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新型「レヴォーグ」エンジニア対談 JAL 整備本部長 北田氏、スバル五島氏が語ったレヴォーグに込められた思想

2020年10月15日 発表

新型レヴォーグの対談に登壇した日本航空株式会社 常務執行役員 整備本部長 北田裕一氏。株式会社JALエンジニアリング社長でもある

 10月15日、スバルのツーリングワゴン新型「レヴォーグ」が正式に発表された。新たな安全装備「アイサイトX」など先進技術の搭載が話題となっており、先行予約台数は2020年8月20日から10月14日までに8290台。さらに「アイサイトX」搭載グレードが93%と大きな支持を集めている。

 この新型レヴォーグの発表会が、成田国際空港にあるJAL(日本航空)のAハンガーで開催された。JALの協力で開催されたのは、JALやANA(全日本空輸)が運航するボーイング 787型機の中央翼をスバルが製造しているため。愛知県の半田工場で組み立てられた中央翼は、一度米国ボーイングの組立工場に空輸され、完成機となって各航空会社に納入されている。

 スバルはニュルブルクリンクへ参戦するレース車両の空輸をJALに依頼しており、そういった協力関係からJALの成田Aハンガーでの発表会開催となった。

スバル、新型「レヴォーグ」正式発表 価格は310万2000円~409万2000円

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1282973.html

JAL 成田空港Aハンガーで行なわれた新型レヴォーグ発表会

 発表会では、スバル代表取締役社長 中村知美氏のプレゼンテーションに続き、新型レヴォーグ開発責任者の五島賢氏による機能説明を実施。その後、JAL 取締役常務執行役員 整備本部長であり、JALエンジニアリング社長でもある北田裕一氏と五島氏による対談を実施。本記事は、エンジニア同士である北田氏と五島氏の対談の模様をお届けする。

JAL北田氏(左)、新型レヴォーグ開発責任者 五島賢氏(右)によるエンジニア同士の対談

スバルスタッフ以外に初めて新型レヴォーグを公道試乗したJAL北田氏

 実は、この対談に先立ちJAL北田氏は、すでに新型レヴォーグを一般公道で試乗したという。これは、スバル側が特別にナンバーを取得した新型レヴォーグを用意し、それを運転してもらったもの。スバルによると、スバルスタッフ以外が公道でステアリングを握ったのはJAL北田氏が最初になるとのことだ。

スバルスタッフ以外で新型レヴォーグの公道試乗を初めて行なった人がJALの北田氏

 北田氏は、試乗の感想を「スムーズな走り出しや、加速といった走行性能に加えて、安全で快適な運転を支援するさまざまな機能が搭載されていた。限られた試乗でありましたけれども、本当に楽しく感動的な試乗であった」と表現。時間が許せば一日中乗っていたいクルマであったという。

 五島氏は、試乗体験を絶賛する北田氏に対し、実は新型レヴォーグのデジタルコクピットは航空機をイメージしたものだという裏話を披露。ボーイング 787など最新鋭の航空機にはフラットディスプレイを多数使ったグラスコクピットが用いられているが、新型レヴォーグの大型液晶メーター、インフォテイメントシステムなどは、航空機のグラスコクピットにヒントを得ているという。

スバル製の中央翼が組み込まれているボーイング 787を前に対談は行なわれた

 そのコクピットについて北田氏は、「本当に必要な情報が的確にコンパクトにまとめられていて、そんな印象を持ちました」と表現。新型レヴォーグのコクピットについてもお気に入りとのことだ。

 JALの北田氏は、「コロナ影響によって生活様式が変わってきたり、また仕事もリモートでできる。そういう時代になってきていますけれども、私は、人間の本質的な欲求である、誰かに会いたい、どこかに行きたいという気持ちは、決してなくなることはないと思っています」と語り、だからこそJALは「ご利用いただくお客さまに対して、より安全で安心な移動できる手段を提供する責任があると思っています。私ども日本航空でも現在やっている感染予防対策をさらに強化して、あるいはそれ以外にもさまざまな取り組みを行なって、お客さまに安全で安心できる、そういう旅をお届けしたい」と安全への強い意志を表明。

 五島氏はその北田氏の安全への思いに応える形でグランドツーリング思想を披露。「より遠くまで早く、より快適に、より安全に。このコロナの時代、北田さんがおっしゃいましたように、移動して、そこで体験するというのは、本当に貴重な体験価値である」という。その上で、その安全な旅のお供が新型レヴォーグであればうれしいと結んだ。

「技術の中心に人を据え、必ず人がいる」スバルの設計思想

エンジニアらしく、新型レヴォーグのよさをファクトをもとに紹介していくJAL北田氏。資料を読み込み、スバルの思想に共感する部分があるという

 北田氏は、スバルの新型レヴォーグを試乗する前にスバルから送られてきた資料を相当読み込んだようで、その中にとても気に入った言葉があったという。それはアイサイトについて書かれた部分で、「自動運転ではなくて、運転を支援するシステムであると。すなわち技術の中心に人を据え、必ず人がいる」ことだという。

「人が技術を使うことで、安全を高めていく、快適性を高めていく。人を中心にした考え方に私は非常に感銘を受けた」(JAL 北田)と、スバルの安全思想の根本にあるものに感動したと語った。

 JALの北田氏は、JALの整備士を率い、安全を司るトップになる。エンジニアが資料を読み込んで、そして少しの区間ではあるものの試乗して語った言葉は説得力のあるもので、五島氏もちょっとたじたじという感じだった。残念なのは、スバルスタッフ以外に公道を試乗したのは、JALの北田氏だけであること。

北田氏の話を受けるスバル五島氏。新型レヴォーグでドライブしたいのは、東京から九州までの長距離と語る。北田氏もそれは同様とのことだが、九州に行くのであれば「ぜひ飛行機もご利用いただきたい(笑)」とのこと

 対談終了後、五島氏に一般道での感想を聞いてみたが、「ちょっと自宅のまわりを走る時間があった。新型レヴォーグを作った私が言うのも変だが、とてもいいクルマだった。サーキットのような整備された路面に比べ自宅のまわりのちょっとしたでこぼこなどを越えるときに、新型レヴォーグのよさをとても感じた」とのことだ。

 冒頭に紹介した先行予約台数の8290台は、試乗をしなくとも購入してくれたユーザーの数。五島氏は購入したユーザーに感謝の気持ちを述べるとともに、早く試乗車を用意して、もっと多くの人に新型レヴォーグのよさを知ってほしいと語ってくれた。