイヤ、横浜ゴムの建設車両用タイヤなど、オフハイウェイタイヤを成長の柱としてタイヤ生産財の事業ポートフォリオの拡充を図るとともに、トラック・バス用タイヤでは米国ミシシッピ州に建設した最新鋭の設備を持つトラック・バス用タイヤ工場を活用して、世界最大級の市場を持つ北米市場での拡販を目指すとしている。

 同社のトラック・バス用タイヤ事業に関して、山石氏は「商品面では、独自技術である『スパイラループ』と呼ぶベルト構造を採用した超扁平シングルタイヤをさらに展開していく。超扁平シングルタイヤを従来のデュアルタイヤから置き換えることで、タイヤの軽量化による燃費の向上、小型化による積載量の増加に貢献する。それ以外の商品でも今後さらに市場のニーズをひろいあげて、お客さまの満足頂ける商品の展開を図る」とした。

 今回発表する710Rはその第1弾の商品との位置付けで、山石氏は「国内では10年ぶりとなる大型商品で、弊社100年の技術力を盛り込んだ耐摩耗性能を重視したオールシーズンタイヤ。新商品はトレッドデザイン、プロファイル、コンパウンドなどを見直して、経営者がお求めになる耐摩耗性、耐偏摩耗性、経済性に関わる性能を大幅に向上し、ドライバーの方々が不満に感じておられる空荷時の安全性も大幅に改善した。経営者の皆さまとドライバーの皆さま、両方の要望を両立したオールシーズンタイヤ」と紹介した。

トラック・バス用オールシーズンタイヤ「710R」
トラック・バス用オールシーズンタイヤ「710R」

横浜ゴムのトラック・バス用オールシーズンタイヤ最高傑作

横浜ゴム株式会社 TBR製品企画室 製品企画グループリーダー、八木田雅典氏

 発表会では710Rの商品ポジション、商品概要、搭載技術、商品特性、発売予定サイズについて、同社 TBR製品企画室 製品企画グループリーダー、八木田雅典氏が説明。新商品について八木田氏は「『ヨコハマオールシーズンの最高傑作 100年の力』のキャッチフレーズには、100周年を迎えた弊社の歴史の中でオールシーズンのカテゴリーで最高の商品ができた、そのような思いを込めた」と述べた。

商品ポジショニング。将来的に低燃費性能を重視した商品は、乗用車で展開する低燃費タイヤ「BluEarth(ブルーアース)」ブランドで展開

 710Rの商品ポジショニングについては、耐摩耗性能を重視した現行商品「ZEN 701ZE」「TY287」に続く高付加価値商品との位置付け。一方、低燃費性能を重視した「ZEN 702ZE-i」に続く商品としては、将来的に乗用車で展開してる低燃費タイヤ「BluEarth(ブルーアース)」ブランドで展開していくことが示された。

 新商品の710Rについて、八木田氏は「経営者の方が確実に実感できる耐摩耗性能の向上として20%を設定した。また、ドライバーが不安に思う発進時のスリップについて改善。そして、ワイドトレッド化による力強いビジュアル」が新商品の特徴であると語り、新パターンデザインや専用のC’ROLLコンパウンドを採用したことを紹介。

開発コンセプト
摩耗/偏摩耗を抑制し、空荷時の安全性の改善に貢献する専用トレッドパターンを採用
耐摩耗性能とウェット性能向上に寄与する新コンパウンド

 新たに採用されたパターンでは、ワイドトレッドデザインを採用することで接地面積を増加させ耐摩耗性能を向上、トレッド幅をZEN 701ZEの230mmに対して710Rでは236mmと拡大、接地面積を13%増加させた。また、センターの「Z」ブロックや互い違いのブロック配置「千鳥ブロックレイアウト」によりヒールトウ摩耗を抑制。そして、空車時のグリップを向上するためにセンターブロックの面積を増加した「ワイドセンターブロック」、空車時の排水性を改善するため外側よりも太いセンターグルーブ「ワイドセンターグルーブ」を採用した。

 新しいコンパウンドでは、耐摩耗性に優れるポリマー、ウェット性能に優れるシリカ、C’ROLL製法(低温高せん断)を取り入れることにより、コンパウンド性能では耐摩耗性能で10%以上向上、空車時ウェット発進スリップ性能で27%向上。タイヤ全体として耐摩耗性能で20%以上向上、空車時ウェット発進スリップ性能で57%向上を実現したという。

空荷時ウェット発進スリップ性能の試験内容
新製品710Rと従来品ZEN 701ZEの比較。耐摩耗性能120%、空車時ウェット発進スリップ性能157%、ウェット制動性能103%
耐摩耗性能の向上を示すスライド
ワイドトレッド化による力強いビジュアルも特徴の1つ

 従来品ZEN 701ZE比で57%の改善をしたという「空荷時ウェット発進スリップ性能」については、ウェットの低ミュー路において6-21km/h加速のスリップ率を平均化して指数化したものと八木田氏は解説。

 八木田氏は「耐摩耗性能、空荷時ウェット発進スリップ性能、ビジュアル、いずれも従来品のZEN 701ZEを大きく上まわる性能。これらはお客さまや経営者の方が確実に実感できる性能差であると確信している」とまとめた。

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