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アウディ、一般ドライバーがスーパー耐久にスポット参戦可能な「Audi driving experience」新プログラムを発表
「ドライビングスキルを磨く楽しみを提供したい」と、斎藤社長
2018年3月24日 16:44
- 2018年3月24日 発表
アウディ ジャパンは3月24日、SUPER GT公式テストを開催中の富士スピードウェイにおいて、2018年度のモータースポーツ活動「Audi customer racing 2018」体制発表会を開催した。また、この発表会のなかにおいて、アウディのドライビングレッスンプログラム「Audi driving experience」からスーパー耐久レースにスポット参戦できるという「Audi race experience」プログラムを新たに始めることを発表した。
Audi Sportの5つの柱
発表会においては、アウディ ジャパン代表取締役社長 斎藤徹氏が登壇。モータースポーツ活動を代表するAudi Sportの取り組みについて語った。Audi Sportには5つの柱があるという。1つ目はAudi Sportを代表するスポーツカーであるR8 RSモデル、2つ目はアウディのレーシングモデルを供給するカスタマーレーシング、3つ目はアウディ自身がレーシング活動を行なうワークスレーシング、4つ目はAudi Sport関連のグッズを販売するAudi Sport コレクション、5つ目はAudi Sportが開発したパフォーマンスパーツを販売するAudi Sport パフォーマンスパーツになる。
このAudi Sportは、代表車種であるR8 RSをはじめ10の車種で構成。2018年はRS4 アバントが加わり11車種で展開していく。R8シリーズは世界で3000台を販売しているが、日本でも販売好調で2017年は97台を販売。2400万円以上する高価なクルマであることを考えると、この販売台数が伸びているのはアウディブランドの強さを示しているともいえる。
Audi Sportとしてのレース活動は、フォーミュラ E、ラリークロス、DTMがあり、日本ではレーシングマシンを供給するカスタマーレーシング活動としてSUPER GT GT300クラス、スーパー耐久シリーズに参戦。斎藤社長とともにチーム紹介が行なわれた。
SUPER GT GT300クラス
21号車 Audi Team Hitotsuyama(Hitotsuyama Audi R8 LMS)、リチャード・ライアン選手、富田竜一郎選手、篠原拓朗選手
26号車 Team TAISAN(TAISAN R8 FUKUSHIMA)、山田真之亮選手、川端伸太朗選手
スーパー耐久
19号車 バースレーシングプロジェクト(Audi Mie RS3 LMS)、ひろぼん選手、YOSSY選手、古宮正信選手、山脇大輔選手、秋吉圭選手、奥村浩一選手、サポート 篠原拓朗選手
45号車 Audi Team Dream Drive Noah(プリズマ☆イリヤ RS3 LMS)、竹田直人選手、白坂卓也選手、田ヶ原章蔵選手、奥村佳之選手
75号車 Audi Team Dream Drive Noah(m-1 CARFACTORY RS3 LMS)、塚田利郎選手、蘇武喜和選手、清瀧雄二選手
82号車 Phenix Racing Asia(Phenix Racing Asia R8)、アレックス・アウ選手、ショウン・トン選手、アレックス・ユーン選手
83号車 Phenix Racing Asia(Phenix Racing Asia R8)、リム・キョンウィー選手、マーチー・リー選手、メルビン・モウ選手
81号車 J-Fly Racing by Phenix Racing Asia(J-Fly Racing R8)、ジェフリー・リー選手、アンドレ・クート選手
SUPER GTは2台、スーパー耐久は6台という、2017年より大幅に強化した体制でAudi Sportとしてのカスタマーレーシング活動を行なっていく。とくに26号車 Team TAISANでは、元F1ドライバーの中野信治氏がスーパーバイザーとして加入。若手ドライバーが戦いやすい環境を作っていくとのことだ。
アウディのドライビングレッスンの先にスーパー耐久参戦の道筋
プロドライバーによるレーシング活動を積極的に行なっていくアウディ ジャパンだが、今回の発表会では一般のドライバーに対する大きな発表も用意されていた。
