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スバル新型「レヴォーグ」のデジタルコクピットや1.8リッターの採用理由が明らかに YouTubeLive「NEW LEVORG 徹底解剖」レポート

2020年8月22日 開催

【THE LIVE!】 NEW LEVORG 徹底解剖

 スバルは8月22日、新型「レヴォーグ」の注目ポイントを紹介するYouTubeLive「NEW LEVORG 徹底解剖」を開催。同イベントでは、新型レヴォーグの開発責任者 五島賢氏によるプレゼンテーションのほか、スペシャルゲストが先進安全技術の開発現場で実際に体験したレポート、開発者とスペシャルゲストによるトークセッションなどが展開された。

 イベントの冒頭、新型レヴォーグの開発責任者 五島賢氏から新型レヴォーグの開発のポイントである「ワゴン価値」「先進安全」「スポーティ」という3つの価値が示されるとともに、五島氏は「レヴォーグは2014年に革新スポーツツアラーとして誕生致しました。レガシィに始まるスバルのグランドツーリング思想を継承し、愛してくださる多くの皆さまとともに、スバルを代表するモデルとしてその存在を磨き続けてきました。そして第2世代となるニューレヴォーグはスバルが今持っている技術を全て結集、2014年に遂げた“革新”を超える“超革新”を遂げています。まさにこの超革新を遂げたニューレヴォーグこそが、スバルの未来を証明する1台となっております」と新型レヴォーグを紹介した。

新型レヴォーグの開発責任者 五島賢氏

徹底解剖その1「ワゴン価値」

 徹底解剖その1「ワゴン価値」の部では、デザイン部の中村真一氏、内装設計部の大家敏宏氏が登壇。新型レヴォーグのワゴン性能として、エクステリアデザインやインテリアデザインにおける特徴や、荷室の広さやユーティリティなどについて紹介された。

デザイン部の中村真一氏

 この中で、新型レヴォーグに新採用された、12.3インチフル液晶メーターと11.6インチセンターインフォメーションディスプレイを組み合わせたデジタルコクピットについて、ナビゲーションや車両設定、エアコン調整など、さまざまな機能が集約されていることが紹介された。

12.3インチフル液晶メーターと11.6インチセンターインフォメーションディスプレイを組み合わせたデジタルコクピットを採用

 大家氏は「従来スバルのインテリアはいろいろ機能が増えてきたことによって、情報とか操作スイッチがインパネやコンソールに散在していたんですね。それを今回この大きなディスプレイと目の前のメーター、この2つに情報と操作系の大半のものを集約しています。なので、情報を目移りすることなく見つけられるということと、操作に関してもスマホライクに操作できるので、直感的に操作できるんじゃないかなと思います」と紹介。また、即座に操作したいエアコンの温度調整やボリュームについては、物理スイッチを残していることも強調された。

内装設計部の大家敏宏氏

 そのほかにも大家氏は、買い物かごをそのままサブトランクに収納できる実演を実施。床下のサブトランクの容量が69Lと従来比で29Lの容量アップしていることや、サブトランクを含めたトランク総容量は561Lと、従来モデル比39Lの容量アップを実現していることが紹介された。

買い物かごをそのままサブトランクに収納できるデモを実施

徹底解剖その2「先進安全」

 徹底解剖その2「先進安全」の部では、五島氏に加えて、スペシャルゲストの自動車研究家 山本シンヤ氏と先進安全設計部の関淳也氏が登壇。山本氏が新型レヴォーグの開発現場に潜入し、新型レヴォーグに搭載される先進安全性能を実際に体験した感想をもとにトークが展開された。

山本シンヤ氏がアイサイトXを体感したレポートが公開された
ドライバーに万が一の異常が起きた場合には自動で判断して減速・停止する「ドライバー異常時対応システム」
スペシャルゲストの自動車研究家 山本シンヤ氏

 新しいアイサイトXについて、関氏は「今回の新しいアイサイトは特に自動車専用道路での運転支援機能が飛躍的に進化しています。今回体験いただいたレーンチェンジアシストや渋滞中のアシスト機能で、特に長距離運転になった時にドライバーの負担を大きく軽減できる機能が追加されているので、まさにこのクルマのコンセプト通りのどこまでも連れて行ってくれるというような、クルマにピタリとあった性能となっています」と紹介。

先進安全設計部の関淳也氏

 アイサイトXで実現する1つの機能となるレーンチェンジアシスト機能について、関氏は「(これまでの)ツーリングアシストは走行中の車線内の運転支援機能でした。今回レーンチェンジアシストが追加されたので、支援の範囲が複数の車線まで拡張しているんです。このレーンチェンジの動きそのものも、ひと言で本当にうまい、上手な車線変更、お手本のような動きになっているので、車線変更が苦手と感じている方にも安心して使って利用していただける機能になってます」などと説明した。

