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【CEBIT 2018】独フォルクスワーゲン、D-Wave SystemsやGoogleと量子コンピューティングのトークセッション「Quantum Talk」
量子アニーリングで音響解析や電池分子構造最適化など
2018年6月13日 00:03
- 2018年6月12日(現地時間) 実施
独フォルクスワーゲンは、ドイツ ハノーファーで開幕した「CEBIT 2018」の初日にあたる6月12日(現地時間)、同社ブースにおいて「Quantum Talk」と題したテクニカルトークセッションを開催した。
Quantum、つまり量子と題されたこのテクニカルトークセッションには、フォルクスワーゲンAG CIO(Chief Information Officer) Martin Hofmann氏、量子コンピュータ企業 D-Wave Systems President Bo Ewald氏、Googleの量子コンピュータ担当 Markus Hoffmann氏らが登壇した。
粒子コンピュータ企業のD-Wave Systemsは、世界で初めて商用の量子コンピュータを実現したことで知られており、量子のトンネル効果を利用した量子アニーリング法によって解を求めていく。フォルクスワーゲンは2017年3月にD-Wave Systemsの量子コンピュータ導入を発表しており、今回のトークショーは1年経過して、どのように量子コンピュータの活用が進んだのかを示すものだとも言える。
トークショーでは量子コンピュータが何ができるのか、フォルクスワーゲンは量子コンピュータをどのように使うのかなどが話された。その中で話題に上がっていたのは、量子コンピュータがシミュレーションなどに向くこと。津波のシミュレーションやサウンドシミュレーション、交通渋滞の最適解の探索、そして電池の分子構造最適化などだ。
また、Googleの量子コンピュータ担当 Markus Hoffmann氏は、現在のAI開発に利用されているTensorFlowフレームワーク実行に特化したTPUを例に挙げ、CPUよりGPU、GPUよりTPUが特化した環境を高速に実行できたのと同様に、量子コンピュータがより高速なコンピューティング環境をもたらすものであることを説明した。
一般的に量子コンピュータは、通常のコンピュータでは計算量が爆発的に増えてしまう探索問題に向くとされており、たとえば10の総当たり計算が必要な問題では、一般的なコンピュータは10の階乗、つまり362万8800回の計算が必要になる。一方10量子ビット(キュービット)の量子コンピュータであれば、10×10=100回の計算ですむ可能性があり、組み合わせ要素が増えれば増えるほどその差は大きくなっていく。従来のコンピュータでは時間的に計算に意味がないとされていた、RSA暗号の解読に量子コンピュータが向くと言われているのも、こうした特性によるものだ。
フォルクスワーゲンは、この量子コンピュータの一つの使い方としてサウンドシミュレーションをプレゼンテーション展示。量子コンピューティングによって解を導く方法を説明していた。