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日産グローバル本社ギャラリーに1泊する「#日産でやってみよう車中泊」開催
2人の専門家に指導を受けつつ、災害避難を想定した車中泊を体験
2019年3月6日 16:21
- 2019年3月2日~3日 開催
日産自動車は、神奈川県横浜市にある日産グローバル本社 ギャラリーにて、3月2日~3日にかけて車中泊体験プログラム「#日産でやってみよう車中泊」を開催した。その模様をお届けする。
このイベントは、災害時にマイカーに避難することも視野に入れ、実際に車中泊を体験してみて、安全・安心に行なえる正しい知識を身に付けようというもの。講師にクルマ旅専門家の稲垣朝則氏と、災害リスクアドバイザーの松島康生氏を迎えてワークショップ形式で進められた。バッテリーをたくさん搭載するEV(電気自動車)の特性を生かし、日産「リーフ」を使った避難食調理の体験もあった。
イベントの開始時には、クルマ旅専門家 稲垣朝則氏と災害リスクアドバイザー 松島康生氏からあいさつがあった。
稲垣氏は“車中泊オピニオン”として、いわゆる車中泊とオートキャンプのどちらも楽しむ手法を「オート・パッカー」と名付け、釣りなどのアウトドアレジャー、絶景や秘湯を巡る旅、名物の食べ歩きなどを効率的に楽しむことを提案。雑誌などに記事を寄稿している。さらにこれを災害での避難時にも活用して、あくまでも消極的な車中泊ではあるが「避難のための車中泊」の手法を正確に伝えていきたいと語った。
松島氏は、地理情報システム(GIS)の専門家から災害リスク評価研究所を起ち上げ、被害想定調査や避難調査、防災施策アドバイスなどを行なっている災害リスクアドバイザー。新潟県中越地震から避難所を離れて車中泊を選ぶ人が注目され、東日本大震災や熊本地震で一般的に行なわれるようになったとし、車中泊ならではの脱水や一酸化炭素中毒、急性ストレス障害などに注意が必要だと語った。最も多いエコノミークラス症候群をマッサージなどで予防する方法についてもアドバイスしていた。
あいさつの後はリーフの横でレクチャーが行なわれた。プライバシーの守り方では、どこででも手に入れやすいレジャーシートを活用した目隠し方法を提案。レジャーシートは100円ショップなどでも入手可能で、小さく折り畳めるので常備しておくことも容易。そして横になる時のために、車中泊用に開発されたエアーマットをなるべく水平に設置する方法がレクチャーされた。
ひととおり作成手順を教わった後は、参加者がおのおの実際の車両を使って実践。講師の稲垣氏がサポートしつつ問題点を解決していくというワークショップ形式で進められた。
参加者はみな飲み込みが早く、すぐに要領よく車内を車中泊スタイルに変身させていた。リーフの車内に寝袋を入れると、ちょうどコンパクトな2人用テント程度のタイトな室内感で、なかなか雰囲気がいい。コンパクトカーでもこのように足を伸ばせる状態が作れるのは、なかなか勉強になる。車中泊では足が伸ばせるかどうか、少しでも寝返りができるかという点はとても重要なのだ。記者はキャンプ用エアマットを持っているので、ぜひ実践してみたい。
1500Wの電力が無音で長時間使える光景は感動的
夕食の時間には、リーフのバッテリーから100Vコンセントの出力が得られる可搬型EVパワーコンディショナーの「リーフ to 100V」を活用して、災害用保存食を調理する実践も行なわれた。IHヒーターを使ってお湯を沸かし、アルファ米にお湯を入れ、レトルトカレーは湯煎をする。ギャラリー内では飲食ができないので作るまでを行ない、別室にて試食をした。
災害時を含めて車中泊では、火を使う調理は制限が多くなる。その点で電気を使う調理であれば、火災の危険もなく活用場所も広がってくる。リーフ to 100Vは1500Wまでの出力を持っているので、IHヒーターや電子レンジ、電気湯沸かし、電気炊飯器など家庭用の電気調理器を屋外で活用することもできる。このほか自宅に「V2H(Vehicle to Home)」の設備を整えておけば、リーフのバッテリーで家庭内の電力供給を行なうことも可能だ。避難をする必要がない単なる停電の際にもとても役立つ。この場合にはエアコンや冷蔵庫、200VのIHコンロなどの動作も可能になる。
屋外で電源を得るにはエンジン式の発電機を使うこともよくあるが、その作動音に慣れていると、まったくの無音で1500Wの電力が長時間使える光景を目の当たりにすると、ちょっとだけ革命的で感動する。EVが増えてくると、このような光景が当たり前になっていくのだろう。
災害時には、温かい食べ物が手に入りにくくなるのがとても厳しい。その時に湯煎という手段は最適な調理法になると松島氏は教えてくれた。貴重な水を何度でも温めて再利用できることも理由の1つ。カップラーメンの場合はその都度にお湯を消費してしまう。湯煎で調理できる保存食材の種類もとても増えてきている。
また、稲垣氏いわく、調理で最も幅広く活用できるのはアルミ製でテフロン加工されたフライパンとのこと。これがあればほとんどの調理で困らないそうだ。
事前に1回でも体験しておくことが重要
就寝前には、松島氏から防災に関しての講義が行なわれた。地震の正しい知識と理解、室内の地震対策、防災グッズの選び方、災害時の帰宅困難に備えるといった話題に関して詳しく解説された。
ギャラリーは22時に消灯され、各自で作成した車中泊仕様の車両に乗り込んでいった。朝には、起床後にエコノミークラス症候群予防のためストレッチ体操などを行ない、朝食を食べて解散となる。
災害時にはかなり気が動転するので、このような体験を1度でもしていると、焦らず慌てずに準備ができるだろう。もちろん普段の旅行でも、例えば渋滞が予想される時間をずらして動くといった目的でも車中泊は活用できる。