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TCRJ、「TCR ジャパンシリーズ」2019年の開催概要を発表。横浜ゴムのタイヤ供給が決定

WSCと2024年まで6年契約を締結

2018年10月27日 発表

記者会見終了後に握手しながら会見に臨む3者

 日本TCRマネージメント(TCRJ)は、2019年にスーパーフォーミュラとの併催を計画している「TCR ジャパンシリーズ」を開催概要を発表。同時に、TCR ジャパンシリーズ向けのオフィシャルタイヤサプライヤーが横浜ゴムに決定したことを発表した。

 TCRJは、TCR ジャパンシリーズをプロモートすることを目的に、スーパーフォーミュラを主催する日本レースプロモーション(JRP)、コックス、童夢の3社により設立された新会社。

 同社は10月27日に鈴鹿サーキットにおいてTCR規格の策定などを行なっているTCRのプロモーターとなるWSCと共同で記者会見を開催、同社とWSCがTCR規格のレースを2019年~2024年にわたって日本で開催する6年契約を結んだことを明らかにした。

WSCと6年契約して2024年まで「TCR ジャパンシリーズ」を開催。横浜ゴムがタイヤサプライヤーに決定

日本レースプロモーション株式会社 代表取締役社長 兼 日本TCRマネージメント株式会社 代表取締役社長 倉下明氏

 日本レースプロモーション 代表取締役社長 兼 日本TCRマネージメント 代表取締役社長 倉下明氏は「TCR ジャパンシリーズに関して2つの重要な決定を行なった。WSCのマルチェロ・ロッティ氏とTCRレースが開催されていた上海において、2019年からの6年契約にサインした。そして、あわせて先週スーパーフォーミュラでも重要なパートナーとしてサポートを頂いている横浜ゴムさんにTCR ジャパンでもオフィシャルタイヤサプライヤーとしてご協力頂けることになった」と述べ、TCRJとWSCがTCR ジャパンシリーズの開催に関して6年契約を行ない、さらにそのタイヤサプライヤーに横浜ゴムが決定したことを発表した。

 WSCとは、TCRの車両規定や世界各地のTCRレースなどをプロモートしているプロモーターで、WTCRもWSCが決めているTCRの規定をFIAが受け入れることで成り立っているシリーズになっている。

 WSCではそうした頂点にあるWTCRだけでなく、世界各地でTCRシリーズを、ローカルのプロモーターと契約して運営しており、今回日本でのシリーズ立ち上げに関して、実質的にJRPと、そして書類上ではJRPがコックスや童夢と協力して新しく設立したTCRJと契約するに至ったのだ。

WSC マルチェロ・ロッティ氏

 WSCの創設者で、WTCRの前身となるWTCCを立ち上げた功労者としても知られているマルチェロ・ロッティ氏は、WTCCのプロモーターをやめた後、WSCを設立し、世界中で650台のTCR車両が走るようなカテゴリーにTCRを育て上げ、2018年からはWTCCに替わりTCR規定に基づいたWTCRがスタートするほどの成功を収めている。

 ロッティ氏は「今年はオーストラリアでTCRレースが始まり、来年からは日本がそれに加わってくれることを嬉しく思っている。過去5年間TCRのコンセプトを開発してきたが、世界で30の選手権があり、5大陸35カ国でレースが行なわれており、1年で実に250レースが行なわれている。そしてTCR車両は12のホロモゲーションが行なわれており、世界中で650台のTCR車両がレースを走っている」と述べ、TCRがカテゴリーとして大成功を収めたことを強調した。

 その上で、ロッティ氏は「日本でのTCRの成功を願っている。既にアウディが参加することを決めていると聞いているし、ホンダさんがタイトルを獲るために努力してくれることも期待したいし、他の日本のマニファクチャラーにもTCRに参入して欲しいと願っている」と述べ、既に「Honda Civic TCR」というTCR車両の販売を開始しているホンダ以外の日本のメーカーに参入を呼びかけた。

横浜ゴム モータースポーツ室長 阿部義朗氏

 続いて、TCR ジャパンシリーズにオフィシャルタイヤサプライヤーとしてタイヤを供給する横浜ゴム モータースポーツ室長 阿部義朗氏が挨拶に立ち、「WTCC時代から長いお付き合いをしている。コントロールタイヤとして形での指名をされ、日本以外のシリーズやWTCRに供給している経験を生かしていきたい。TCRはタイヤとって厳しい条件の車で、タイヤに関しては安全性を優先して開発している。これからも世界各地のTCRに安全性や耐久性に優れたタイヤを、プロモーターの皆様と協力してやっていきたい」と述べた。

