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【Suzuka10H】大クラッシュから復活の34号車 Modulo Drago CORSE、鈴鹿で練習走行。道上、大津、小暮選手らが記者会見

2018年8月23日 実施

ニューマシンをシェイクダウンした34号車Modulo Drago CORSE

 8月23日、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で「第47回 サマーエンデュランス 鈴鹿10時間耐久レース(Suzuka10H)」の練習走行が行なわれ、34号車Modulo Drago CORSE(道上龍/大津弘樹/小暮卓史選手)のニューマシンがシェイクダウンした。8月5日のSUPER GT 第5戦富士で発生したクラッシュの影響で参戦が危ぶまれたが、3週間弱という極めて短い期間で車両の手配とセットアップを済ませ、出場にこぎつけた。

 練習走行では、雨が断続的に降るウェットコンディションの中、ドライバー全員が交代しながらコースインし、3人トータルで31周。練習走行後の記者会見では、3選手と監督がシェイクダウンまでの道のりとニューマシンの感触について語った。それぞれのコメント、記者とのやりとりは以下のとおり。

感触を確かめるように周回を重ねる34号車。一時雨が激しくなり練習走行が赤旗中断となる場面も
その後、雨はやんだり、また降り出したりと、不安定なコンディションが続いた
道上選手が9周、大津選手が10周。マシンに慣れていない小暮選手は最多となる12周をこなした
記者会見に臨む34号車Modulo Drago CORSEの3選手と監督

道上龍選手のコメント

道上龍選手

道上龍選手:(8月5日に)富士スピードウェイのフリー走行で大きなアクシデントに見舞われ、車体に大きなダメージを受けました。正直レース継続は無理だなと思っていたのですが、チームのみんなの姿を見ていると、このままでは終われないという気持ちもありました。いろんな方々の協力によって、なんとかクルマを間に合わせることができ、鈴鹿10時間耐久レースに挑めることになりました。

(NSX GT3の販売・サポートなどを行なう)M-TECさんを通じて、製造元であるJ.A.S(Motorsport)に問い合わせてもらったところ、新車がイタリアに1台、マレーシアに1台あるとのことで、レース終了後、アジア向け仕様になっているマレーシアのクルマを手配しました。イタリアの方はエアコンがなかったのと、マレーシアの方が早く来るんじゃないかとも考えました。

 水曜日(8月8日)に手配して、先週月曜日(8月13日)にマシンが到着しました。そこから1週間でメカニックにメンテナンスしてもらって、土日(18日〜19日)にカラーリングを済ませ、火曜日(8月21日)に搬入しました。(今日の練習走行でのシェイクダウンでは)全く何の問題もありませんでしたし、(前車両と比べて)何の違いもなくて、トラブルなく今日の走行を終えることができました。

――練習走行の内容は?

道上選手:今日はほとんどクルマのセットアップはしていません。雨風がひどくなったと思えば急にやんだりしていたので。ほとんどドライセットの状態で、ワンセットのタイヤで最後まで3人で乗り換えながら走りました。小暮選手はこのクルマが初めてなので、スイッチ類、デバイス類に慣れてもらうのと、ドライバー交代の練習を重点的にやりました。ほぼクルマの確認だけでしたね。明日からコンディションが変わってドライになると思うので、セットアップを煮詰めていこうかなと思っています。

――クラッシュした車両はどうなるのか。

道上選手:修復はする方向でいますけど、今すぐにはできません。鈴鹿10時間耐久レースとこれからのSUPER GTに向けて今の新しいクルマを作っていかないとならないので。(修復するかどうかの)判断はシーズンオフになってから、という感じです。

――ケガの状況は?