 トークセッションの中で、関氏は「今回のこのアイサイトXは全ての道路ユーザーの命を守る、そしてドライバーを全力でサポートするために生まれた新時代の運転支援システムです。これを実現するために全開発メンバーが実用性と普及性を最重要視して開発してきました。運転支援はただ動けばいいというものではなくて必要なときに必要な分だけ作動するべきです。また、できるだけ多くのお客さまに購入していただけるように量販価格でなければなりません。安全は普及してこそ価値があると、これは私たちがアイサイトの開発を始めたときからずっと持ち続けている信念です。今回は必要最小限の部品構成とリアルワールドとの徹底的なすり合わせでこの両者を実現しました。そのため、このアイサイトは単なるシステム製品ではなくて、まさに人の血が通ったドライバーの相棒と言える信頼できる運転支援システムです。1人でも多くのお客さまにこのアイサイトXを購入いただいて、新時代の安心と愉しさを届けたいと考えています」と、アイサイトの開発に対する思いを話した。

徹底解剖その3「スポーティ」

 徹底解剖その3「スポーティ」の部では、スペシャルゲストとして国際モータージャーナリスト 清水和夫氏と、エンジン設計部の沼宮内恒朗氏、車両研究実験統括部 峯岸貴弘氏が登壇。清水氏が実際に新型レヴォーグに乗った感想をもとに、トークが展開された。

エンジン設計部の沼宮内恒朗氏

 この中で、水平対向4気筒 1.8リッター直噴ターボを採用したことについて、沼宮内氏は「いろんな葛藤の中で1.8リッターという排気量を決めました。従来型は1.6リッターというダウンサイジングコンセプトで提供させていただきましたが、やはり今回スポーティを表現するために最大トルクを300Nmまで引き上げたいっていうことがまず1つあり、もう1つは今回新しく新技術としてリーン燃焼の技術を使っています。それを使うことで低速側の燃費もカバーできるということで、その出力と燃費を両立するコンセプトとして1.8リッターの排気量を設定しました」と説明。

新型レヴォーグは水平対向4気筒 1.8リッター直噴ターボを採用

 加えて、「安全性能も極めようということで、エンジンも何か貢献できないかと、エンジンの全長を詰めることで車両のクラッシャブルゾーンを稼げるということで、今回エンジンの全長を44mm短縮しています。この44mmで1人でも多くのお客さまの命を守れる強い思いで、開発をやりきりました」と明かした。

車両研究実験統括部 峯岸貴弘氏

 また、清水氏から「矢のような直進安定性」と評価されたことについて、車両研究実験統括部 峯岸貴弘氏は、新型レヴォーグではフロントのサスペンションについては、路面外乱によって舵が乱されにくくなるようマスオフセットを小さくするよう開発したことを紹介。

新型レヴォーグではマスオフセットを小さくするよう開発したという

 清水氏からは「スバルが最初に小型車の作ったのは1960年代のスバル1000だったんですね。でも、FFで日本発、世界的にも初めてに近かったんですけど、フロントで駆動するからハンドルが取られちゃうんですね。当時パワーステアリングがなかったのでスバル1000ではどうしたか。タイヤに付いてるブレーキをエンジンルーム側に入れて、インボードブレーキと言うんですけど、それでタイヤのところにはブレーキはないから、ロアアームをスコンとタイヤの中まで入れて、このキングピンオフセット、マスオフセットを限りなくゼロにしたっていうところからスバルはクルマ作りをスタートしていたんです」との歴史が紹介された。

 清水氏が指摘したスバル1000について、峯岸氏は社内で開催されているスバルの歴史講座で習い、実際に体感したといい、そうした考えを新型レヴォーグに取り入れたことを明かした。

徹底解剖その4「超・革新のDNA」

五島氏と清水氏よるトークセッションが展開された徹底解剖その4「超・革新のDNA」

 徹底解剖その4「超・革新のDNA」の部では、五島氏とスペシャルゲスト清水氏よるトークセッションを展開。新型レヴォーグにおいて実現した「超・革新」につながる“技術の継承”についての話が繰り広げられた。

 トークの中で、清水氏から次の目標について聞かれた五島氏は「1つの目標として2030年の死亡交通事故ゼロにあります。この先10年がわれわれのターニングになるんじゃないかと思っていて、今回のクルマが1つのゴールでありますけども、ここからがスタートです。私の私見ですけれど、ここに積んであるいくつかの技術は2030年に向けた技術のベースになるんじゃないかなと思ってます」との意気込みを話した。