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BMW、新型「8シリーズ グラン クーペ」発表会。独自のカーボン・コア構造でホイールベースを200mm延長

530PS/750Nmの4.4リッターV8ツインターボ搭載車は0-100km/h加速3.9秒

2019年10月25日 開催

1152万円~1715万円

BMW 8シリーズ グラン クーペと8月1日付でビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長に就任したクリスチャン・ヴィードマン氏

 ビー・エム・ダブリューは10月25日、BMW GROUP Tokyo Bay(東京都江東区)において、ラグジュアリー4ドアクーペ「8シリーズ グラン クーペ」の発表会を開催した。同日発売となった8シリーズ グラン クーペの価格は1152万円~1715万円。

 8シリーズ グラン クーペは、BMWの最上級クーペモデルとなる「8シリーズ」に追加されたモデルで、4ドアながら伸びやかなスタイリングと快適な室内空間を実現しているのが特徴。5085×1930×1400mm(全長×全幅×全高。4WDの一部モデルの全高は1405mm)の堂々たるボディは、8シリーズ クーペよりホイールベースを205mm延長した3025mmとしながら、センタートンネルにカーボン・コア構造を採用することより車体剛性を大幅にアップ。広々とした室内空間と美しいノッチバックスタイルを両立する。

 エンジンは3タイプ。ガソリンエンジンはV型8気筒DOHC 4.4リッターツインターボユニットと、直列6気筒DOHC 3.0リッターターボユニットを用意。前者のスペックは最高出力390kW(530PS)/5500rpm、最大トルク750Nm(76.5kgfm)/1800-4600rpm。前述したように大きなボディを持っているものの、0-100km/h加速は3.9秒とボディサイズを感じさせない俊足を誇る。後者は最高出力250kW(340PS)/5000rpm、最大トルク500Nm(51.0kgfm)/1600-4500rpmを発生し、0-100km/h加速は5.2秒。

 残る1タイプはクリーンディーゼルエンジン。こちらは直列6気筒DOHC 3.0リッターターボユニットで、最高出力235kW(320PS)/4400rpm、最大トルク680Nm(69.3kgfm)/1750-2250rpmを発生。0-100km/h加速は同排気量のガソリンエンジン車を上まわる5.1秒となっている。組み合わされるトランスミッションは全車8速スポーツAT。駆動方式は3.0リッターガソリンエンジン車が2WD(FR)、それ以外は4WDとなる。

 専用設計のサスペンションはクーペモデルよりリアのトレッド幅を30mm拡大。安定方向のディメンションをカバーするため、最大3度の舵角を与えることが可能な後輪操舵システム「インテグラル・アクティブ・ステアリング」も搭載している。

 先進安全装備として注目したいのが「ハンズ・オフ機能付渋滞運転支援機能」だ。これは高速道路での渋滞時に、前方注視など一定の条件下ではあるものの、ステアリングから手を放しての走行を可能とするもの。その他にも衝突回避・被害軽減ブレーキ、「アクティブ・クルーズ・コントロール」「レーン・チェンジ・ウォーニング」など、多くの運転支援システムを標準装備としている。

 グレードは3.0リッターガソリンエンジン車が「840i グラン クーペ」(1152万円)、「840i グラン クーペ M Sport」(1298万円)の2タイプ、3.0リッターディーゼル車が「840d xDrive グラン クーペ」(1226万円)、「840d xDrive グラン クーペ M Sport」(1372万円)の2タイプ、4.4リッターガソリンエンジン車が「M850i xDrive グラン クーペ」(1715万円)1タイプの計5モデル。

アンベール後スモークの中から姿を現わす
M850i xDrive グラン クーペ
ボディサイズは5085×1930×1405mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは3025mm
ヘッドライトまわり。ハイビームにレーザーを採用する「BMW レーザー・ライト」を装備
グリル中央にカメラが埋め込まれている
シートメタルから6回のプレス加工を経て造形されるリアクォーターパネル
フューエルリッドを開けたところ
フロントウィンドウ上部に3眼カメラを備える
リアコンビネーションランプ
エンジンはV型8気筒DHOC 4.4リッターツインターボ。最高出力390kW(530PS)/5500rpm、最大トルク750Nm(76.5kgfm)/1800-4600rpmのハイパフォーマンスユニットだ
撮影車両の装着タイヤはミシュラン「パイロット スポーツ 3」。タイヤサイズはフロント(右)が245/35R20、リア(左)が275/30R20
ラグジュアリークーペにふさわしい上質なムード漂うインパネまわり
レザータイプのステアリング。大型のパドルシフトを装備
スポーク部に運転支援システムなどのスイッチを配置
シフトセレクターまわり
シフトノブ上部はクリスタルガラス製で、内部に「8」の文字が施される
ペダルまわり。アクセルペダルはオルガン式
インパネ上部に10.25インチのコントロール・ディスプレイを配置
左右独立した空間となるリアシート。乗車定員は5名
スポーティな形状のフロントシート
運転席ドアトリム
アームレスト部にパワーウィンドウスイッチを配置
ハッチバックではなく、タップリとした容量の独立したトランクを備える
電動開閉機構を装備

