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プジョー、新型「208」&新型EV「e-208」、新型MPV「リフター」発表会レポート

「2025年までに全ラインアップの動力源に何らかの電気を用いる」

2019年10月18日 開催

日本初公開された新型「208」とプジョー・シトロエン・ジャポン株式会社 代表取締役社長 クリストフ・プレヴォ氏(左)、プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社 マーケティング部 マーケティング部長 トマ・ビルコ氏(右)

 プジョー(プジョー・シトロエン・ジャポン)は、10月19日から26日の8日間にわたり、独自のプジョーブランド体感イベント「PEUGEOT SHOW 2019 -UNBORING THE FUTURE- 」を六本木ヒルズ(東京・港区)の大屋根プラザおよびヒルズ カフェ/スペースにて開催中だ。

 イベント開催に先立ち、報道関係者向けの発表会が10月18日に行なわれ、新型「208」と新型EV(電気自動車)「e-208」、新型MPV「リフター」を日本初公開した。先の記事で車両の写真を紹介したが、続報として発表会でのプレゼンの内容をお伝えする。

プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社 代表取締役社長 クリストフ・プレヴォ氏
2025年までに全ラインアップの動力源に何らかの電気を用いる
共通プラットフォームの「CMP」と「EMP2」を採用
2019年の目標販売台数は1万台オーバーとし、年間販売台数の更新を目指す

 発表会の冒頭、プジョー・シトロエン・ジャポン 代表取締役社長のクリストフ・プレヴォ氏が登壇。グループPSAとして、クリーンかつ持続可能なモビリティの提供を約束し、ハイブリッド車を含む大胆な電動化戦略を打ち出すとともに、共通プラットフォームの「CMP(Common Modular Platform)」と「EMP2(Efficient Modular Platform 2)」に採用よって、スタイルや運転の機能、居住性を損なうことなく多くの技術を取り込みつつ、動力源を選択できるようになったことに言及。「2種の動力源がある新型208から、2025年までには全ラインアップの動力源に何らかの電気を用いるようにしていく」と、電動化を積極的に進めていく戦略を説明。

 日本でのグループPSAの販売台数は、2015年より84%増えていて、2019年は15年ぶりに1万台以上の販売台数(プジョー 206がヒットした2003年の1万5162台がピーク)を目指していると、販売状況の報告があった。そして「本日発表する『リフター』は、プジョーファンが長年待ち焦がれてきたモデル。このMPVを日本に導入できたことをうれしく思う」とあいさつを締めくくった。

新コンセプトMPV「リフター」

新コンセプトMPV「リフター」

 続けて、日本に初導入する新コンセプトMPVのリフターが披露され、プジョー・シトロエン・ジャポン マーケティング部 プジョープロダクトマネージャー 上村学氏が解説を加えた。

 リフターは2018年のジュネーブ国際モーターショーで発表以来、日本でも大きな反響があったモデル。2020年夏の正式導入に先だって、特別仕様車「RIFTER Dubut Edition」を先行発売することが発表された。すでに公式サイトでオンライン予約を受け付けている。

 高い車高による広いスペースと収納力だけでなく、スポーティさや乗用車としての高いクオリティを持っていることが特徴で、自然が似合う新しいコンセプトのMPV。ボディサイズは4400×1850×1880mm(全長×全幅×全高)。日本導入仕様は5人乗りのみ。このサイズでは必須とも言える左右スライドドアを備え、電動ではないものの開口部は高さが115cm、幅が76cmと広い。

 マルチパノラミックルーフは、電動シェードを持つガラスルーフの中央に半透明のレールを設けて、14L相当の収納力を持つ。フロントルーフにも18Lの収納トレイがあって、夜は照度を調整できるムードライトとして利用できる。

 リアのハッチにはガラスハッチ単独で開閉が可能な「リアオープニングガラスハッチ」を標準装備していて、狭い駐車場での使用など実用性が高い装備だ。フレキシブルラゲッジトレイを使って、ラゲッジスペースを上下に分割させ有効活用することもできる。助手席まで倒すと2.7mの長尺物の収納も可能。5名乗車時でもトノカバー下で597Lの容積があり、2列目シートを倒した際の最大積載容量は2126L。この容積は「5008」を上まわる。

 パワートレーンでは1.5リッター“Blue HDi”ディーゼルエンジンと8速ATを組み合わせ、EMP2プラットフォームにより高いレベルの静粛性と軽量化を実現している。SUVを意識したアドバンスド・グリップコントロールも装備する。

 デザインは曲線を多用し、厚みがあるフロントフェイスはブラックパーツも多用してスポーティな印象。ルーフレールも標準装備。ブラックのホイールアーチモールとサイドプロテクターがSUVらしさを演出している。

 ダークブルーとグレーのコンビネーションを使ったインテリアは質感が高く、プジョーの新世代インテリア「i-Cockpit」をうまくSUVに融合させている。8速ATのシフト形状は円形のダイヤルタイプ。安全運転支援機能は基本的に308と同等機能を標準装備する。

