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ジェイテクトの自動運転対応技術搭載EPSを装備した、トヨタ「カムリ」で伊賀試験場を走る
ハンズオン/ハンズオフデテクションをスムーズに
2018年8月20日 07:34
ジェイテクトの主力商品の一つがEPS(電動パワーステアリング)。1988年にジェイテクト(当時は光洋精工)は世界で初めてEPSの開発・量産に成功し、2015年4月にEPS累計生産が1億台を突破。EPSの世界シェアも27%と、トップに立っている。
そのジェイテクトの強みは各種の種類があるEPSの生産をすべて手がけていること。C-EPS(コラムEPS)、P-EPS(ピニオンEPS)、DP-EPS(デュアルピニオンEPS)、RD-EPS(ラックEPS)、RP-EPS(ラックパラレルEPS)などをラインアップする。
ジェイテクトでは、ADASなど先進運転支援・自動運転時代へ向けステアリング構成の深化も必要と考えており、JFOPS(JTEKT Fail OPerational System)という独自の安全コンセプトも策定。ステアリングハードウェアの冗長化や、ステアリングホイールとステアリング機構を電気信号で結ぶSBW(ステアバイワイヤ、Steer By Wire)の開発も行なっている。
今回のステアリング関連の先行試乗は、トヨタ自動車「カムリ」を改造した自動運転車。今後普及すると見られている、レベル3、レベル4自動運転を踏まえ、ドライバーからクルマへの権限委譲を作り込んだものとなる。
このカムリに搭載されているEPSは、自動運転関連技術を搭載したRP-EPS。路面の負荷を推定しつつ、想定ルートにしたがってステアリングを自動操舵する機能を持ち、ドライバーの操作を検知するハンズオンデテクション機能を持つ。
自動走行ルートは、あらかじめ定められたルートを通るタイプ。自車位置はRTK-GPS測位するためセンチメートル単位の精度を確保している。
実際のハンズオン、ハンズオフの模様は映像を見てもらえればよいと思うが、非常にスムーズにできたのが印象的。マニュアル運転から自動運転に移行するハンズオフよりも、自動運転からマニュアル運転に移行するハンズオン、つまりドライバーのオーバーライド操作をこなすほうが難しいと思われるが、その際も小さなトルク変動をステアリングホイールから感じるものの、速やかにオーバーライド操作を検知。「ハンズオン」の自動音声ともに、マニュアル運転に移行することができた。
また、低速でのコーナリングの自動運転もスムーズな操作ができており、小さな操舵角まで制御できていることが分かる。小さなRのコーナーも回りきることができ、その際のステアリングワーク(?)も見事なものだった。ジェイテクトは、ホイールハブによるクルマの挙動センシングなども重要な事業分野としており、ADASや自動運転の高精度化・高品質化へ向けて必要なデバイスを着実にラインアップしている印象を持った。