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独アウディ、500kW/830Nmを発生するEV「Audi PB18 e-tron」コンセプトを米国 ペブルビーチで世界初公開
0-100km/h加速は2秒未満。WLTPサイクルで500km以上走行可能
2018年8月24日 15:39
- 2018年8月23日(現地時間)発表
独アウディは8月23日(現地時間)、米国カリフォルニア州モントレーで開催される「ペブルビーチ オートモーティブ ウィーク」(ペブルビーチ コンクール デレガンス)で、EV(電気自動車)「Audi PB18 e-tron」のコンセプトカーを世界初公開すると発表した。
Audi PB18 e-tronのコンセプトなどは、カリフォルニア州マリブに開設されたアウディの新しいデザインスタジオで作成され、アウディのル・マン レーシングカーから数多くの技術を流用。コンセプトの策定は、アウディの高性能スポーツカーを製作する子会社であるAudi Sport GmbHのスペシャリストが担当した。
なお、“PB18 e-tron”という名称は、コンセプトカーが初公開される場所“Pebble Beach”を示すと共に、LMP1レーシングカー「Audi R18 e-tron」の技術的なDNAを受け継いでいることを表しているという。
このコンセプトカープロジェクトでは、アウディが現在取り組んでいる自動運転のレベル3、4、5と明確な差別化を図る目的で“レベル0”というスローガンが掲げられ、自動運転を実現するためのシステムを非搭載として、サーキットや公道を走行する究極のドライビングマシンとして設計が行なわれた。
Audi PB18 e-tronのボディサイズは、4530×2000×1150mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2700mm。キャビンを可能な限り車両の前方に配置した伝統的なミッドシップスポーツカーの構造に従っており、クルマの重心はシートの後方にあるリアアクスルの前方にあるため、優れたドライビングダイナミクスを実現しているという。また、アルミニウム、カーボン、複合材を組み合わせることでボディの基本重量を抑え、比較的軽量な全個体電池の搭載により、総重量は1550kg未満になると予想されている。
Audi PB18 e-tronは、フロントに1つ、リアに2つ、計3つの電気モーターを搭載し、4輪駆動システムを採用。リアのモーターはステアリングナックル中央に配置され、ハーフシャフトを介してそれぞれが1つのホイールを駆動する。フロントアクスルには最大150kW、リアアクスルには350kWの出力が供給され、最高出力は500kW、ブーストモードでは一時的に最大570kWのパワーを発生させる。最大トルクは830Nmで、0-100km/h加速は2秒未満としている。
水冷式の全個体電池は95kWhのエネルギー容量を備え、1回の充電でWLTPサイクルにおいて500km以上の走行が可能。800Vの急速充電に対応して約15分で満充電可能としたほか、「アウディワイヤレスチャージング(AWC)」による非接触充電にも対応する。
エクステリアでは、フロントに幅広く水平にカットされた六角形のシングルフレームグリルを設置。シングルフレームグリルの左右に設置された大型のエアインテークは、冷却のためのエアをブレーキとフロントの電気モーターに供給する。ヘッドライトには、デジタルマトリクステクノロジーとレーザーハイビームヘッドライトを統合した、ワイドでフラットなライトユニットが装着されている。
側面では、穏やかに傾斜するルーフラインとほぼ垂直に設置された大きなリアウィンドウが、クーペのようなリアデザインを備えたステーションワゴン“シューティングブレークコンセプト”を思わせ、リアエンドでは横幅いっぱいに広がったフラットな赤い光の帯がボディの幅広さを強調。リアディフューザーのエアアウトレットの位置は引き上げられ、ダウンフォースを高めるために、ディフューザーをメカニカルに下げたり、通常固定されているリアスポイラーを後方に伸ばすことが可能となっている。
足まわりでは、「Audi R18 e-tron quattro Le Mansレーシングカー」をサスペンションの基本構造のモデルに設定。独立懸架式のフロント/リアサスペンションは、ロワおよびアッパートランスバースコントロールアーム上に設置され、フロントアクスルにはプッシュロッドシステムを、リアアクスルにはプルロッドシステムを採用。ショックアブソーバーは、前後共にマグネティックライド式のアダプティブダンパーを装着している。
非対称8本スポークデザインを備えた22インチの大径ホイールには、フロントが275/35タイヤを、リアが315/30タイヤをそれぞれ装着し、電気ブレーキと連動して作動する19インチの大径カーボンブレーキディスクを採用した。
インテリアには運転席とコクピットが設置されており、このコクピットは横方向にスライドするインナーモノコックシェルに組み込まれている。1人で運転する場合は、コクピットをレーシングカーのようにサーキット走行に最適な中央位置にモノポストとして移動可能。同乗者がいる場合は、ドライバー用モノコックをサイドポジションにスライドして一般的なクルマと同様の運転位置に移動させると、乗員用のスペースが出現。乗員用のシートには3点式シートベルトが装備されている。また、カーゴスペースは470Lというスポーツカーではかなり広いスペースを確保した。