 ボディカラーはメタリック・コッパー、ディープ・ブルー、ビアンカ・ホワイトの3種が用意される。

プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社 マーケティング部 プジョープロダクトマネージャー 上村学氏
リフターはSUVの機能性とクオリティ、パワフルなエンジンを併せ持つ
リフターのサイズ
多彩なサイズの積載に対応する
トノカバーは上下に移動が可能
リア上部にもユーティリティスペースを用意
マルチパノマミックルーフ。中央は収納コンパートメントにもなる
「i-Cockpit」を採用した上質なインテリア
1.5リッター“Blue HDi”ディーゼルエンジンとEMP2プラットフォーム
ダイヤルタイプのシフトセレクター
先進安全運転支援機能は基本的に308と同等機能を標準装備
3色のボディカラー

 発表会の途中、プジョー・シトロエン・ジャポン マーケティング部 マーケティング部長のトマ・ビルコ氏があいさつに立ち、ブランドメッセージ「UNBORING THE FUTURE(退屈な未来は、いらない)」について、「単なるハイテクな移動ツールではなく、技術に情熱を加えて、暮らしに楽しみをもたらすクルマを届けたいという思いがある」と語られた。

 続けてプジョー・シトロエン・ジャポン マーケティング部 プジョーブランドマネージャー 志水弘樹氏も、ヨーロッパで行なわれた調査を例に挙げつつ、自動車を運転する喜びが求められていることについて言及し、208でのフルEVモデルの投入に続けて、PHEVを含めて電動化させたクルマを登場させていくと解説を加えた。

プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社 マーケティング部 マーケティング部長 トマ・ビルコ氏
ブランドメッセージ「UNBORING THE FUTURE(退屈な未来は、いらない)」
プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社 マーケティング部 プジョーブランドマネージャー 志水弘樹氏
PHEVを含めて続々と電動化させたクルマを登場させていく

新型「208」とEV「e-208」

新型「208」
新型EV「e-208」

 最後に新型「208」と「e-208」が披露され、ふたたび上村氏が登壇して解説を行なった。208は7年ぶりのフルモデルチェンジとなり、e-208はバッテリーと電気モーターを動力源としたピュアEV。2020年の第3四半期(夏)の導入を目指している。掲げたコンセプトキーワードは「Futuristic & Young」。手ごろな価格のコンパクトカーにガソリン車とEVをラインアップし、パワートレーン以外は同等のデザイン、スペース、乗り心地を提供するとのこと。

 まだ欧州仕様値になるが、ガソリン車は1.2リッター ダウンサイジングターボ“PureTech”エンジンを搭載して最高出力100PS、最大トルク205Nmを発生。8速ATを組み合わせる。

 EVは1回の充電で最大340km(WLTPモード値)の走行ができる50kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、最高出力は136PS、最大トルクは340Nm。最高速は150km/h。走行モードは「エコ」「ノーマル」「スポーツ」の3モードを選択してドライブすることができる。充電性能はコンセント(3kW/200V)で18時間、ウォールボックス(6kW/200V)で9時間で満充電になる。急速充電「CHAdeMO(チャデモ)」にも対応するという。バッテリーは8年16万kmで70%を保証するほか、メンテナンスや延長保証をEV専用で設定する。全国のプジョー販売店に充電器を配備するとしている。

 プラットフォームにはCMPを採用。BセグメントだけでなくCセグメントを含めた全ボディ、ガソリン、ディーゼル、EVを含めた全パワートレーンに対応。約30kg軽量化され、空気抵抗の改善、静粛性向上に貢献している。ボディサイズは現行モデルに比べ40mm低く、5mm広く、80mm長くなっている。

 7インチタッチスクリーンとピアノタイプのトグルスイッチ、345mm径のコンパクトステアリングなどで構成される「i-Cockpit」だが、208ではこれを進化させ、情報を立体表示させるインストルメントパネルにした「3D i-Cockpit」となった。重要度によって奥行きを持たせていて、情報を把握しやすくしているという。

 安全運転支援機能では、昼夜ともに動作するアクティブ・セーフティブレーキをはじめ、アクティブクルーズ・コントロール、レーンポジショニングアシスト、アクティブブラインドスポットモニターなどを搭載し、全方位でドライバーをサポートする。

 パワートレーン以外はEVとガソリン車で同等の価値を提供するとともに、ライフスタイルに合わせて選択してもらえるようにし、車両価格だけに着目するのではなく、そのほかの所有コストを加味して同等になるように設定。コスト面でもガソリン車とEVを同等に検討できる土壌を作りたいとのことだ。

ガソリン車とEVでパワートレーン以外は同等の価値を提供
ガソリン車とEVのパワートレーン
e-208の充電対応
フルEVのメリット
e-208向けで予定されるサポート
新しいコンパクトプラットフォーム「CMP」を採用
新型208のボディサイズ
新型208のインテリア
進化した「3D i-Cockpit」
7インチタッチスクリーン
装備予定の安全運転支援機能
車両価格だけではなく、そのほかの所有コストを加味して同等にしたいという

 締めくくりに、ハイパフォーマンスPHEVのコンセントカー「コンセプト 508 プジョー スポール エンジニアード」のムービーが放映された。フロントに配置された200PSのガソリンエンジンと110PSの電気モーターに加え、リアには200PSの電気モーターを搭載。4輪駆動により400PS相当の最高出力を誇る。今後の市販が待ち遠しいスポーティモデル。どうやら退屈な未来にはならないようだ。

コンセプト 508 プジョー スポール エンジニアード