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オペルはこれからどこを目指す? オペルオートモビル CEOのミヒャエル・ローシェラー氏に聞いた

オペルオートモビルGmbH CEOでグループPSA執行役員のミヒャエル・ローシェラー氏に話を聞いた

 2021年後半、オペルが日本に復活する。2006年に輸入を終了して以来、15年ぶりの再開となるわけだ。今回の導入発表にはオペルオートモビルGmbH CEOおよびグループPSA執行役員のミヒャエル・ローシェラー氏も来日しプレゼンテーションを行なった。その後に短い時間ながら話を伺うことができたので、その一問一答をお届けする。主にグローバルでのオペルについての質問とし、日本市場については既出のGroupe PSA Japan代表のアンジェロ・シモーネ氏の記事をご覧いただきたい。

 ローシュラー氏は、ダイムラー、三菱自動車ヨーロッパ、フォルクスワーゲンなどで財務、IT、マーケティング、セールス、購買、ロジスティックスの分野を担当。2012年9月にオペル入社後は財務を担当し、2019年9月より現ポジションを任命された人物だ。

社会の真ん中にいる人がターゲット

──はじめに伺いたいのは、オペルがグローバルで考えるターゲットユーザーです。歴史が長いオペルですが、現在どういう人たちをターゲットにクルマ作りを考えているのでしょう?

ミヒャエル・ローシュラー氏:社会の真ん中にいる人です。そしてイノベーションやハイテクは好きですが、そういったものをリーズナブルに手に入れたいと考えている人たちです。

──社会の真ん中というのは、言い換えると最もマスのあるところとも取れます。そうすると、フォルクスワーゲンとの違いは何でしょう?

ミヒャエル・ローシュラー氏:色々あると思いますが、まずオペルはとてもワクワクする、新鮮なデザインをまとっているクルマであるということが挙げられます。そしてそういったクルマをさまざまな車種で出していることが違いです。またターゲットであるイノベーションを好むお客さまが、リーズナブルな価格で購入することができることも重要ですね。

グローバル展開を踏まえ、共通のフロントマスクを採用

──いまデザインの話が出ましたが、つい先頃までオペルは共通のフロントマスクを持っていませんでしたね。ではなぜここに来て新しいフロントフェイスの考え方を持った“バイザー”(ウイングイルミネーションシグネチャーライトと、横基調のシャープなライン、クリースを共通要素として持たせた新しいフロントフェイスのこと)を取り入れ、共通の顔を持たせるようになったのでしょうか?

日本再進出で導入予定の「コルサ」(欧州名)でも共通のフロントフェイスを採用

ミヒャエル・ローシュラー氏:これはとても重要なことです。バイザーというデザインを取り入れていますが、これはすべてのオペルに取り入れていくデザインモチーフで、共通の要素を持つということはとても重要なことなのです。

 これから2年、3年かけて、オペルの顔、そしてオペルのデザイン言語を世界共通にしていこうとしています。それはオペルが世界のどこに行っても同じデザイン言語で、同じ顔を持っており、それをお客さまにきちんと受け止め、認知してもらうことが非常に重要なのです。そうすることによってブランド価値を理解してもらえるでしょう。

──つまりこれまでオペルはヨーロッパ市場を中心とした展開から、グローバルに展開していこうという方向転換を踏まえてということでしょうか?

ミヒャエル・ローシュラー氏:そういうことです。

PSAグループ内での差別化はできている?

──PSAグループの傘下に入ったオペルですが、他社との差別化はどのようになっていますか?

ミヒャエル・ローシュラー氏:新しい「コルサ」(欧州名)の内外装を見ると非常によく分かると思うのですが、クリアなデザイン言語が取り入れられています。特にインテリアは非常にクリアでピュアなデザインです。なるべく絞り込んで多くの要素を使わないクリアなデザインに仕上がっているのです。

 また、ドイツの腰痛などにおける第三者公的機関から認証を受けたシートのさまざまな技術も同様です。どちらかというとフランス車のような柔らかいシートではなく、あえて硬いシートを採用しています。

 プジョー「208」とオペル コルサを比較すると、プラットフォームは共通ですが、全く違うクルマに仕上がっているので、きちんと差別化はできています。

──プジョーと差別化できたとしてもシトロエンとはどうでしょう。

ミヒャエル・ローシュラー氏:全然違うと思いますよ。全く違う。インテリアは全く違うでしょう(笑)。先ほどから申し上げているように、インパネまわりのボタン類などの要素をかなり絞り込んでクリアなデザインを採用していることが大きな違いです。シトロエンの乗り心地やシートの座り心地はかなりソフトでふわっとしていますよね。しかしコルサのシートは硬めです。シフト操作も正確でシャープですので全く違うクルマに仕上がっています。この例のように、オペルとシトロエンの間もしっかりと差別化できているのです。

コルサのインテリア

量ではなく質を期待する日本市場

──最後に日本市場について教えてください。グローバルで見た時に最終的に日本はどのくらいのポジション、何位ぐらいまでの市場に育てていきたいと考えていますか。

ミヒャエル・ローシュラー氏:日本市場は量的なポジション、何台売れるかという意味で高いポジションを得るところではないと思っています。その一方で、日本のお客さまは最高の品質と、最高の顧客満足度を求めています。そういった質的なポジションは非常に高いところに位置させます。

──つまり日本でCS(顧客満足度)をきちんと獲得できれば、その品質は世界中に訴求できるものとなり、また、世界のお手本となるということでしょうか。

ミヒャエル・ローシュラー氏:そのとおりです。

コルサとミヒャエル・ローシュラー氏