司会進行はスーパーフォーミュラ、オフィシャルMC 水村リアさん

レースはスーパーフォーミュラと併催、ジェントルマンドライバーのレースに

 TCRJの倉下氏によれば、2019年のカレンダーは基本的に以下のようになっている。

・2019年レースカレンダー(案)
Test:3月26日~27日:富士スピードウェイ
Rd.1:5月18日~19日:オートポリス(Super Formula)
Rd.2:6月22日~23日:スポーツランドSUGO(Super Formula)
Rd.3:7月13日~14日:富士スピードウェイ(Super Formula)
Rd.4:9月28日~29日:岡山国際サーキット(Super Formula)
Rd.5:10月26日~27日:鈴鹿サーキット(Super Formula)
Rd.6:Date TBA:Venue TBA

TRCジャパンシリーズの概要

 基本的に全戦スーパーフォーミュラと同日程で、スーパーフォーミュラと併催という扱いになる。ただし、スーパーフォーミュラの開幕戦になる鈴鹿、そして第5戦として開催されるツインリンクもてぎのレースだけは併催されない。これは両レースが2018年は2&4レースとして、2輪のレースと併催されたことによる、スケジュールに余裕がないためだとTCRJでは説明している。

 なお、第2戦として予定されているオートポリスも2018年は2&4として開催されたが、TCRJと併催と発表されたということは、2019年は2&4ではない可能性が出てきたと言える。

 第6戦として開催場所、開催時期未定というラウンドも入っているが、これに関しては第5戦の後に行なわれるのではなく、その前になったりする可能性もあるようだ。従って、可能性として高いのは2&4として現状では難しいと考えられている、SFの開幕戦鈴鹿か第4戦ツインリンクもてぎのどちらかでも開催される可能性があるのではないだろうか。

 また、倉下氏は「スーパーフォーミュラはドライバーとしての頂点の頂点を争うシリーズ。それに対してTCRJの方はジェントルマンドライバーに楽しんでもらうレースになる。このため、例えばお医者さんで忙しいので土日両方に参加するのは難しいけど、どちらかだけに参加出来るというジェントルマンドライバーにも配慮して、土曜日だけのタイトル、日曜日だけのタイトルとして土日それぞれに賞典をかける」と述べ、メインターゲットになるジェントルマンドライバーに配慮した形だと説明した。

 TCRJによれば、レースフォーマットは金曜日にフリー走行が行なわれ、土日それぞれに公式予選20分、決勝レース23分+1ラップという形で行なわれる。それぞれのレースに総合クラス、ジェントルマンクラスという2つの賞典がもうけられており、シリーズチャンピオンを争う形になる。

 実際にはエントラントは1台の車両を土日それぞれに同じゼッケンの車両をエントリーさせ、複数のジェントルマンドライバーが土日でシートを分け合うという形をTCRJでは想定しているという。こうすることで、土日のドライバーそれぞれ参戦にかかるコストをシェアできて参戦のハードルを下げることができるし、エントラント側にとっては乗るジェントルマンドライバーを見つけやすくなる。

 土日それぞれのタイトル(ドライバー総合、ジェントルマンドライバークラス)のほかに、エントラントタイトル(ゼッケン別ポイント合計)、さらにマニファクチャラーズタイトルではないが、モデルオブザイヤーというタイトルをもうけて、エントラントチャンピオンチームの車両モデルを表彰する仕組みも用意されており、マニファクチャラーにも参入を促す仕組みとなっている。

 なお、このTCRJに参加出来るのは、FIAのドライバー区分でシルバー以下(FIAのドライバー区分にはプラチナ/ゴールド/シルバー/ブロンズがある)となっており、セミプロからジェントルマンをターゲットとしたレースということになる。なお、フリー走行にはゴールド以上のドライバーも参加出来るので、例えばプラチナのスーパーフォーミュラのドライバーがジェントルマンドライバーの講師として車両をドライブして車を作ったり、ということは可能になると言うことだった(ただし、土曜日以降はシルバー以下でなければ参加出来ない)。

 倉下氏によれば現状では車両の手配状況や日本で既にTCR規定で行なわれているS耐などに導入されている車両から10台程度の参加が見込まれており、今後は徐々に増えていく見通しだと説明した。TCRJによれば、S耐に出場しているTCR車両に関してはABSをオフにして、燃料タンクをスプリント用のものに切り換えることで参加出来るとのことで、Honda Civic TCR、Volkswagen Golf GTI TCR、Audi RS3 LMSなどがTCR ジャパンシリーズに出場する可能性がでてきた。

TCR ジャパンシリーズのロゴ