ニュース
日産、社内向け「ALL NISSAN MEETING」で日産の新しい幕開けを語る
「やっちゃえ NISSAN」というマインドで楽しく日本を盛り上げていくと星野副社長
2020年8月22日 08:08
- 2020年8月20日 開催
日産自動車は8月20日、ALL NISSAN MEETINGを開催した。これは社内向けと位置づけられるイベントだが、ライブ配信によってメディアや一般にも公開された形だ。このイベントの中で新アンバサダーとして木村拓哉氏の就任が発表され、ビデオメッセージが寄せられたことは既報のとおりだが、そのほかにも技術の日産を支える開発や、クルマを実際に作る生産、さらに販売を担う販売会社などの声も紹介されたのでその模様を紹介する。
現在期間限定で横浜にオープンしているニッサンパビリオンに登場した執行役副社長 星野朝子氏は、今回のALL NISSAN MEETINGでは、日産の各領域のリーダーと、また、販売会社にも参加していただき、日産の新しい幕開けをみなさんに感じていただきたいとあいさつした。
星野氏は、7月15日に電動化と自動化技術の粋を集めた新型EV(電気自動車)「アリア」を発表し、あわせてブランドロゴも刷新したことを紹介。これまで日産は圧倒的な技術力を持って電動化や自動運転技術を他社に先んじて市場投入してきたといい、「電気自動車と言えば日産、自動運転と言えば日産というのは、単なるイメージではなく、実際に商品や機能を世界初、本邦初で出してきましたし、販売台数ナンバー1という実績も継続して打ち立ててきました」とこれまでの実績を評価。「皆さんが熱い思いを持って取り組んでいただいてる、その成果がこの結果につながっている」と社員を激励した。
今後は他社からもEVや自動運転技術が登場し、技術競争になっていくとの見通しを語り、しかしそうした中においても、日産にはより長い経験、より多くの知識や実績を持っており、開発、生産、そして販売にいたるまで蓄積したものがあるとして、それを強みにして頑張っていきたいとの思いを語った。
そして、今回のイベントにおいて、そうした貴重な経験やノウハウ、未来の展望についてそれぞれの領域のリーダーに聞いていきたいと各部門のリーダーを紹介した。
各分野のリーダーが語るこれからの日産
まず紹介されたのは「開発」のリーダーとして、日本事業における開発の責任者であるNissan第二製品開発本部 常務執行役員の安徳光郎氏。安徳氏は「ニッサン インテリジェント モビリティ」の柱でもある電動化と自動運転化の技術は、30年も前から研究と開発を重ね続け、他社に先んじて量産EVやプロパイロットを市場投入したと紹介。「これまで世界で累計50万台を超えるEVが販売されているが、バッテリーを起因とした事故や火災などは1度も起きておらず、またプロパイロットは70万台を超える車両に搭載されているが、プロパイロットを起因とした事故は1件も報告されていない」と紹介。「これは日産の技術力を証明する事例だ」とした。
それは、「そこまでやるのか? というほど実験や検証を繰り返してきた歴史と、エンジニアひとり1人の並々ならぬこだわりと、プライドの証、そのもの」だといい、そうした技術を形にしてくれるのが“ものづくり”の皆さんであり、その価値をお客さまに伝えてくれているのが“販売現場”の皆さんであり、「その努力のおかげでわれわれのエンジニアの苦労が報われている」と生産や販売のスタッフへ感謝の意を示した。
新型アリアでは、大幅に進化したEV技術に加え、前後独立したモーターを緻密に制御する「e-4ORCE」の採用により、ぶっちぎりの安心とワクワクする走りを提供。さらにプロバイロット2.0もアリアではさらに進化させて搭載するなど、技術の進化は止まらないと述べ、「今後も技術の日産の力でワクワクする商品をどんどん投入していきたい」と意気込みを語った。
続いて「生産」のリーダーとして日本生産事業本部 専務執行役員 本田聖二氏が登場。本田氏はアリアの生産工場となる栃木工場より中継を行ない、栃木工場は最新技術を投入した「ニッサン インテリジェント ファクトリー」に生まれ変わることを紹介。さらに、今後すべての工場をニッサン インテリジェント ファクトリーに変えていくと説明した。
