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コンチネンタル、ドライバーの視線上に情報を表示できる「裸眼3Dディスプレイ」を開発
ヒュンダイの新型「ジェネシスGV80」へ搭載予定
2020年3月19日 12:30
- 2020年3月16日 発表
コンチネンタルは3月16日、新開発の「裸眼3Dディスプレイ」を量産し、ヒュンダイの新型「ジェネシスGV80」に搭載すると発表した。
このシステムを可能としたのがコンチネンタルのハイパーフォーマンスコンピューター「クロス・ドメインハブ」で、これによりあらゆる車載ユニットを統合。軽量化とコストダウンを同時に達成でき、今後の車載E/Eアーキテクチャー(コンピューターやセンサーなどを連携させクルマを構成する大きなシステム構造)の要の技術になるという。
新開発の裸眼3Dディスプレイでは、画面上に3次元立体スケール、車両位置ポインター、および周辺の構造物を表示するだけでなく「パララックス・バリア(視差バリア/ドライバーの視野を分割する傾斜スラット)」により、わずかにオフセットした2つの異なる画像を左右の眼球がとらえることにより、特殊な3Dメガネを使わずにドライバーの視線に一時停止の警告を表示することを可能としている。
この3D効果を得るために、コンチネンタルのインテリアカメラは、ドライバーの頭部や視線を的確に検出し、3次元で見えるための正確な視角位置への調整を行なう。同時に走行中の安全性確保のため、ドライバーが裸眼3Dスクリーンを長時間注視した場合や疲労した場合も検出して警告する。
このダッシュボード上の計器クラスターを裸眼3Dで視覚化する最大のメリットは、ドライバーが先端運転補助システム、従来型ディスプレイ、通信サービス、インフォテインメントアプリケーションから提供される過剰な情報量を制御できることにあるという。
コンチネンタルHMIインターフェイスビジネス責任者のヘフランク・ラーベ博士は、「裸眼3Dテクノロジーを採用したディスプレイが量産されることにより、人間と機械のインターフェイスをまったく新しいレベルに引き上げ、近未来の“コネクテッド・コクピット”での直感的なHMIの基盤を築いています。さらに、この安全性と快適性の向上が車載電子機器のリーンアーキテクチャに犠牲を強いることがないようにするために、センターコンソールまたはダッシュボードのさまざまなディスプレイを“クロス・ドメインハブ”に統合しました」と述べている。
またコンチネンタルは、同時にシリコンバレーに本拠を置く企業 レイアと共に「3Dナチュラルフィールドテクノロジー」を開発、新しいヒューマン・マシン・インターフェイスのマイルストーンを築くと宣言している。
コンチネンタルが描く今後の展開
今後車載システムはどんどん簡易化され、軽量化と省スペース化のために、車載入出力デバイスに必要な制御ユニットの数は少なくなるという。「クロス・ドメインハブ」はコンチネンタルのハイパフォーマンス・コンピューターであるとともに、ヒュンダイ新型ジェネシスに使用されるコンチネンタル製3Dディスプレイの基盤ユニットで、現代のE/Eアーキテクチャの発展において大きな通過点となりうる存在と位置づける。
コンチネンタルの次世代 クロス・ドメイン ソリューションにおいては、複数の車載ディスプレイが1つのユニットのもとに統合され、ドライバーは指や掌によるジェスチャーで、ナビゲーションマップを助手席側のディスプレイから自分のスクリーン画面にドラッグし、ドライバーが望むまさにその場所に置くことで複数のディスプレイコンテンツを簡単に配置することが可能になる。
自動運転モードにセットすれば、それまで前席でしか見ることができなかったすべてのドライビングサービスとアプリケーションが、コクピットの幅全体にわたる1つのワイドディスプレイで見ることも可能になる。
誰もが車載3D映画を楽しめるための展望
コンチネンタルではさらに、助手席乗員と後部座席乗員のどちらも車内で3D体験を楽しめるようにするため、レイアの“ナチュラル3Dライトフィールドテクノロジー”を使った新しい3Dディスプレイを開発している。
この新技術では、従来必要であった乗員の頭部位置検出用のカメラが不要となり、ディスプレイ自体の重量、必要空間およびコストを節約する効果だけでなく、ビデオ会議やオンラインショッピングから拡張現実ゲームや3D映画に至るまで、コネクテッドカーのすべての乗員にデジタルサービスの新しい世界を提供する。
このシステムはパララックス・バリアの代わりに、レイア独自の「回折光フィールドバックライト(DLB)」技術を採用し、ディスプレイパネルの下の回折格子とナノ構造を備えた光導波路を使い光を屈曲させることで、ナチュラルな3D効果を生み出す。コンチネンタルは、この革新技術を実装投入する予定で、2022年までに量産する計画を立てている。