ニュース

スーパーフォーミュラ次期車両「SF19」が富士スピードウェイでシェイクダウン

車重減と安全性向上、低コストを実現。オーバーテイク増加も狙う

2018年7月4日~5日 開催

入場料:大人(18歳以上)1000円、高校生700円(小中学生、FISCOライセンス保持者、FISCOクラブ会員は無料)

「SF19」が富士スピードウェイでシェイクダウン

 JRP(日本レースプロモーション)は7月4日、富士スピードウェイにて、2019年シーズンに投入予定の次期スーパーフォーミュラ用車両「SF19」を披露し、野尻智紀選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がテスト走行を行なった。公開されたテスト車両はホンダ製とトヨタ製のエンジンを搭載する2台で、シェイクダウンを行なったのはホンダ製エンジン搭載の車両のみ。

 テスト走行は引き続き7月5日も9時からと14時30分からの2回に分けて行なわれる予定。その後、7月7日~8日の「2018年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第4戦」開催期間中に富士スピードウェイのピットにて車両が展示されるほか、7月8日はデモ走行も実施される。当初の計画通りに行けば、10月に最終仕様の確定・量産スタート、2019年1月に各チームへのデリバリーが開始される。

SF19のエンジン始動〜走行風景
水しぶきを上げながら1コーナーに飛び込むSF19
ウェットコンディションのなか、ベストラップは1分39秒台を記録した

車重減と安全性の向上を図った新車両。フロア重視でオーバーテイク増加も

トヨタ製エンジンの搭載車両(左)とホンダ製エンジンの搭載車両(右)を披露した

「SF19」は2019年シーズンからの投入が予定されている、現行の「SF14」に代わるスーパーフォーミュラの次世代マシン。安全性とデザイン性だけでなく、競争性もより高めるべく開発された。シャシーはダラーラアウトモビリ製で、2.0リッターの直列4気筒ターボエンジンを搭載。タイヤは横浜ゴム製の13インチを装着する。

 日本レースプロモーション 社長の倉島明氏は、「SF19の開発において大事にした点は、オーバーテイク(の機会を増やすこと)と、2016年の安全基準に適合させること。クルマのコスト負担を軽減することも非常に大事な要素であると考え、SF14のパーツをできるだけ使えるようにし、エンジンの運用も(年間2基から1基に)改善している」とコメントした。

株式会社日本レースプロモーション 代表取締役社長 倉下明氏

 また、ダラーラアウトモビリのSF19プロジェクトリーダーであるファビオ・グリッパ氏は、「日本のピュアレーススピリットを表現するアグレッシブなクルマをデザインした。車重を減らし、安全性にも配慮し、F1に比べて80kg軽く、マシン内部の全てのテクノロジーを見直している」と話した。

SF19について説明するダラーラアウトモビリのSF19プロジェクトリーダー ファビオ・グリッパ氏

 レギュレーションに合わせてノーズが低くなり、減少したダウンフォースについては、「モノコックを高く、細く」したことでカバー。「フロントウィングはフラップを増やしてダウンフォースを稼ぎ、フロントタイヤは(横浜ゴムの要望で、俊敏性などを高めるために10mm)ワイドにした」と語った。さらにオーバーテイクの増加を狙い、前走車の後ろについた際のことを考慮して、マシン上部ではなく下部のフロアでダウンフォースを得る工夫を施したという。

ホンダ車両
フロント周り
フロントタイヤは従来から10mm幅広となった
スリックタイヤをはいた展示車両のフロントタイヤ
フロア周辺
コクピット周り
コクピットの頭上のエアインテーク
中央の丸いレンズが車載カメラ。SF19からSONY DSC-RX0に切り替わる予定。従来はFDR-X1000Vだった。現在のテスト車両はX1000Vを利用しているようだが、RX0に切り替わることでハウジングも変更されることになる
サイドポンツーンと、その前方に重ねるように配置されたシャーシウィング
給油口周辺
サイドポンツーンの上に飛び出ているのはポッドウィング
エギゾーストは右後ろ上方に向いている。このあたりの構造はSF14と大きな差はないようだ
リア周り
リアタイヤ。ウェットタイヤ装着時
こちらはスリックタイヤ装着時
トヨタ車両。シャシー自体はダラーラ製のため、ホンダ車両との外観の差は少ない

 なお、ドライバーを務めた野尻選手は午前中、ウェットコンディションのなか、間に5回のピットストップを挟んでトータル20周のテスト走行をこなした。ベストラップは1分39秒672を記録。あくまでも参考値となるが、2016年第3戦の富士スピードウェイで行なわれたウェットコンディションの予選Q3において、各マシンのタイムは1分40秒台後半から1分41秒台前半だった。

テスト走行の準備が進むピット内
野尻選手が乗り込む
ヘッドアップディスプレイを装着していた
ピットアウトするSF19
テスト走行の様子

SF19諸元

全長:5233mm
ホイールベース:3115mm
全幅:1900mm
全高:960mm
車体重量:660kg以上
ギヤボックス:リカルド製6速パドルシフトシステム
ブレーキ:ブレンボ製キャリパー・カーボンディスク
ステアリング:KYB製電動パワーステアリングシステム
前サスペンション:プッシュロッド、トーションバースプリング
後サスペンション:プッシュロッド
安全基準:2016 FIA F1セーフティレギュレーション準拠
エンジン:NRE(2000cc、直列4気筒ターボエンジン、燃料リストリクター・オーバーテイクシステム搭載)
タイヤ:横浜ゴム製 フロント270/620 R13、リア360/620 R13