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フォルクスワーゲン、リチウムイオンバッテリー事業に4億5千万ユーロを投資

初期生産キャパシティは年間16GW/hを予定

2020年5月12日 発表

ザルツギッターにあるフォルクスワーゲンの拠点

 フォルクスワーゲングループは5月12日、既に「Center of Excellence for Battery Cells」が置かれているドイツの都市ザルツギッターでの相乗効果の最大化を目的に、リチウムイオンバッテリー用セルの生産を行なう合弁企業Northvolt Zwei (ノースボォルト ツヴァイ)の工場に必要となる施設およびインフラを建設することを発表した。

 このプロジェクトには約4億5千万ユーロが投資される予定で、合弁事業が工場をフォルクスワーゲンから借用する仕組みとなる。バッテリーセルの生産は2024年早々から開始され、初期の生産キャパシティは年間16GW/h(ギガワットアワー)を予定している。

 フォルクスワーゲングループ コンポーネントおよび調達担当取締役兼ノースボルト取締役のシュテファン・ゾンマー博士は「フォルクスワーゲングループの戦略的ポジションを“バッテリー”という未来の主要分野において最適化します。また、外部サプライヤーの確実な供給基盤に加え、新たなキャパシティを体系的に構築していきます」と述べている。

 フォルクスワーゲンとノースボルトは、ドイツ国内におけるリチウムイオンバッテリーの大規模生産を準備するため、2019年9月に合弁会社を設立。フォルクスワーゲンが施設及びインフラを築くことが、重要な戦略的決断となっていて、敷地内の建設工事は年内に着手される予定という。

 フォルクスワーゲングループ コンポーネントのトーマス・シュマルCEOは「ザルツギッターでのバッテリーセル生産は、e-モビリティへの転換における重要な一歩です。また、生産とCenter of Excellence for Battery Cellsをザルツギッターという拠点にまとめることによって、バッテリーセルの開発を更に促進させ、開発した新規格を生産工程に直接反映させることができます」とコメントしている。

 フォルクスワーゲングループは、電動化戦略の一環としてバッテリーセル生産分野における技術ノウハウの蓄積を行ないながら、グループとして世界の各地域における供給を確保できるように複数のバッテリー生産社と戦略的関係を構築。現在、LG化学、サムスン、SKIは欧州向け、そしてCATLは中国および欧州向けのサプライヤーとして提携。さらに今後SKIは米国市場向けにもバッテリーセルを供給する準備を進めていて、2025年以降に欧州市場だけでも150GW/h以上、アジアにおいても同等レベルの年間需要を想定しているという。