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BMW、“究極のスポーツカー”新型「M8 グラン クーペ」日本初公開
“非常に特別なジョン・クーパー・ワークスモデル”を2月公開
2020年1月29日 07:00
- 2020年1月28日 開催
ビー・エム・ダブリューは1月28日、都内で2020年の新春記者会見を開催。2019年11月の「ロサンゼルスオートショー 2019」でワールドプレミアされた「M8 グラン クーペ」を日本初公開した。
2019年10月に発売されたラグジュアリー4ドアクーペ「8シリーズ グラン クーペ」にBMW Mのレーシングテクノロジーが与えられた高性能バージョンとなるM8 グラン クーペ。最高出力441kW(600PS)/6000rpm、最大トルク750Nm(76.5kgfm)/1800-5600rpmを発生する「S63B44B」型のV型8気筒DOHC 4.4リッターツインパワー・ターボエンジンを搭載する「M8 グラン クーペ」(2194万円)に加え、「M スポーツ・エキゾーストシステム」などの採用で最高出力を19kW(25PS)高めた「M8 グラン クーペ Competition」(2397万円)をラインアップする。このほか、M8 グラン クーペの詳細については関連記事「BMW、V8ツインターボの4WDモデル『M8 グラン クーペ』。“Competition”の最高出力625PS」を参照していただきたい。
2月に“非常に特別なジョン・クーパー・ワークスモデル”をお披露目
記者会見では最初に、ビー・エム・ダブリュー 代表取締役社長 クリスチャン・ヴィードマン氏が登壇。2019年の振り返りとして、年間で4万6814台のBMW車、2万3813台のMINIモデルの計7万627台の4輪車を新車登録。これによって5年連続で日本市場でナンバーワンのインポーターになったとアピール。さらに2輪車のBMW Motorradでも前年同等の5007台を販売しているという。
この原動力となっているのは、ヴィードマン社長が「かつてなかったほど」と表現する新車攻勢で、2019年にはBMW車で21台、MINIモデルで7台、BMW Motorradで8台の新型モデルを日本市場に導入している。
また、販売台数だけでなく、2019年に日本導入した7代目となる新型「3シリーズ」が、「第40回 2019-2020 日本カー・オブ・ザ・イヤー」の「2019-2020 インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」と、「2020年次RJCカー オブ ザ イヤー」の「2020年次RJCカーオブザイヤー・インポート(輸入車)」をダブル受賞。3シリーズは先代モデルでもそれぞれの賞を獲得しており、2世代続けての受賞となっているとした。これまでに同様のケースはなく、日本初の偉業を成し遂げたとヴィードマン社長は喜びをあらわにしている。
このほかにも2019年には、「Z4」が日本自動車殿堂の「カーデザインオブザイヤー」を獲得し、日本バイクオブザイヤーでは「S 1000 RR」が輸入車部門・最優秀金賞、「R 1250 GS Adventure」が輸入車部門・金賞に輝いていることを紹介した。
さらにヴィードマン社長は、BMWが日本国内に172か所のBMW販売店、119か所のMINI販売店、66か所のBMW Motorrad販売店を展開し、約1万人がBMWのビジネスに深く関わっていると解説。さらに世界で14か所あるBMWグループのテクノロジー・オフィスの1つが東京にあることを強調。日本は技術とものづくりのノウハウの最前線にあり、最新の技術と素材の研究を行なっているという。日本は「ロボット工学」「電池材料」「マン・マシン・インターフェイス」「光学」「ソフトウェア」「素材」「AI」「代替燃料」の8つの領域でとくに進んでおり、具体例として「CES 2020」で展示を行なった「BMW i Interactive EASEコンセプト」を紹介。このコンセプトカーのダッシュボードに設置されたピクチャープロジェクションユニットが日本の技術だったことを明らかにした。
市場投入する先進技術では、BMWは日本の省庁と緊密に連携を図り、ハンズ・オフシステムを実現した日本で最初の自動車メーカーになったとアピール。革新的な新しい技術によって日本のユーザーに快適さと安全性を提供した例と位置付け、自分たちが安全性と品質に対して真剣に取り組んでいることを証明しているとした。また、このハンズ・オフシステムはドイツ本国に先駆けて日本市場に導入されており、BMWが日本市場を重視していることの証だと述べている。
2020年の活動については、BMW車で2019年に中心となったラグジュアリーセグメントにおける取り組みを強化。この第1弾として同日、M8 グラン クーペを発売している。これに加え、日本市場で計11モデルを販売しているEV(電気自動車)やプラグインハイブリッドカーといった環境対応車でも攻勢を強めていくとした。また、対前年比で売上高47%増という大きな成果を挙げたMINIモデルは、この勢いをさらに強めていくため取り組みを続けるという。まずは2月に開催を予定する記者発表では、“非常に特別なジョン・クーパー・ワークスモデル”のお披露目を行なうと予告。詳細については2月の発表で明らかにするという。
2点目として、販売ネットワークとの連携によって売り上げを強化し、顧客対応によってユーザーのサービス満足度を高めていく。3点目では中古車ビジネスを取り上げ、今後は販売拠点を増やし、新車ビジネスとの明確な差別化を図るとした。4点目としては、マーケティングやコミュニケーション手法、販売する製品に“日本らしさ”を盛り込むため、日本向けのローカルモデルの導入も進めていくとした。
