新橋演舞場で行なわれた記者発表会には、新型「Cクラス」のチーフエンジニアであるクリスティアン・フリュー氏(左)やメルセデス・ベンツ日本株式会社 代表取締役社長兼CEO 上野金太郎氏(右)に加え、歌舞伎俳優の尾上右近さん(中央)も参加した メルセデス・ベンツ日本は7月25日、内容を大幅に変更してフェイスリフトした新型「Cクラス」のセダン、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレの4モデルの受注を開始。同日に東京 銀座の新橋演舞場で記者発表会を開催した。
新しいCクラスでは“平均的なCクラス セダン”の全コンポーネントの約50%にあたる約6500点の部品を変更。“Cクラス史上最も大規模なフェイスリフト”と位置付けている。価格はセダンが449万円~1379万円、ステーションワゴンが473万円~1398万円、クーペが564万円~1424万円、カブリオレが615万円~1483万円。納車は9月からの順次開始を予定している。
このほか、Cクラスのラインアップや変更内容の詳細は関連記事の「メルセデス・ベンツ、進化した運転支援機能『インテリジェントドライブ』採用の新型『Cクラス』」を参照していただきたい。
フェイスリフトにより、Cクラスのフロントマスクは「標準」「アヴァンギャルド」「AMGライン」の3本立てとなった 直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴ターボの「M264」型エンジン。最高出力135kW(184PS)/5800-6100rpm、最大トルク280N・m(28.6kgf・m)/3000-4000rpmを発生 直列4気筒DOHC 1.6リッター直噴ターボの「M274」型エンジン。最高出力115kW(156PS)/5300rpm、最大トルク250N・m(25.5kgf・m)/1200-4000rpmを発生 V型6気筒DOHC 3.0リッター直噴ツインターボの「M276」型エンジン。最高出力287kW(390PS)/6100rpm、最大トルク520N・m(53.0kgf・m)/2500-5000rpmを発生 メーターパネルは260km/hスケールの大型2眼式(中央)のほか、Cクラス専用デザインの「12.3インチコックピットディスプレイ」もラインアップ 全車のインパネ中央に10.25インチワイドディスプレイを標準装備 前方認識距離が最大500m、立体認識が距離90mを達成した2眼式の改良型カメラをフロントウィンドウ上側に設定 Cクラス カブリオレのインテリア。写真のポーセレンカラーの本革シートのほか、C63モデルはナッパレザーシートを標準装備する 新型Cクラス発表を記念する歌舞伎舞踏「石橋」を公開
発表会の冒頭で披露された歌舞伎舞踏「石橋(しゃっきょう)」 発表会の冒頭では、新型Cクラスの発表を記念して松竹が制作した歌舞伎舞踏「石橋(しゃっきょう)」が披露され、約15分にわたる歌舞伎舞踏の終了後、舞台上の「盆」が回転して舞台奥から2台の新型Cクラスが登場する演出が実施された。
新型Cクラスの発表を記念して制作されたという歌舞伎舞踏 石橋のシーン 歌舞伎舞踏 石橋で尾上右近さんが演じた獅子の精の「毛振り」シーン(23秒) 尾上右近さんなどによって演じられた歌舞伎舞踏 石橋(1分11秒) 約15分にわたる歌舞伎舞踏の終了後に披露された新型Cクラス(1分4秒) 「伝統と革新がある」Cクラスの発表に新橋演舞場はふさわしい場所
メルセデス・ベンツ日本株式会社 代表取締役社長兼CEO 上野金太郎氏 セダンとステーションワゴンのCクラスが登場したタイミングに合わせて、メルセデス・ベンツ日本 代表取締役社長兼CEOの上野金太郎氏が登壇。
上野氏は冒頭で先般の「大阪府北部地震」「西日本豪雨」で被災したすべての人に対してお悔やみの言葉を述べた後、自動車メーカーとして初めて新橋演舞場で実施した新型車発表会でメルセデス・ベンツと歌舞伎がコラボレーションすることになった理由について、双方に「伝統と革新がある」ということが共通すると説明。
メルセデス・ベンツ日本の親会社である独ダイムラーは132年前にクルマを発明し、それからの歳月で培ってきた歴史と伝統を守りつつ、常にさまざまな革新にチャレンジしているとアピール。そんな姿勢を表現する「Never Stop Improving」を新型Cクラスは体現するクルマとなっており、その日本発表で「伝統と革新を皆さんに体感していただく必要がありました」と上野氏はコメント。また、歌舞伎も日本の誇る伝統芸能でありながら、常に新しさの追求も行なっていると述べ、とくに新橋演舞場は「スーパー歌舞伎」発祥の地として歌舞伎の革新を生み出す劇場になっていると指摘。「新型Cクラス発表の場として最もふさわしい会場ではないでしょうか」と語った。
