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東洋ゴム、タイヤ空洞共鳴音を最大12dB低減する独自デバイス開発
タイヤ内部に設置する多孔フィルムと円筒状スポンジでノイズ低減
2018年6月29日 14:02
- 2018年6月29日 発表
東洋ゴム工業は6月29日、タイヤから車内に伝わる走行ノイズを低減する新技術「Toyo Silent Technology(トーヨーサイレントテクノロジー)」に基づき、車内騒音の1つである「タイヤ空洞共鳴音」を効果的に低減するデバイスを新たに開発したと発表した。
このデバイスは、トーヨーサイレントテクノロジーのシミュレーションによって走行中に起きるタイヤの内部の空気の流れを可視化。充填された空気自体がタイヤ内部で「周方向への流れ」と「垂直方向への流れ」を起こしていることを突き止めた。東洋ゴムではシミュレーションによって判明した「タイヤ内部に空気の流れが発生している」という事実に着目し、「空気の流れを活用してノイズの低減を図る」という独自アプローチに取り組んだという。
独自デバイスでは、音が穴を通るときに起きる「通過する穴の壁面の摩擦」と「穴を通過した後に発生する渦」の2つの減衰メカニズムを活用。可視化で判明した空気の流れの向き(空気の通り道)に沿って「多孔フィルム」を配置して、「発生する音が穴を通る構造」を設けた。また、空気が周方向と垂直方向の2つの流れを持っていることに対応するため、多孔フィルムを「山なり形状」のデバイスとして装着することを「独自に考案したブレークスルーポイント」としている。
さらに多孔フィルムの山なり形状を保持する「円筒状スポンジ」を円周上に16基配置。この円筒状スポンジも中空構造で音の減衰効果を発揮することから、多孔フィルムとの相乗効果でノイズの低減効果をさらに高めるという。
この多孔フィルムと円筒状スポンジを組み合わせた独自デバイスにより、走行などの振動でタイヤ内部の空気から発生する「タイヤ空洞共鳴音」を低減。タイヤ空洞共鳴音は200Hz~250Hzという低周波数帯域でのノイズとなっており、東洋ゴムではノイズ低減の搭載効果を確認するため、既存の自社製タイヤを使って実車試験を実施。車内の騒音レベルを計測した結果、独自デバイスを装着した場合は200Hz~250Hzの帯域で最大12dBの騒音低減効果を確認した。
東洋ゴムではこの結果を受け、デバイス搭載タイヤの製品化と市場展開を検討していく予定としている。