アフターセールスの分野では、ユーザーの保有コストを大きく引き下げる「BMW バリュー・パーツ&パッケージ」のサービスを継続して実施。また、パーツの配送能力を引き上げる新しいディストリビューションセンターの立ち上げを予定しており、パートナーであるグッドマングループと協力して2020年の第4四半期に、千葉県印西市にある「グッドマンビジネスパーク」内に「RDC印西」が完成する予定になっていると説明した。
「BMW Mの価値は、サーキット直結のテクノロジーを日常に駆る喜び」と御舘氏
ヴィードマン社長によるプレゼンテーション終盤でアンベールされたニューモデルのM8 グラン クーペについて、BMW ブランド・マネジメント・ディビジョン プロダクト・マーケティング プロダクト・マネージャー 御舘康成氏が商品解説を実施。
御舘氏はまず、M8 グラン クーペのベースとなっているラグジュアリー4ドアクーペの8シリーズ グラン クーペについて説明。「ラグジュアリー・クーペを再定義する」というテーマで開発された8シリーズ グラン クーペは、単に2ドアクーペにドアを追加して使い勝手を高めているだけでなく、BMW固有のテクノロジーを数多く投入して「クーペの価値を大幅に高める革新を実現している」とアピール。
具体的にはカーボンテクノロジーの多用で実現した3mを超えるホイールベース、美しく後方に伸びたルーフとトランクを持つノッチバックスタイルの両立などを実現。クーペ比で30mm広いリアフェンダーまわりと複雑な造形を兼ね備えるため、プレス工程を6回行なうことで実現しているという。これによりエレガントで美しいプロポーションと共に、収納スペースのトランクとキャビンが分離されたことによる静粛性、リアサスペンション取り付け位置の高い剛性が生み出すスポーティな走りを手に入れているという。
こうした基本性能を持つ8シリーズ グラン クーペをベースとするM8 グラン クーペだが、一方で2018年6月に行なわれた「ル・マン24時間レース」などのレースに出場した「M8 GTE」で積み重ねたモータースポーツフィールドの実績も受け継がれていると紹介。こうした手法で磨いた技術をユーザーにフィードバックしていくことは極めて異例で、御舘氏はM8 グラン クーペを「レーシングテクノロジー直結の“究極のスポーツカー”」と位置付けている。
この例として、M8 グラン クーペに搭載されている「BMW Mで最もパワフルなエンジン」というS63B44B型エンジンでは625PS/750Nmを発生する。この出力に加え、このエンジンでは単純なカタログスペックとしての数値だけではなく、V型8気筒の左右に分かれたバンクをまたぐような形状のエキゾーストマニホールドを使う「クロスバンク・ツインターボ」を採用。これにより、8つの気筒内で発生した排気がまったく干渉することなくターボチャージャーを等間隔で回転させることを実現。625PS/750Nmの出力をよどみなく発生させることが可能になるという。
さらにM8 グラン クーペでは強力なブレーキを採用し、軽量化を徹底的に追求。オプション設定でカーボンブレーキも用意され、全車でカーボンルーフを標準装備している。壇上で御舘氏が片手で持ち上げて見せたほど軽量なカーボンルーフは車両重量を軽減するだけでなく、車体の一番高い部分にあるパーツを軽くすることで重心高を抑制。コーナリングスピードをさらに高めることができるという。
このほかにもハイパワーを路面に的確に伝える4WDシステムの「M xDrive」と「アクティブ M ディファレンシャル」、量産化で妥協しない専用のアルミ鍛造サスペンションアームなどを投入しており、モータースポーツフィールドに対応する高い完成度を誇っている。
ここまで紹介した御舘氏は、「でも、それはサーキットという限られたフィールドで、レースドライバーという限られたテクニックを持つ人だけが享受できるものじゃないんですか?と思った人がいるかもしれません。しかし、そうではありません」とコメント。「BMW Mの価値は、サーキット直結のテクノロジーを日常に駆る喜びです」と語り、M8 グラン クーペが持つスポーティさは、例えば市街地で交差点を右左折する、高速道路のIC(インターチェンジ)で旋回するといったシーンでも必ず感じ取ることができると説明。
さらに運転した人は「このクルマは運転しやすい」と感じるだろうと述べ、その理由はこのクルマがサーキットで1000分の1秒を争い、自在にコントロールして先行するライバルがコーナーで開けた「車幅1台分+5cm」の空間に躊躇することなく飛び込んでいくためのクルマだからだと説明。そのためのテクノロジーが量産車ということの妥協することなく注ぎ込まれているとアピールした。
このほか、M8 グラン クーペではスポーツカーの黎明期から続く、高品質な手作りのカスタマイズサービスを受け継いでおり、オーダーメイドサービス「BMW Individual」で内外装を自分好みに変化させることが可能になっていることも紹介した。
「パックマン」とのコラボキャンペーンを実施
このほかに記者会見では、BMW ブランド・マネジメント・ディビジョン 本部長 ミカエラ・キニガー氏から同日にスタートした新型「2シリーズ グランクーペ」をPRする新しいキャンペーンが説明された。
日本オリジナルの新しいキャンペーンでは、2020年で生誕40周年を迎えた日本生まれのゲーム「パックマン」とコラボレーション。2シリーズ グランクーペは美しいボディとBMWらしい走行性能、高い実用性を備えるコンパクトカークラスの“真のゲームチェンジャー”であると位置付け、新しいキャッチコピー「Game Changer.ジョウシキなんて、ひっくり返せ。」を設定。さまざまな固定概念を食べ尽くし、襲いかかってくるモンスターにもフィールドに置かれた「パワークッキー」を食べることで反転攻勢に出るパックマンになぞらえている。