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ホンダアクセス、SUPER GT(GT300)に参戦する「Modulo KENWOOD NSX GT3」のカラーリングなど公開
新開発のホイール、チームウェアとともに、新Moduloスマイルのお披露目も
2018年2月15日 22:14
- 2018年2月15日 開催
ホンダ車向け純正周辺機器を開発、販売するホンダアクセスは、道上龍選手率いるレーシングチーム「Modulo Drago CORSE」とパートナーシップを組んで、SUPER GTのGT300クラスに新型車両「NSX GT3」を投入して参戦する。
道上選手率いるDrago CORSEは、2015年~2016年にSUPER GTのGT500クラスに参戦しており、その当時にホンダアクセスはメインスポンサーを務めていたが、今回は単なるスポンサーとしてだけでなく“共同参戦”と位置づけており、より一体感を持ってレースに取り組むことになる。このため、商品企画の責任者でもあるホンダアクセス 開発部 福田正剛氏が全戦に帯同するなど、レースからのフィードバックを用品開発にもつなげていくという力を入れた参戦となる。
2月15日には車両のメンテナンスを担当する4MINUTESのガレージで記者会見が行なわれ、その車両となる34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3のカラーリング、今回の参戦に合わせて新しく開発されたホイール、チームウェア、そしてイメージガールとなるModuloスマイルのお披露目などが行なわれた。
目標は高く持って開幕戦ではポール、そして優勝を狙いたいと大津選手
記者会見は、Moduloスマイルを4年連続で務めることになった水村リアさんの司会進行で行なわれ、水村さんが選手や監督、ホンダアクセスの関係者に質問をする形で進行した。
まずはチーム代表でありドライバーでもある道上選手が冒頭で挨拶を行ない、「今回はいくつか発表することがある。マシンのカラーリングもそうだし、新しいチームウェアなどを発表していきたい」とコメント。その上で、黒い布で隠されていた新しいカラーリングに塗られたマシンの除幕式を行なった。
通常、こうした除幕式はチーム関係者やスポンサーなどが行なうが、今回はなんと発表会に参加していた記者に呼びかけて除幕を行なわせるという前代未聞の除幕式になった。普段は撮る側の報道関係者だけに、これには面食らったのか、除幕もやや戸惑い気味に行なわれたが、なんとか無事終了。新しいマシンカラーが初めて公開された。
チーム代表である道上選手も「今回実物を初めて見た」という新しいカラーリングは、マットブラックに蛍光レッド、さらにホワイトを加えたという、これまでのホンダアクセスとはだいぶイメージの違うカラーとなっている。
さらに、道上選手からはチームクルーが4月の開幕戦後に着るチームウェアも発表され、「チーム一丸となって戦うためにはウェアも統一することが必要と考え、ホンダアクセスさん、文化服装学院さんとコラボレーションして、学生さんに応募してもらい決めた」という新しいウェアは、文化服装学院のジョン・ウォンヨンさんのデザインで、黒地に縦に赤文字の「Modulo」が入るという斬新なデザインになっている。
その後、道上選手のチームメイトになる大津弘樹選手の紹介が行なわれ、「道上選手はスクール時代の講師でもあり、自分のドライビングスタイルをよく分かってもらえていてやりやすい。まだウェイトハンデなどは分からないので、今後重量が増えるとクルマの動きが変わることなどにも対応していかないといけない。まだとても緊張している部分があるが、これからセッティングなどを詰めていければ」とコメントすると、道上選手からはすかさず「この間行なったシェイクダウンの時は、シェイクダウンだから転がすだけでいいと言ったのに、リアが出ますとか危ないことを言う(笑)」と突っ込まれ、早速チームの一員としてなじんでいる様子もうかがえた。
また、水村さんから「目標は?」と問われると、「まだ他の車両と一緒に走っていないので自分たちの立ち位置が分かっていないが、目標は高く持ちたいのでポール、優勝を常に目指したい」と抱負を述べた。
車両のメンテナンスやチーム監督を担当するのは、4MINUTES チョン・ヨンフン氏。ヨンフン氏は2005年に童夢時代の道上選手と一緒に仕事をして以来の関係ということで、チーム代表を兼ねる道上選手とのコミュニケーションも円滑に行なっており、道上選手が「クルマどう?」と毎日連絡するぐらい密に連絡を取っているとのこと。
