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日本郵便、配送用EV「ミニキャブ・ミーブ バン」を1200台導入。「ぽすくま」を描いた新デザイン公開

2019年11月13日 公開

左から三菱自動車工業株式会社 執行役員 若林陽介氏、日本郵便株式会社 銀座郵便局長 生島顕一氏、日本郵便株式会社 執行役員 上尾崎幸治氏、イメージキャラクタの「ぽすくま」

 日本郵便は11月13日、郵便物や荷物の配送時に使用する新デザインのEV(電気自動車)を公開した。車両は三菱自動車工業の「ミニキャブ・ミーブ バン」で、2020年度末までに東京都を中心とした近距離エリアに1200台を導入。1200台の導入後は、都内における配送に使用する軽四輪車の3割が電動化される。

 今回のEVの本格導入は、2013年より試行してきた検証結果を踏まえたもので、増備車種をミニキャブ・ミーブ バンとすることも3月に発表済み。公開された新デザインについて、ボディカラーは従来どおり赤となるが、日本郵便の切手デザイナーによるオリジナルデザインのイメージキャラクター「ぽすくま」とコンセントを描いたものとなる。

オリンピックまでに約800台、2020年度末には合計1249台

配送用EVが並んだ。後方に見えるクルマは同じ配送用EV

 EVの導入予定数は2019年度中に400台、2020年度は7月ごろまでに400台、年度末までに400台で、2020年度末までに合計1200台が配備される。配備後の全国の支社別配備台数は既存の49台を含めて、東北支社3台、関東支社96台、東京支社855台、南関東支社63台、東海支社40台、近畿支社138台、中国支社22台、四国支社6台、九州支社24台、沖縄支社2台の合計1249台の配備予定となる。

 報道公開された東京都中央区の銀座郵便局では、公開の前日までに20台を導入し、今年度末までに120台を導入して古いクルマと置き換える予定で、銀座郵便局の配送に使用する軽四輪車の9割がEVとなる。

 導入は全国の大都市圏の郵便局を中心に配備される予定で、1日の走行距離が多くて50km程度の運用になる業務で使用する。北海道や信越、北陸の寒冷地に導入しない理由は、バッテリーの能力が低下するのではないかという恐れから。ただし、東北支社で仙台市に3台導入予定となっており、寒冷地でどれだけ実用になるのか試行も兼ねているという。

荷物の積み込みを行なった

16kWhのバッテリーを搭載した「ミニキャブ・ミーブ バン」がベース

 日本郵便向けのミニキャブ・ミーブ バンのベースは、16kWhのバッテリーを搭載した仕様。ガソリン車のミニキャブ バンはスズキから車両供給を受けたものになっているが、EVのミニキャブ・ミーブ バンは従来どおり三菱自動車の工場で生産したものとなる。

 2013年と2014年に試験導入したミニキャブ・ミーブ バンとはデザイン違いで、車両のスペックにほぼ違いはないが、キーレスエントリーの導入など細かい装備の違いがある。また、日本郵便向けの仕様として、専用の車体色と荷室には木製のスノコとスライドドア部に荷物転落防止のネットを装備している。また、EVの燃費に直結する空調の効率を上げるため、運転席後ろにカーテンも備えている。

銀座郵便局にはすでに20台配備され、そのうちの5台のミニキャブ・ミーブ バンが並んだ

 配備した郵便局では1台につき1基の普通充電設備を設置し、充電は夜間に行なう。1日の走行距離が50kmほどとしたのは、ベース車1回の充電で走行できる距離が150km(JC08モード)に対して、ストップ・アンド・ゴーの多い配送車という特性を考慮したため。この距離は試験運用では問題なく利用でき、5年以上使用したEVのバッテリーでも問題なく利用できているという。

 車両には、普通充電とは別にCHAdeMOのソケットを装備して急速充電に対応しているが、急速充電を使った運用は想定していない。

充電ソケットを装着したEV。夜間はこのようにして充電する
地下駐車場の柱には普通充電用のコンセントと、充電ソケットホルダーを備えた
充電用コンセントのソケットをホルダーに装着したところ
銀座郵便局の地下駐車場は広大だが、普通充電用のコンセントの設置が行なわれている。120台導入する予定というが、1台につき1基の充電器も揃えられるという

 日本郵便ではEVの導入をCO2削減の取り組みの一環として捉えていて、グループ目標として2016年から2030年に16%、16.9万tのCO2削減を目指している。配送に使用する軽四輪車をEVに置き換えることで1台あたり50%のCO2削減となり、都内で配送に使用する軽四輪車を3割電動化することでCO2排出量は現在の9812tから8393tに15%減少する。

 今回は配送に使用する軽四輪車を電動化したが、今後も二輪車を含む電動化や環境配慮型車両の導入を検討していく。

ぽすくまも登場してキーを手渡し

 銀座郵便局では、ぽすくまが描かれた新デザインのEVを公開し、ぽすくまの立ち会いのもと、三菱自動車工業 執行役員の若林陽介氏が日本郵便の執行役員 上尾崎幸治氏にキーを手渡した。

日本郵便株式会社 執行役員 上尾崎幸治氏

 日本郵便の上尾崎氏は、EVを本格導入するにあたり「これまで5年ほど試行して、安全性、走行性は十分。2020年のオリンピックがある湾岸地域などを含めて1200台配備します。ぽすくまとともに皆さまにおもてなしの心をお届けし、ぽすくまのついた郵便車をご愛顧いただければ」と語った。

三菱自動車工業株式会社 執行役員 若林陽介氏

 また、三菱自動車の若林氏は「東京オリンピックを控える首都圏、大阪万博を控える関西圏を中心に配属されます。1200台ものご注文は、三菱自動車にしてみれば前代未聞のありがたいお話。しっかりと取り組んでいきたい」と述べた。

日本郵便仕様の新デザイン「ミニキャブ・ミーブ バン」

配送用の三菱自動車の「ミニキャブ・ミーブ バン」
運転席。納車したてで新車の香りが漂ってくる車内
床に板や荷物の転落防止ネットが装備され、運転席と荷室を隔てるカーテンも装備された
荷室
スペアタイヤも装備される
後輪を駆動する
ぽすくまが前後左右にデザインされ、前方と側面はコンセントを抱えている
普通充電ソケットは車両の右側面になり、通常はこちらを使う
通常では使用する予定はないというが、左側面にはCHAdeMOの急速充電ソケットを備える
日本郵便のミニキャブ・ミーブ バン(30秒)