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スーパーフォーミュラ「SF19」、トヨタエンジン搭載車も走行した2回目のテスト

「HALO(ヘイロー)」やソニー「DSC-RX0」のテストも

2018年7月31日~8月1日 実施

「SF19」2回目のテストにはトヨタエンジン搭載車が登場

 JRP(日本レースプロモーション)は7月31日~8月1日の2日間、富士スピードウェイにて2019年シーズンに投入が予定されている次期スーパーフォーミュラ用車両「SF19」の2回目のテスト走行を行なった。

 7月4日にお披露目をかねて行なわれた1回目のテスト走行はウエットコンディションの中、ホンダエンジン搭載車をDOCOMO TEAM DANDELION RACINGが担当し、野尻智紀選手がステアリングを握ったが、今回はトヨタエンジン搭載車もテスト走行を行なった。ホンダエンジン搭載車両はTEAM MUGENが担当して山本尚貴選手が、そして初走行となるトヨタエンジン搭載車はP.MU/CERUMO・INGINGが担当して、7月31日は国本雄資選手、8月1日は石浦宏明選手がステアリングを握った。

 また、今回よりすでにF1マシンにも採用され、スーパーフォーミュラでの採用も検討されているドライバーの保護を目的としたデバイス「HALO(ヘイロー)」のテストも行なわれた。「SF19」のマシン詳細は関連記事の「”スーパーフォーミュラ次期車両「SF19」が富士スピードウェイでシェイクダウン”」をご覧いただきたい。

初登場となる「SF19(トヨタエンジン搭載車)」のテスト風景。P.MU/CERUMO・INGINGが担当して7月31日は国本雄資選手、8月1日は石浦宏明選手がステアリングを握った。ピットではダラーラアウトモビリのSF19プロジェクトリーダー ファビオ・グリッパ氏も見守っていた
「SF19(トヨタエンジン搭載)」のテスト風景
「SF19(トヨタエンジン搭載)」のテスト風景
「SF19(トヨタエンジン搭載)」のテスト風景
「SF19(ホンダエンジン搭載車)」のテスト風景。TEAM MUGENが担当し、山本尚貴選手がステアリングを握った

走行テストを終え、3名の選手が語るSF19の印象

 走行テストを終えた3名の選手、国本雄資選手(P.MU/CERUMO・INGING)、石浦宏明選手(P.MU/CERUMO・INGING)、山本尚貴選手(TEAM MUGEN)がSF19の印象について語った。

――走り終えてSF19の印象はいかがでしたか?

国本選手:まずは1日トラブルなしで走れたことを関係者の皆さまに感謝したいと思います。SF14と多少の違いはありますが、最初から普通にまずまず走れたし、その中で色々とセット変更しました。ちゃんとした感度はありましたし、学ぶことも多く楽しい1日となりました。

国本雄資選手

石浦選手:シェイクダウンのテストから普通にレーシングスピードで走れて、すぐにセットアップ作業に入れるのは、やはりダラーラのクルマのクオリティがいつもながら高いなぁと思いました。今日は朝からHALOをつけて走っていましたけれど、そのへんも外から見ているよりまったく違和感なく走れたので、それも含め、SF19が普段乗り慣れているクルマと同じように普通に走れたというのがポジティブな印象です。

石浦宏明選手

山本選手:昨日(7月31日)に乗った限りでは、正直言ってSF14を大きく上まわっているところはあまり感じられなかったのですが、今日(8月1日)は路面温度とタイムを考えるとポテンシャルの高さを感じました。また、フロントタイヤが太くなったことでフロントのグリップが上がり、ホイールベースが少し短くなっているので、コースやセットの違いによっては曲がり過ぎちゃうことも懸念されますが、今回の富士に関してはフロントのグリップ向上がラップタイムにつながっていると思います。いずれにしても、まだできたてホヤホヤで走り始めたばかりなのにこのポテンシャルで走れたということは、いろいろな可能性を秘めていると思います。

山本尚貴選手

――曲がりすぎるということについてどう思うか?

石浦選手:(山本選手が言うように)確かに曲がることに対する要素が多いので、曲がりすぎてしまうことやピーキーに感じる部分もあります。しかし、SF14も僕らは長年セットアップを積み重ねて今の姿があります。そのマシンのキャラクターの違いは各チームが悩むであろう部分だと思いますが、それをどういうセットアップで解決していくか、ドライバーがどう乗りこなして勝負していくか、そんなところも面白い部分かなと思います。

ドライバーの保護デバイス「HALO(ヘイロー)」

走行時、飛散物からドライバーを保護する新しいデバイス「HALO(ヘイロー)」

 HALOは走行時、飛散物からドライバーを保護する新しいデバイスで、今回使用されたものはチタン合金製で重量は8kg程度。テストではドライバーの乗り降りや走行時の視界についてのテストが行なわれたが、視界について富士スピードウェイでは走行中はもとより、シグナルやポストで提示されるフラッグの視認性にも問題は感じなかったと3名のドライバーは口を揃えた。

 なお、走行時のドライバー自身の安全性が確保された半面、横転や出火など緊急事態での脱出に関しては不安を感じていることや、メカニックや緊急時のオフィシャルスタッフの作業の負担増にも話がおよんだ。また、サーキット側の体制もレース時はもとより、今回のようなテスト走行時にはどうあるべきかなどの話がなされた。

 JRPは今回のテストを皮切りに、SF19にとって適したデバイスであるかどうかという検証作業をして、さまざまなサーキットでドライバーの意見を聞きながら、装着の是非を検討していくとのことだ。

ドライバーの正面に縦のポストが通るが運転に支障はなく、ポストのフラッグやシグナルの視認性テストも行なわれたが、そちらも問題ないとのことだ
石浦選手のHALO脱出の模様
山本選手のHALO脱出の模様
テストの後半では前後に接近したマシンがどのような空力的影響を受けるかを調べるテストも行なわれた

 今回、車載カメラはホンダエンジン搭載車が従来より使っているソニーのアクションカム、トヨタエンジン搭載車が同じくソニーのサイバーショット「DSC-RX0」をテストしていた。こちらも装着されたHALOの影響も含めさまざまなテストが行なわれていた。

車載カメラのテストも行なっていた。ホンダエンジン搭載車が従来より使っているソニーのアクションカム、トヨタエンジン搭載車が同じくソニーのサイバーショット「DSC-RX0」を装着していた