ヨンフン氏は「今年初めてエンジニア兼監督としてやっていくので、いろいろな目線で考えながら進めようと思っている。レースになるとチェッカーを受けることが大事なので、ドライバーの2人とそれを目指して頑張っていきたい。現時点ではシェイクダウンしかやっていないので、クルマのポテンシャルなどは分からないが、テストでしっかりデータを取ってフィードバックしていきたい。大津選手がいうポールを獲って優勝という目標は簡単ではないけれど、一緒に目指していきたい」と述べた。
GT300への参戦はスポンサーとしてでなく、ホンダアクセスもチームの一部として参戦し、市販車用の用品にフィードバックする
今回の会見では、ホンダアクセスのSUPER GTへの取り組みに関しても説明が行なわれた。というのも、これまでのホンダアクセスは、2017年であれば64号車 Epson Modulo NSX-GT、100号車 RAYBRIG NSX-GTなどホンダのGT500車両を走らせるチームにスポンサードという形で参戦していたが、今年はModulo Drago CORSEというチーム名からも分かるように、単にスポンサーとしてだけでなくパートナーとしてチームに参画して、ホンダアクセスもレーシングチームの一部として参戦するという形になっている。
このため、今回の記者会見にはホンダアクセスの製品開発パートナーでもあるJVCケンウッドやエンケイの関係者もゲストとして呼ばれており、特にケンウッドはサブスポンサーとして車両名の「Modulo KENWOOD NSX GT3」の一部にもブランド名が入る形になっている。
ホンダアクセス 開発部 福田正剛氏は、ホンダアクセスで用品開発のトップを務める要職にあるが、今年のSUPER GTには全戦帯同することになるという。福田氏は「今年はホンダ伝説のドライバーである道上選手、そして期待の若手である大津選手と一緒に頑張っていきたい。我々は量産車向けの用品を販売するメーカーだが、無から有の価値を作り出していく必要がある。そこにはデータには出ない部分の価値があり、それをレースをやりながら取得していきたいと考えて今シーズンはこういう体制をとっている。1年間我々も学習をかねてレースに臨み、そうしたレースをやりながら学んだことを、Moduloブランドの製品にフィードバックしていきたい」と、ホンダアクセスが自らチームの一部として参戦する意義を説明した。
また、ホンダアクセス 商品企画部 松永孝二氏は、今回チームのために新たに開発したホイールに関して説明した。ホンダアクセスは、2017年のGT500にスポンサードしていた2チームに、Moduloレーシングホイールという専用のホイールを供給していたが、今年のGT300用のModuloレーシングホイールはそれをベースにしてGT300向けとして専用開発されている。NSXの量産車向けとして販売されている「MR-R03」とデザインイメージが共通化されているのも特徴だ。
松永氏は「カラーリングは従来とは異なる表面処理の手法となるアルマイト処理になっており、耐摩耗性などを実現しながら明るく艶やかなシルバーを表現できている。製造は鍛造削り製法で行なっており、円柱状の素材を鍛造の金型にセットして圧力をかける工程で行ない、その後にできる鍛造素材を削り出していくことで製造している」と述べ、アルマイト処理の表面加工と鍛造削り製法で、1つひとつ製造していることなどを説明した。
また、カラーリングを担当したホンダアクセス 商品企画部 南波大輔氏は、「これまでのホンダカラーと言えば白地に赤で、まずはそこから離したかった。新しいチームとしてのイメージを出す意味でも、黒をベースにしてつや消しにすることで強そうなイメージを打ち出した。赤は従来のホンダ的イメージから脱却という話しとやや矛盾するが、やはりホンダと言えば赤ということがあったので、サーキットで映える蛍光の赤を入れた。白に関しては当初は予定がなかったのだが、上司に見せたところ白も入れようという話になり(笑)。言われてみれば2015年、2016年のDrago Modulo時代の白地に赤とは真逆なイメージが打ち出せるのでそれもありかということになり、そこにだけホンダアクセスのロゴを入れることにした」と、新しいカラーリングに関する説明を行なった。
ホンダアクセスのイメージガールとなるModuloスマイルに関しては、今回MCを務めた水村リアさんが引き続き務めるほか、新しく安藤麻貴さんが加入することが明らかにされた。なお、ほかにもレースクィーンとなる「Moduloプリティ」もサーキットで登場する予定とのことだ。
発表会の最後には、ホンダアクセスが所有するNSXがModulo KENWOOD NSX GT3と同じ34号車のカーナンバーをつけて登場し、レーシングカーであるGT3車両と並べられて展示された。チームによれば、来週岡山で行なわれるタイヤテストに参加するほか、3月に岡山国際サーキットと富士スピードウェイで行なわれる公式テストなどにも参加予定で、他チームとの勢力図もそのあたりで徐々に見えてくることになりそうだ。