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パナソニック、あおり運転とドラレコ使用状況に関する調査結果を公表
運転に自信のある人ほどあおり運転につながる行動をとる傾向
2020年1月15日 16:54
- 2020年1月14日 発表
パナソニック オートモーティブ社は1月14日、同社で実施した「あおり運転とドライブレコーダーの使用状況に関する調査」の結果を公表した。調査結果ではドライバーの約8割があおり運転をされた経験があり、一方で運転に自信がある人ほど「あおり運転予備軍(あおり運転につながりかねない行動をとる人)」が多い結果になったという。調査は3か月に1回以上クルマを運転し、年末年始にクルマで帰省など長距離を出かける予定のある、全国の20代~60代の男女2000人(男性:1153人、女性:847人)を対象にWebで調査を行なったもの。
約8割があおり運転の被害を経験
あおり運転の被害の有無について聞いたところ、81%が「あおり運転を受けたと感じたことがある」と回答した。その被害の種類は「車間距離を詰める」が85.4%で最も高く、次いで「パッシング」「クラクションでの威嚇」「幅寄せ」「必要のないハイビーム」と続いた。
被害を受けたきっかけとして思い当たるものについては、「周りの車の流れよりスピードが遅かった」が30.1%で最も高く、「車線変更した/割り込みをした」「追い越し車線を走り続けた」が続いた。一方、約4割は「特に思い当たらない」と回答している。
あおり運転をされた時にとった対策については「道を譲った」が59.2%で最も高かった一方、「何もしなかった/できなかった」の回答が2番目に多い結果に。あおり運転対策として心がけていることは、「なるべく車間距離をとる」「不審な車に近づかない」が5割台でトップ2。次いで、「無理な割り込みはしない」「ドライブレコーダー導入」が続いた。
株式会社モビリシティ代表/モータージャーナリスト 森口将之氏のコメント
あおり運転をされた時に有効なのは、「あわてず、その場で自分の運転を見直し、やり過ごす」ことです。例えば後続車から車間距離を詰められた場合、もしかしたら自分の運転がゆっくりすぎていたのかもしれません。自ら対処できることは対処した上で、それでもしつこくあおられるようなら、サービスエリアなどの人のいる場所に逃げ込むといいでしょう。また、ためらわずに通報することも大切です。その場合、ドアや窓は助けが来るまで決して開けないようにしましょう。一方で、あおり運転をされた時、「何もしなかった/できなかった」の回答も多いですが、冷静に対処できるよう、対処方法を事前に考えることも必要と考えられます。
また、あおり運転はする方がわるいのはもちろんですが、被害者側にもあおられる原因を作り出さない心がけが求められます。道路というのは公共空間なので、集団で作る流れを妨げることはマナー違反にもつながります。例えば、スマホに気をとられスタートで遅れたりせず、周囲のクルマに合わせた速度で走行することなどが肝心です。適正な車間距離を保ち、周囲の流れを乱さないことが重要になります。また、実際の装着はもちろん、「ドライブレコーダー録画中」のようなステッカーを貼ることは有効と言えます。
運転に自信のある人ほど「あおり運転予備軍」の傾向は高い
アンケートではほかに、運転に対する自信や運転中にイライラする頻度を質問したところ、運転に自信のある人ほどイライラする頻度が高い傾向が出たという。
自らの運転に対する自信には、36%が「自信がある」と回答。男女で比較すると、女性に比べ、男性のほうが運転への自信は高い傾向がみられたという。
また、運転中にイライラしてしまう頻度は、「頻繁にある」が約13%、「たまにある」が約72%で、「ある」の合計は約85%という結果に。男女で比較すると、男性のほうがイライラする頻度はやや高い傾向にあり、また、運転への自信がある人ほど、イライラしてしまう頻度が高い傾向が表われた。
イライラするシチュエーションについては、約6割が「渋滞にはまった」、次いで「時間に遅れそうだった」「周囲の車のスピードが遅かった」が続いた。さらに、「周囲の車が突然車線変更した/割り込みされた」「前の車が何度もブレーキを踏んだ」など、周囲のクルマの運転技術に関する項目も多いことが分かった。また、イライラするときの乗車状況は、「一人で乗車しているとき」が約8割で、帰省時、長距離を1人で運転している人はイライラしやすい傾向にあることが分かったという。
イライラした際にとった行動については、「音楽や映像を楽しむ/楽しみたくなる」「飲み物や食べ物を食べた/食べたくなる」など、全体的に気分転換することによりイライラを軽減させる回答が多い傾向になった。しかし、イライラする頻度と合わせて比較すると、イライラすることが頻繁にある人ほど「悪態をついた・大声を出した/そうしたくなる」「イライラした相手の顔を見た/見たくなる」「急加速やスピードを出した/出したくなる」「クラクションを鳴らした/鳴らしたくなる」「停車時にイライラした相手に注意した/したくなる」「パッシングをした/したくなる」「ハイビームをした/したくなる」「幅寄せをした/したくなる」など、あおり運転に繋がりかねない項目も全体より高い傾向にあり、「あおり運転予備軍」であることが見てとれた。