星野副社長より栃木工場の進捗について聞かれると、本田氏は「栃木工場には頻繁に足を運んでいるが、来る度に工場が変化している」と言い、アリア生産に向けて順調に準備が進んでいるとアピールした。「ニッサン インテリジェント ファクトリーではアリアに搭載される新機構や新技術をお客さまに満足いただける品質でお届けするため、生産工程をより新鋭化し、複雑で精細な作業も自動化していく」とのこと。一方で「人にしかできない部分は匠の技としてますます磨きをかけていく」とした。
続いて「販売」の現場の声として、茨城日産自動車 代表取締役社長の加藤敏彦氏が登場。加藤氏は皆さんのメッセージを聞いてワクワクしている。今日改めて私もがんばるぞと強く思ったと開発現場や生産現場からのメッセージに応えると、先日発売された「キックス」について「お客さまの評価も高くセールスマンも自信を持ってオススメできるクルマ」と紹介。コロナ禍にあって販売の現場は非常に厳しい状況が続いていたが、久しぶりに店舗にお客さまと活気が戻ってきたと紹介した。また新しくなったロゴについても、非常に洗練されており、こちらの評判もとてもポジティブだと紹介した。
さらにアリアについては、搭載されている技術だけでなくデザインにも新しい日産の幕開けを感じているといい、最近の日産車のデザインはシンプルにカッコいいと評価。「われわれにとってはカッコいい新車が出ることが元気の素」だと語り、先日発表された「NISSAN NEXT」の期間に発売される新モデルには高い期待感を抱いているとして「ぜひ計画通りの投入をよろしくお願いします」「現場スタッフ一丸となってすべての新型車でナンバー1を取っていくのでぜひ期待してください」と意気込みを語った。
続いて「デザイン」のリーダーとしてグローバルデザイン本部 エグゼクティブ・デザイン・ダイレクター 田井悟氏が登場。田井氏は最近の日産のデザインについて、「すでにデザインの変化をクルマを見て感じている方もいると思いますが、デザインフィロソフィーを少し変えています」と紹介。以前は決められたデザイン表現のルールに沿ってラインアップで一環した表現にしていたが、今はその車種のターゲットとなるお客さまによりふさわしい表現で特徴や魅力を表現できるようにしているとした。
例えば従来はどの車種も一様にクロームのVモーショングリルを採用していたが、アリアでは光のVモーションに光るブランドバッヂを組み合わせ、より先進的なイメージとし、キックスではダブルVモーションを採用することでSUVの力強さとプレミアムネスを表現したという。ひと目でニッサン インテリジェント モビリティと分かる共通の思想を持たせながらデザインの自由度を上げているとのこと。これは若いデザイナー達に、期待されることを自分で考え自由に表現してほしいという思いも込めているとした。
田井氏は、「100年に1度という大変革を身を持って感じているが、先を行くデザインにチャレンジしつづけ、お客さまに満足してもらうとともに、われわれも楽しんで作ることができて、販売会社の皆さんにもよろこんで売っていただけるような魅力のあるデザインをお届けしていきたい」と述べ、「今は技術の日産と言われるが、デザインの日産といわれるようにがんばっていきたい」と意気込みを語った。
この先10年、一歩リードしているのが日産と星野氏
星野氏は、この先10年を見据えたときには、世界は必ず再生エネルギーの社会に移っていき、エネルギーマネジメントというのが大きなテーマになる。そのエネルギーをどう効率的に社会で使っていくのか、という情報や知恵など、自動車会社の中でもっとも有しているのはわれわれ日産だといい、これから日産は自動車会社の中でもっとも重要な社会的ミッションを果たしていく会社になりたいと思いを語った。
「ニッサン インテリジェント モビリティには移動のためだけの先進技術ではなく、社会に組み込まれて、なくてはならない存在になるとそういう哲学が込められている」と述べ、「木村さんとともに、そして、みなさんとともに、これからも『上等じゃねぇか、逆境なんて』という思い、『やっちゃえ NISSAN』というマインドで楽しく日本を盛り上げていきましょう」とメッセージを送っていた。
ALL NISSAN MEETINGはその後も続き、オンラインで参加した各地のスタッフも登場。副社長を始め各部門のリーダー達に質問を投げるなど、日産の未来に向けたコミュニケーションが繰り広げられていた。