4ドアクーペカテゴリーに革命を起こすモデル

BMW ブランド・マネジメント・ディビジョン プロダクト・マーケティング プロダクト・マネージャー 御館康成氏

 発表会では、BMW ブランド・マネジメント・ディビジョン プロダクト・マーケティング プロダクト・マネージャー 御館康成氏が詳細を説明した。

 御館氏は2018年にデビューした新型8シリーズの特徴について、「見るものを惹きつけてやまない美しいスタイリング」「ピュアスポーツカーを凌駕する走りのパフォーマンス」の2つを挙げ、多くのユーザーを魅了してきたと前置き。新たに追加となるグラン クーペは「単なる8シリーズの4ドア派生バージョンではなく、4ドアクーペカテゴリーに革命を起こすクルマ」だと紹介。その理由について、一般的にクーペを4ドア化することで走りやスタイリングに妥協を生じることがあるが、「妥協を一切せず、BMWの革新的なテクノロジーによって、より高い商品価値に昇華している」と述べた。

8シリーズ グラン クーペによりラグジュアリー・クーペを再定義する
内外装が放つ存在感
サーキット走行まで見据えたパフォーマンス
ラグジュアリー4ドア・クーペの革命
快適性、美しさ、走りのすべてを革新

 まず、スタイリングと快適性については、ホイールベースを205mm延長することで、プレステージセダン「7シリーズ」に匹敵する室内空間を確保したほか、リアサスペンションを専用設計とすることでトレッドと全幅を30mm拡大していると紹介。

 そのキーになるのが「カーボン・コア・テクノロジー」。軽量で非常に剛性の高いカーボントンネルを採用することで、長いホイールベースを実現しつつボディの曲げ剛性を高めているとした。また、アルミニウムと樹脂を使った非常に軽量なボディ構造を採用することで、最軽量モデルでは1900kgを切る非常に軽量な重量に仕上げていることも特徴の1つだとした。

スタイリング&快適性
ボディサイズ
高剛性と軽量化を両立
ノッチバッククーペスタイルを採用
深絞り鋼板の採用により、軽量化と美しいスタイリングを実現していると御館氏
ゆとりのある室内空間
パノラマ・サンルーフを設定

 パフォーマンス面においては、最上級モデルとなるM850i xDrive グラン クーペに「BMWのモータースポーツテクノロジーの粋を集めたV型8気筒ツインターボエンジン」を搭載することで、「大柄なクーペを、停止状態から100km/hまでわずか3.9秒で加速させます」と紹介。さらに最大3度の舵角をリアタイヤに与えるインテグラル・アクティブ・ステアリングによって「8シリーズらしいダイナミックでシャープなハンドリングを実現」したほか、電子制御スタビライザー機構となるアダプティブ M サスペンション・プロフェッショナルにより、「スポーティで快適な乗り心地」を8シリーズ グラン クーペは提供していると説明した。

ダイナミックパフォーマンス
ピュアレーシングパフォーマンス
後輪操舵システムの採用でシャープなハンドリングを実現
快適さとスポーティテイストを両立する電子制御アクティブ・スタビライザーを採用

 また、先進テクノロジーとして「世界最先端の3眼カメラと高精度な画像認識システムを使った先進安全機能に加え、BMWが日本で初めて導入した渋滞時ハンズ・オフ機能を標準装備」していると紹介。全車標準装備とした理由について、「BMWが将来の自動運転テクノロジーに対して、明確なリーダーシップを取っていくというコミットメント」だと述べた。

 もう1つ、標準装備の先進システムとしてAI音声認識システム「BMW インテリジェント・パーソナル・アシスタント」を紹介。「起動ワードを好きな言葉にできる」「有人対応のサポートデスクに繋がるシームレスなサービスを用意」という2つの特徴を挙げた。最後に「BMW 8シリーズが持つ美しいスタイリング、ピュアスポーツカーをも凌駕する走り。そこに新たな価値としてプレミアムで快適な空間を実現しながらも、一切の妥協をしない、まったく新しいラグジュアリー4ドア・クーペの革命だと自負している」とグラン クーペの紹介を締めくくった。

ハンズ・オフ・アシストを標準装備
起動ワードを自由に設定できるAI音声認識システムを全車に標準装備
8月からビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長に就任したクリスチャン・ヴィードマン氏
会場にはレベル4自動運転を実現する「7シリーズ」をベースとした「自動運転プロトタイプ車」も展示された
ボディの至る所にカメラなどのセンサー類を設置