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コンチネンタル、EV向けパワーエレクトロニクスにおける開発でロームと協力
EVの航続距離伸長や、バッテリーサイズ削減への貢献が見込まれる
2020年6月5日 12:56
- 2020年6月4日(現地時間)発表
コンチネンタルのパワートレイン事業部門であり、車両電動化分野におけるリーディングサプライヤーであるヴィテスコ・テクノロジーズは6月4日、SiC(シリコンカーバイド)パワーデバイスのリーディングカンパニーであるロームを、SiCテクノロジーのプリファードサプライヤーとして選定し、EV(電気自動車)向けパワーエレクトロニクスにおける開発パートナーシップ(2020年6月より開始)に調印したと発表した。
ヴィテスコ・テクノロジーズは、高効率特性を有していることから、EVバッテリーの電気エネルギーをより有効に活用できる「SiCパワーデバイス」を使用することで、EV向けパワーエレクトロニクスの効率をさらに向上させられ、航続距離伸長やバッテリーサイズ削減に貢献することが見込まれる。
ヴィテスコ・テクノロジーズのエレクトリフィケーション・テクノロジー事業部長トーマス・スティーエル氏は「EVにおいてエネルギー効率はもっとも重要です。バッテリーは車両内で唯一のエネルギー源であるため、システム内の電力変換による損失を最小限に抑える必要があり、そのために高効率特性を有するSiCパワーデバイスを私たちのパワーエレクトロニクスシステムにも活用し、開発を推進しています。車載インバーターとモーターの最大効率を引き出すために、プリファードサプライヤーとしてロームを選定しました」と述べている。
また、ローム執行役員パワーデバイス事業本部長の伊野和英博士は、「自動車分野で業界をリードするコンチネンタルグループのヴィテスコ・テクノロジーズとのパートナーシップに非常に期待しています。ロームは、SiCパワーデバイスのリーディングカンパニーであり、業界をリードするデバイス技術と駆動ICなどを組み合わせたパワーソリューションの提供実績を誇ります。ヴィテスコ・テクノロジーズによって、SiCの潜在能力を最大限引き出すEV向けシステムが開発され、持続可能なモビリティが実現することを望んでいます」とコメントしている。
SiCで最高のパフォーマンスを引き出す
ヴィテスコ・テクノロジーズでは、開発中の800Vタイプインバーターにおいて、すでにSiCテクノロジーを使用したシステム開発とテストを行なっているという。これは、インバーターとモーターを組み合わせ、システム全体からSiCパワーデバイスとアプリケーション設計の最適な組み合わせを見極めることを目的としたもの。
ヴィテスコ・テクノロジーズとロームは、このパートナーシップ協定により、SiCテクノロジーを用いて、量産化に最適かつ、インバーターの最大効率を実現するシステム構築に向け協力して取り組んでいく。
ヴィテスコ・テクノロジーズのエレクトリフィケーション・テクノロジー事業部でイノベーションを統括するゲルド・ローゼル氏は「SiCテクノロジーの適用は、将来のパワーエレクトロニクスシステムにおいて重要です。800Vバッテリーだけでなく、400Vバッテリー向けのSiC搭載インバーターソリューションについても、ロームと協力していきます。今回のパートナーシップは、SiC需要の拡大が見込まれる時期や市場動向にもマッチしたものです。ヴィテスコ・テクノロジーズでは、SiCソリューションの需要が大幅に増加すると予想される2025年に、最初のSiC搭載インバーターの生産を開始を予定しています」とコメントしている。
ヴィテスコ・テクノロジーズとロームは共にニュルンベルク(ロームグループのSiCrystal GmbH)に拠点を持っており、ヴィテスコ・テクノロジーズ本社からも近いため、地理的な面でも利点があるという。