132年前にクルマを発明したダイムラーと歌舞伎は「伝統と革新がある」点が共通すると語る上野氏 ダイムラーの姿勢を表現する「Never Stop Improving」を体現するクルマが新型Cクラスだと上野氏は表現 新しいCクラスなどについて上野氏が解説した後、石橋を披露した尾上右近さんとフォトセッション 尾上右近さんはさまざまなポーズを披露して会場を盛り上げた 獅子の精の姿でフォトセッションに応じる尾上右近さん(7秒) 発表会の後半では、羽織袴姿に着替えた尾上右近さんと上野氏によるトークセッションも実施 実は免許を持っていないという尾上右近さん。しかし、両親や親類、師匠である尾上菊五郎さんもメルセデス・ベンツ車に乗っており、「小さいときから『クルマと言えばメルセデス・ベンツ』という認識で、こういったお仕事をいただくご縁がありましたので、免許を取ってベンツを購入させていただきたいと思っております」とコメント。また、尾上右近さんから「選ばれ続けるというのは非常に難しいことだと思います。メルセデス・ベンツが選ばれ続けている秘訣を、ぜひ上野社長にお聞きしたい」と上野氏に質問。「右近さんもおっしゃったように、選ばれ続けるというのは本当に難しいことです。自動車業界にも多種多様な製品があって、苦戦したときもありますし、上手くいくこともありますけど、私どもの会社の経営理念で『The best or nothing』、最善か無かという言葉がありまして、常に最高のものを追い続ける。常に最高のパフォーマンスを出し続けることが選ばれ続ける理由になっているのかな、と。また、先ほども出た『Never Stop Improving』で、絶え間なく進化し続けるという2点になると、僕たちは信じてやっております」と回答した 日本市場で販売するメルセデス・ベンツ車の4分の1がCクラス
独ダイムラー AG Cクラス チーフエンジニア クリスティアン・フリュー氏 新しいCクラスの製品概要は、Cクラスのチーフエンジニアを務めているクリスティアン・フリュー氏が解説を実施。
フリュー氏はCクラスの前身となる「190」の開発時に使用された1974年の「最初の仕様書」の中で、「新たなエントリーモデルにも、メルセデス・ベンツならではの特徴を与えることで競合モデルと明確な差別化が図れる」と書かれていることを紹介。当時も現在も、最高の品質と最新の安全性、快適な乗り心地を重視する姿勢が変わっていないことが分かるとした。
また、190を経て1993年にデビューした初代モデルから、これまでにCクラスは10年以上に渡ってグローバルのメルセデス・ベンツ車で最多販売モデルとなっており、2014年に販売を開始した4代目のCクラスは、セダンとステーションワゴンのグローバル販売台数は41万5000台以上となっており、これはメルセデス・ベンツ全体の販売で5分の1を占めるものであり、日本では4分の1にあたる約6万9000台を販売しているとアピールした。
このように、Cクラスはこれまでも魅力的なモデルとして多くのユーザーから支持されてきたが、フリュー氏は今回実施したフェイスリフトでは「その性格や知性、パフォーマンスをさらに高めるために全力を尽くした」をコメント。実際に変更した部品点数が“平均的なCクラス セダン”で使われている部品の半数以上となる約6500点になると語り、「Cクラス史上で最も大規模なフェイスリフトになった」と表現した。
フリュー氏は変更した部品点数が約6500点におよび、「Cクラス史上で最も大規模なフェイスリフトになった」とコメント 外観ではフロントマスクの形状変更に加え、ヘッドライトにLEDを活用。ウルトラハイビーム付となる「マルチビームLED」では片側84個のLEDを使い、650m以上の距離で基準照度の1ルクス以上の明るさを発揮するという 車内では10.25インチの「テレマティクスディスプレイ」を全車で採用。ADAS装備でカメラとレーダーシステムに改良を行なって前方認識距離で最大500m、立体認識距離で90mを達成。「部分自動運転」をより多様な状況下で利用できるようにしているという 新開発の「DYNAMIC BODY CONTROLサスペンション」を一部のグレードで採用。車高を15mmローダウンさせるスポーツサスペンションを備えるほか、ダイレクトなスポーツステアリング、減衰力を連続調整するダンピングシステムなどで構成。あらゆる路面状況でダイナミックなハンドリングと快適な乗り心地を両立するという 新開発の1.5リッターと2.0リッターの直列4気筒ガソリンエンジンではカムトロニック可変バルブリフト機構、ツインスクロールターボに加え、「BSG(ベルトドリブンスタータージェネレータ)」や「48V電気システム」を搭載。走りの楽しさを高めつつ燃費低減を両立する 直列4気筒の直噴ディーゼルターボエンジンは、現状で最も厳しい「ユーロ 6d-TEMP」の排出ガス規制に適合 「Never Stop Improvingという言葉は新型Cクラスにとって単なるキャッチフレーズではなく、エンジニアリングの基本思想であり、アスリートが体力や技を磨くため常に努力を怠らないこと同じ」とフリュー氏はコメント。セダン、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレの4モデルすべてでかつてないほどさまざまな使い方ができるクルマだとした 株式会社NTTドコモ 取締役常務執行役員 スマートライフビジネス本部長 森健一氏(右) このほかに発表会では、同日に発表された新しい試乗サービスである「Tap! Mercedes!(タップ!メルセデス!)」について、NTTドコモ 取締役常務執行役員 スマートライフビジネス本部長の森健一氏が登壇して解説を実施。
森氏は、NTTドコモが2017年11月に総合カーシェアプラットフォーム「dカーシェア」をスタート。これまでに「カーシェア」「レンタカー」「マイカーシェア」の3サービスを行なっており、スマートフォンを利用するだけでさまざまなタイプのクルマを利用できるサービスとして好評を博してきたが、ユーザーから「新型車やあこがれの輸入車に気軽に試乗したい」という要望が寄せられ、新しい4つめのメニューとして「試乗サービス」の提供を開始することになったという。
「dカーシェア」の新サービスとなった「Tap! Mercedes!」について説明する森氏 フォトセッションの終了間際に、登壇した上野氏やフリュー氏と3人でセルフィ撮影する尾上右近さん