道上選手:過去にフォーミュラニッポンで大きなクラッシュをして腰を痛めたのですが、その時は1年半から2年近く痛かった。今回もクラッシュの時は腰が一番痛く、昔のことが頭によぎって、また腰を痛めたかもしれないと思って、(クラッシュ直後に監督の)チョンさんに無線で話したくらい。(検査の結果骨には異常はないものの)シートに座ると(ブレーキングのときなどに)パッドに当たって痛かったりするんですが、ウェットコンディションの今日はそれほど問題はありませんでした。

――小暮選手とドライバーとして再びチームメイトとなったことについて。

道上選手:あまり違和感はないです。2005年に初めて組んだのは、小暮が22、23歳のとき。すげえ速いヤツが来たなと。クラッシュも多いけど(笑)、決まったときにはとんでもない速さを見せるドライバーだったので、僕もチームメイトながら当時は脅威に感じていました。またこうやってチームを組むようになって、昔の話をしたりして、あの時むかついたなとか、懐かしい話が出てきますね(笑)。

大津弘樹選手のコメント

大津弘樹選手

大津弘樹選手:前回富士のレースではチーム全体の士気が高く、表彰台争いできる状態だったのですが、クラッシュで参戦できなくなったのは残念としか言えませんでした。レースできなくて落ち込んだりもしましたが、道上さんが常に動いていろんな人と話をしている姿を見ていたので、自分も前を向かなきゃいけないと気持ちを切り替えました。参戦できると言われた時はすごくうれしかったです。

 自分ができることは少なかったのですが、体力作りなどの準備を重ねました。今回のシェイクダウンでは、前の車両と同じような動きをしているし、富士の時のいいフィーリングをそのまま維持できていると思うので、今回は賞金を稼いで(笑)チームに貢献できたらと。

 小暮さんは、僕にとってはずっとテレビの中の存在でした。そういう人がチームメートとして参戦してくれるのがすごくうれしい。多くのことを吸収したいなと思います。

小暮卓史選手のコメント

小暮卓史選手

小暮卓史選手:(3人目のドライバーとして参戦することについて)道上チーム代表にお声がけいただき、大変うれしく思いました。チャレンジのしがいがあり、チームに貢献したいという気持ちになりました。道上さんとはドライバー同士や、監督とドライバーという関係で過去にチームを組んだこともあったのですが、こうして再度組ませていただけるのはありがたかったです。

 富士(のクラッシュ)の時、僕は真後ろにいました。クルマがすごく壊れて、なかなか目にしないような光景。あれだけインパクトの大きい事故だったのに、今日参戦に至ったのはすごいことだと思います。また、大津選手という若手と組んで、過去の自分を見ているようで新鮮な感じもしました。3人で乗るレースは2005年の鈴鹿1000km以来なので、楽しみたいと思います。

――道上選手とドライバーとして再びチームメイトとなったことについて。

小暮選手:ドライバー同士で一緒にやるとなった時、懐かしい感じはしました。初めて参戦して初めてポール獲って、初めてチャンピオン争いして……という経験は全て道上選手と始めたので、事件とかもいっぱいありましたけど(笑)、思い出深い。こういう風にドライバーとして改めて一緒に乗れるのはすごくいいことですよね。

チョン・ヨンフン監督のコメント

チョン・ヨンフン監督

チョン・ヨンフン監督:道上選手には感謝しています。彼の判断があって、クルマが間に合って、今ここに来られている。スタッフもこの短い間に頑張ってくれて、シェイクダウンできてうれしい。今日の走行は路面の状況もよくなく、攻めることはできなかった。今回はタイヤが違いますが(SUPER GTのレギュラーシーズンはヨコハマタイヤ。鈴鹿10時間耐久レースはピレリタイヤのワンメイク)、前回の富士にしてもセットアップの内容はわるくなかった。明日はドライで走れると思うのでセットアップを進めていきたいと思っています。

――前のマシンと比べてニューマシンはどれくらいの完成度か。

ヨンフン監督:クルマの完成度としては前回とは変わらないのですが、前回のマシンは半年間いじり倒してきたところもあり、その辺はそのままフィードバックしてクルマを作り上げています。ですので、今年初めのシェイクダウンのときと比べれば、完成度としてはかなり高いのかなと思います。

ドライコンディションになると予想される金曜日からの走りに注目したい