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SkyDrive、「空飛ぶクルマ」の有人飛行試験に成功

2023年度の実用化を目指し鋭意開発中

2020年8月28日 発表

有人試験機「SD-03」モデル

 SkyDriveと有志団体CARTIVATORは8月25日、両者の共同開発による空飛ぶクルマ「SD-03」を世界初披露するとともに、同機による有人飛行の公開試験を実施し、成功したと発表した。公開試験は開発拠点である1万m 2 の屋内飛行試験場を備える豊田テストフィールドにて行なわれた。

 飛行試験は夕刻に行なわれ、飛行時間は約4分間だった。機体は1人乗りで、基本的にはパイロットが操縦するが、コンピュータ制御のアシストにより飛行を安定させている。

 また、バックヤードでは飛行状態をモニタリングし、安全を常時確認。近い将来、日常の新たな移動手段として普及させるために、コンパクトサイズが有効と考え、一般的な駐車場2台分に収まるように、おおよそ4×4×2m(全長×全幅×全高)サイズの世界最小の空飛ぶクルマを目標としている。

 駆動方式は電動モーターでローターを駆動する方式で、ローターを4か所に配置し、1か所あたり2つのローターが回転して駆動力を生み出している。合計で8個のモーターを採用することにより、電動モーター・ローター系の一部に異常が発生しても、バックアップの役割を果たすため、安全に飛行を続けることが可能という。

 デザインは新ジャンルのトランスポーテーションにふさわしい「プログレッシブ(先駆性・先進性)」をキーワードにデザインが進められ、メインボティはサイドから見たときに一体感を保ちながらS字に大きく分割され、フロントにあしらわれた躍動感あるSkyDriveのエンブレム同様、絡み合い力を合わせ未来の空へ飛びたつ一対のプロペラのような躍動感を表現。

 ボディ下方に大きく回り込んだ2本の白いフロントランプと1本の赤いテールランプは、空飛ぶクルマならではの特徴で、機体が空に浮かんだ時、非搭乗者からも機体の方向がわかりやすい優しいデザインとなっている。「夢とカリスマを盛り込んだ空飛ぶクーペ」というデザインを目指し、エクステリアのメインカラーのパールホワイトは、未来の空に飛ぶ白い鳥、空飛ぶ雲をイメージして選んだという。

2020年8月上旬に行なわれた飛行テストの模様
SkyDrive代表取締役 兼 CARTIVATOR共同代表 福澤知浩氏コメント

「2018年のSkyDrive設立以降、メンバー一同技術開発に励み、今年の頭から有人飛行試験を続けて参りましたが、今回の有人飛行の様子を多くの方と共有できる機会を設けられたことを大変嬉しく思います。次の大きなマイルストーンは、2023年度の空飛ぶクルマの実用化です。われわれは日常的な移動に空が活用され、移動に更なる便利と楽しさを提供したいと考えます」

最高技術責任者 岸信夫氏コメント

「われわれが今回成し遂げた有人飛行は、SkyDriveが今までに技術検証のため積み重ねてきた成果の集大成です。電動推進システム、飛行制御システム、機体構造などの設計、試験、機体製造、そして飛行試験中の機体状況のモニター設備導入など1歩1歩確実に、そしてかなりのスピード感で取り組んできました。2023年度に安全安心な空飛ぶクルマの運航サービスが開始できるように、今後も技術開発と型式証明取得の作業を進めていきます」

デザインディレクター 山本卓身氏コメント

「空飛ぶクルマという未開の新ジャンル・トランスポーテーションをデザインするにあたりSkyDrive社の持つ高い技術力を余すことなく取り入れながら将来のユーザーの皆さまが「乗ってみたい!」と思う夢とカリスマ性のある乗り物をProgressive, Coolをキーワードにデザインしました。皆さまのパートナー、空を飛ぶコンパクト・クーペとして活躍してくれることだと思います。 新ジャンルの開拓者として、 これからも皆さまが夢見るような乗り物をデザインしていきたいと思います」