運転中イライラすることのある人のうち、28.1%(全体の24%)がイライラした際、イライラを抑えることができずにあおるような行動をとる傾向にある「あおり運転予備軍」であることが判明した。また、運転に自信のある人ほどその傾向は高く、運転への自信がある(非常にある、ややある)人は34%以上が「あおり運転予備軍」であることが明らかになった。
さらに、自らのあおり運転をしていた可能性についての質問では、「ある」「たまにある」「いわれてみればしてしまったかもしれない」の回答の合計が約47%と約半数を占め、男女別でみると、特に40代以上の男性は6割超が「あおり運転をしていた可能性がある」と回答し、女性に比べ高い傾向がみられた。さらに、このアンケートでも、自らの運転に自信のある人ほどあおり運転をしていた可能性が高い傾向が現われたという。
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 代表理事の安藤俊介氏のコメント
あおり運転、あるいはその予備軍的行動をする人というのは意外に多いものです。クルマという鉄の箱に守られ、正体を隠して行動できるという「匿名性」と「万能感」があおり運転を引き起こす理由として挙げられます。特に、運転に自信のある人ほどあおり運転を引き起こす傾向が高いようです。あおり運転の問題はそれが犯罪につながりかねないということにあります。加害者も被害者も、「運がわるかった」「タチのわるいのに遭遇した」というレベルでしか捉えていない。今後、道交法改正による厳罰化が報道されており、大きな抑止力となることが期待されますが、その前にドライバー自身が意識を変えていくことが重要ではないでしょうか。
では、自らがあおり運転を引き起こさないためにはどうすべきか。まず、時間に余裕をもつことが大切です。また、車内には、お気に入りの音楽や家族の写真など気を紛らわせることができるものを準備しておくといいでしょう。また、イライラが高まったらまず、「6秒待つ」ことを心がけてください。「6秒」というのは怒りの感情の発生から理性が介入するまでの時間です。ドライブレコーダーを搭載して自身の行動を律するということも有効と考えます。カーナビと連携するタイプなら、自分の運転行動をすぐ確認することができ、あおり運転の予防につながるかもしれません。
ドライブレコーダーに関する調査
アンケート回答者のうち、ドライブレコーダーを保有していた人は43%、保有していなかった人は57%。保有者に自分の装着しているドライブレコーダーの各機能について聞いたところ、「わからない」と答えた人の割合が各項目で2~4割程度はおり、自身が保有するドライブレコーダーの機能を把握できていない人も一定数いることがうかがえた。
ドライブレコーダーの映像を確認するかという質問に対しては、全体では「確認する」が約47%、「確認しない」が約53%で、「確認しない」がやや高い傾向に。あおり運転被害の経験がある人とない人でみていくと、経験ありは、経験なしに比べて約半数が確認していることが分かった。
今後ドライブレコーダーを購入する際に重視する機能については、「録画した場所や時間の記録を残す(GPS機能)」が57.3%で最も高く、次いで「前方と後方の同時録画」、「暗い場所でもハッキリ録れる高感度撮影」と続いた。あおり運転の被害の種類で「車間距離を詰める」が85.4%と最も高かったという調査結果からも分かるとおり、「前方後方の同時録画」機能への需要は高まっていることが考えられるとしている。
株式会社モビリシティ代表/モータージャーナリスト 森口将之氏のコメント
あおり運転対策の必需品、ドライブレコーダー。これまではクルマの前方を記録するためのものでしたが、最近はあおり運転対策として後方カメラ搭載タイプのニーズも高まっています。あおり運転の多くは「車間距離を詰める」など自車の後方で起こっているので、その経緯も含めて記録しておけるという点で後方カメラのメリットは非常に大きいといえるでしょう。また、警察では最近ドライブレコーダーの映像をあおり運転の証拠として採用し始めています。証拠として使う場合、被害に遭った時刻や場所がきちんと記録されている必要があります。検証にあたっては、信号や周囲の状況なども重要です。こうした情報をもらさず記録するためにも、GPS機能や夜間でもくっきり撮影できる高感度カメラを搭載したドライブレコーダーを備えておくとよいでしょう。カーナビと連携するタイプであれば、地図とセットで記録できるため、位置情報の確認などで、より確実性が高まります。撮った映像を大画面ですぐ検証できるのも大きなアドバンテージです。またカーナビ専用端末の場合、ガラス面にカメラを設置するだけで済むため、視界の邪魔にならず、車内インテリアを損なわないという利点もあります。
【調査概要】
・調査期間:2019年10月31日~11月6日
・調査方法:Web調査
・調査対象:3か月に1回以上自動車を運転し、年末年始に自動車で帰省や長距離のお出かけをする予定のある、全国の20代~60代の男女2000人(男性:1153人、女性:847人)
・調査会社:株式会社ネオマーケティング
※記事中のグラフはすべてパナソニック調べ