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新城ラリー 2018、ユホ・ハンニネン選手が「ヤリスWRC」でデモラン
「今まで乗せてもらったマシンの中で最も迫力があった」と大村秀章県知事
2018年11月6日 12:31
- 2018年11月3日~4日 開催
愛知県新城市で11月3日~4日、全日本ラリー選手権 第10戦「新城ラリー」が開催され、トヨタ自動車の「ヤリスWRC」によるデモンストレーション走行が披露された。
走行はサービスパークや特設ギャラリーステージなどが設置される県営新城総合公園で行なわれ、ドライバーはヤリスWRCの開発を担い、2017年シーズンにはTOYOTA GAZOO Racing WRTからWRC(世界ラリー選手権)にフル参戦したユホ・ハンニネン選手が担当。本物の最新WRCマシンとWRCドライバーによる走りは集まった多くのファンを魅了した。
走行に使用されたマシンは開発テストなどを行なったヤリスWRCの第1号車で、日本では唯一となる走行可能な車両。エアロパーツなどの外装品は現在戦っているモデルに合わせた仕様になっているとのことだ。また、車両の整備も2017~2018年に現地でメカニックとして活動してきたトヨタ自動車の社員メカニックが担当している。
「ドライバーのシートより低くセットされたコ・ドライバーのシートはかなり前方が見えにくく、シートに押し付けられるようなGでその走りの凄さを感じられました」と、同乗走行でその走りを体験したGAZOO Ladyの長沼南帆さんはコメント。長沼さんは「足立さん(TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジプログラムに参加し、欧州で参戦している女性コ・ドライバーの足立さやか選手)のお仕事ってとても大変なんですね」と、その過酷な環境で戦い続けるコ・ドライバーの仕事についても触れ、同乗走行の感想も語ってくれた。
小雨の混じる中で行なわれた11月4日最後の走行では、トヨタ自動車 副社長にしてGAZOO Racingカンパニー プレジデントの友山茂樹氏、愛知県知事 大村秀章氏も合流してデモ走行がスタートした。この新城ラリーで毎年ラリーカーに同乗している(させられている?)大村知事いわく「今まで乗せてもらったマシンの中で最も迫力があった」とのことで、WRCマシンの凄さを体で感じたようだ。また、ユホ・ハンニネン選手とかつてPWRC(プロダクションカー世界ラリー選手権)で戦い続けた新井敏弘選手も駆けつけ、かつてのライバルとの再会を楽しんでいた。ちなみに新井選手はPWRCで2度シリーズチャンピオンを獲得しており、FIAの世界選手権で世界チャンピオンとなった唯一の日本人だ。
ヤリスWRCのデモ走行が行なわれた会場のコースサイドには多くの観客が集まり、世界最高峰の舞台で戦うマシンの走りを楽しんだ。また、デモ走行が行なわれていない時間にも「TOYOTA GAZOO Racing Park」に展示されたヤリスWRCが時折エンジン始動を行っており、その際も大勢のファンに囲まれる人気ぶり。日本では見ることのできない、世界選手権を戦い続けるヤリスWRCの注目度の高さが伺えた。
2019年のWRCでは日本開催が見送られたものの、“モリゾウ選手”がラリーに目覚め、それがトヨタがWRCに参戦復帰する直接の引き金となったとトヨタが語るこの新城の地で、2020年にはレースで競い合うその本気の走りをぜひ見てみたいと多くの人に思わせたであろうデモ走行となった。
なお、TOYOTA GAZOO Racing WRTは2位のヒュンダイに12ポイントの差をつけ、現在WRCのマニファクチャラー選手権のポイントリーダーだ。11月15日~18日にオーストラリアで行なわれるWRC 最終戦のヤリスWRCの戦いにも注目したい。