アウディは「Audi driving experience」として、日常の安全運転に役立つ「Active safety(アクティブ セーフティ)」から、ドイツ本国にあるAudi Sportの本拠地のサーキットでAudi R8のドライビングを体験する「R8 experience tour」などさまざまなレベルのプログラムを用意。その中にはモータースポーツを楽しめるプログラムもあり、サーキット未経験の人でも楽しみながらサーキットドライビングを行なえ、ドライブテクニックを身に着けられるものなどもある。
その上級プログラムとしてサーキットでタイムトライアルを行なう「Circuit trial Time trial session」というアウディ ジャパン独自開発のものがあり、斎藤社長によると2018年シーズンはこのCircuit trial Time trial sessionの優勝者1名に、スーパー耐久シリーズにAudi RS3 LMSのドライバーとしてスポット参戦できる権利を提供するという。つまり、トライアルで1番時計を叩き出せば、プロドライバーが競うスーパー耐久にジェントルマンドライバーとして参加できることになる。これはアウディ ジャパンからのビッグなプレゼントとして、いろいろな形で励みになるだろう。
このような特別賞を設けた理由として、斎藤社長は「ドライビングスキルを磨く楽しみを提供したい」と語ったほか、モータースポーツの裾野を広げる役割を担う強い意思を示した。
斎藤社長は、「自動車業界というか、みなさまの関心はとかく自動運転、コネクティビティとかそちらのほうに向いているところですが、自動運転はもちろん、その時代がやってくるのでアウディとして研究医開発をきちっと進めて、リードしていきたいと思います。一方で、自動運転が進めば進むほど、我々がクルマを操る必要のない世界が出てくると、クルマが本来持っている、ドライブして操縦して楽しむという部分が自動運転では難しくなっていきます。加えて、今の市販車は本当に性能がよくなっていて、なかなか公道ではそのポテンシャルをきちっと味わうことができない。こういう時代だからこそ、クルマを操る楽しさ、喜びが改めて見直されてくるのだろうと思っています。そう意味でもAudi Sport、モータースポーツにアウディとして積極的に取り組んで、一人でも多くのオーナーさまに走る楽しさを味わっていただきたい。そういう場を提供していきたいなと思っています」と語り、自動運転などが注目される時代だからこそ、クルマをドライブする楽しみをアウディとして用意する意図を説明。
今年のレース活動については、SUPER GTは新加入のドライバーによりさらなる盛り上がりが期待でき、GT300クラスにも強力なドライバーが参戦していることから激しい戦いになると見ている。その中で、アウディは21号車 Audi Team Hitotsuyama、26号車 Team TAISANに、よい感触を持っているとし、実際にこの日のSUPER GT公式テストでもGT300クラスにおけるトップクラスのタイムを記録していた。
また、スーパー耐久においても富士スピードウェイで24時間レースが開催されることから、信頼性の高く、扱いやすいアウディのマシンの活躍には、自信があるようだった。
その上で斎藤社長は過去を振り返り、ここ数年でアウディ競技車両が増えたことについて、チームがアウディを選んだことについてお礼を述べ、「アウディ ジャパンとして、私としてもうれしいなと。ガマンして活動を続けていてよかったな……」と発言したところで、取材陣が「ガマンして」の部分に反応。斎藤社長は、「ガマンして」の部分について詳細な説明を始めた。
「わりとモータースポーツは、ビジネスというコンテキストで見ると、金食い虫的なところがあります。私も、社内で『社長の道楽でやっているのでは』なんて言われるのですが、それだけに優勝、ま、優勝していただけたら最高ですが、SUPER GTもスーパー耐久もトップ争いに絡むエキサイティングな戦いをしていただければ、投資もペイするかなと思っています(笑)。ぜひ、お願いします」と語り、チームにエールを送るとともに、結果への強い期待を発露する形になった。
今シーズンのアウディの戦いに注目するとともに、一般ドライバー向けの「Audi driving experience」プログラムに興味のある方は、Audi driving experienceのWebサイトを確認していただきたい。現在、Audi Circuit trial / Training session、Active Safetyの2つのプログラムが「お申込み受付中」のステータスとなっている。