ニュース

新型レヴォーグに全車標準装着、横浜ゴム スバルOE版「ブルーアースGT」の進化点

2020年8月20日 先行予約開始

2020年10月15日 発表予定

横浜ゴム スバルOE版「ブルーアースGT」。新型レヴォーグの試乗会に展示されており、横浜ゴムの担当者に話をうかがった

 スバルの最新ツーリングワゴンとして正式には10月15日登場する新型「レヴォーグ」。この新型レヴォーグには、標準装着のタイヤとして横浜ゴムの「BlueEarth-GT(ブルーアース・ジーティー) AE51」のOE(Original Equipment)版が選ばれている。一般にタイヤショップなどで販売されているタイヤを市販版やリプレース版と呼ぶのに対して、OE版は自動車メーカーとタイヤメーカーが共同開発し、自動車メーカーの工場で新車に組み付けられて出荷されるもの。市販版そのままを組み付ける場合もあるし、OE版として仕様変更されているものもある。

 スバルの新型レヴォーグは、17インチは215/50R17、18インチは225/45R18とサイズの違いはあるものの全車種横浜ゴムのブルーアースGTを採用している。このブルーアースGTは、横浜ゴムの担当者によるとスバルとの共同開発を行なった独自仕様のOE版になっているという。

10月15日に発売される新型レヴォーグ。高い走行性能を実現しており、その要素の1つとして横浜ゴムと共同開発されたスバルOE版「ブルーアースGT」が挙げられる
横浜ゴムの最新技術を詰め込んだ新型タイヤ「ブルーアースGT」技術解説

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1166906.html

BluEarth-GT AE51_製品特長 - ヨコハマタイヤ

https://www.y-yokohama.com/product/tire/bluearth_gt_ae51/

 市販版のブルーアースGTは、タイヤラベリング制度最高のウェットグリップ「a」を誇り、その上で低燃費性能については「AA」と高い次元にある。その特徴は同社が「圧倒的な力強さをもたらすグランドツーリングデザイン」というトレッドパターン。直進性に優れるイン側のパターンに、コーナリング性能に優れるアウト側のパターンという非対称のパターンを採用。3本の分断されないトリプルセンターリブでしっかりした直進性能を確保しつつ、排水性を強化するライトニンググルーブを配置してウェット性能を引き上げてある。

 横浜ゴムによると、「レーンチェンジ時のふらつきを低減し、より快適な乗り心地を実現」とのことで、高速走行性に優れつつ、ウェット性能を確保して、高荷重のかかる高速レーンチェンジも視野に入れている。同社がグランドツーリングタイヤと名付けるゆえんともなっている。

スバルOE版「ブルーアースGT」について話を聞いた、横浜ゴム株式会社 タイヤ製品開発本部 タイヤ直需技術部 直需技術2グループ 課長補佐 友松亮一氏

レヴォーグのOE版は、静粛性に配慮。全体のバランスを変更

ブルーアースGTの採用するAE51パターン。左がイン側、右がアウト側で非対称パターンを採用。アウト側の横溝のピッチを細かくしてノイズ抑制が図られているという

 では、OE版も同様の性格なのだろうか? 横浜ゴム 友松亮一氏によると、スバルOE版のブルーアースGTは、「静粛性に配慮した」タイヤになるという。具体的には、静粛性を高めたいというスバルの要望によりブルーアースGTの採用するAE51パターンを若干変更。アウト側の非貫通グルーブのピッチをより細かいものにしているという。とくに今回は、ロードノイズよりもパターンノイズ抑制への要求が強く、高周波成分を抑える方向で非貫通グルーブのピッチを調整しているという。

 つまりより横溝が増えていることになり、単に横溝を増やすと弱いパターンになりかねない。その点については、新型レヴォーグの長いサスペンションストロークを生かし、より高剛性なタイヤとして内部構造を変更。内部カーカスのプライ数を増しているとのこと。つまり、構造はよりしっかりしたものとなり、その上で硬くなり過ぎないようにパターン上の横溝が増えている。

横溝を増やすことによりタイヤの剛性は低下していくが、内部構造のプライ数を倍増することで基本的な剛性を向上。新型レヴォーグのよく動く足に合わせてあるという

 また、全体としてしっかりした構造になったため、ウェットグリップを確保する方向の変更も実施。中央のリブを構成するブロックに刻まれるスリットをより深く刻んである。

 近年のタイヤでは自動車メーカーからの要求の厳しい燃費性能にも配慮。パターン部分のコンパウンドはグリップ方向に振られているものの、そのままだと発熱が多くなってしまうため、サイドの部分のゴムをより低発熱なものに変更。全体的なヒステリシスロスのバランス調整が行なわれている。

 そのほかプロファイルも変更。とくにアウト側のラウンドする部分を多段的に構築しているといい、タイヤの接地面積の形状も、新しい剛性構造に対応している。

アウト側のラウンドプロファイルをより緻密に構成しているという。凹パターンの製品ロゴも高級感あふれる

 このスバルOE版のブルーアースGTは、新型レヴォーグのロングストロークの足を前提にして作られており、スバルディーラーで購入可能。新型レヴォーグの静粛性の高さを支えるとともに、ロングツーリング性能をサポートするタイヤとしてデビューすることになる。

 タイヤ好きにとって気になるのは、スバルOE版のブルーアースGTは新型レヴォーグとベストマッチのタイヤとして作られているものの、ブルーアースGTより優れた静粛性、そして高剛性のケーシングといった辺り。新型レヴォーグより動きのよくないサスペンションのクルマであれば、その高剛性が乗り心地の悪化につながってしまう可能性も高いが、タイヤ剛性が高いため自分の運転の意思をタイヤに伝えやすいと思われる。

 ブルーアースGTとちょっと違う性格を持ったスバルOE版ブルーアースGTの存在は、ロングツーリング好きのユーザーにとって気になる製品になるだろう。

ブルーアースGTの展示コーナーには、深キョンお勧めのスタッドレスタイヤ「アイスガード 6」も置かれていた。「ちゃんと曲がる、ちゃんと止まる。」でおなじみのタイヤで、その性能も高いレベルにある
横浜ゴムは夏タイヤにおいて、ウェットグリップ「a」を訴求している。スバル車の雨の日の安心感は高く、ブルーアースGTであれば一段高い安心感を得ることが可能だろう