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新型「レヴォーグ」の新世代「アイサイト」、オン・セミコンダクターの2.3Mイメージセンサーで約2倍の広角化

2020年8月20日 先行予約開始

2020年10月15日 発表予定

新型「レヴォーグ」に搭載された新世代「アイサイト」ユニット。「アイサイト」「アイサイトX」とも同じユニットを使う

 先行予約が始まったスバルの新型ツーリングワゴン「レヴォーグ」。このレヴォーグにはさまざまな新技術・新機能が搭載されているが、今やスバルを代表する先進安全機能となった「アイサイト」が全面的に進化したのは大きなトピック。

 ステレオカメラのみで先行車追従や自動ブレーキを実現するアイサイトだが、当初は白黒で約30万画素のイメージセンサーを2つ使用することで実現していた。現行レヴォーグのデビュー時に新導入されたアイサイト Ver.3でカラー&約120万画素化することで高機能化。このときのアナウンスでは、ステレオカメラの視野角、視認距離をともに約40%拡大。基本的な自動ブレーキ機能はもちろん、ステアリング制御を伴うレーンキープアシスト、全車速追従機能付クルーズコントロールなど現在でもトップクラスの先進安全機能を装備することとなった。

新型レヴォーグ

 その後、ソフトウェア改善によりアイサイト・ツーリングアシストとしてアップデート。0km/h~約120km/hの領域まで車速域を拡大、車線や先行車の認識を工夫して、全車速域でレーンキープを行なえるようにした。

 このアイサイトがカラー化した際にアイサイトの目として採用されたのが、オン・セミコンダクターの1.2MピクセルCMOSイメージセンサー「AR0132AT」。このAR0132ATは、スバルのアイサイト搭載車種拡大とともに出荷を伸ばし、多くの自動車メーカーにも採用されることで、2019年には累計1億個の出荷数を記録している。

オン・セミコンダクターの2.3Mイメージセンサー「AR0231」

オン・セミコンダクターの2.3Mイメージセンサー「AR0231」(右)。左は1円玉

 現行のレヴォーグ導入時にハードウェアが一新されたアイサイトだが、今回の新型レヴォーグでは新世代「アイサイト」として、全面的なハードウェア変更が行なわれた。アイサイトの目となるイメージセンサーは、オン・セミコンダクターの2.3Mイメージセンサー「AR0231」を採用。アイサイトの処理を行なう心臓部には、これまでのカスタムチップであるASIC(Application Specific Integrated Circuit)からザイリンクス製のFPA(Field Programmable Gate Array)が使われることになった。

 アイサイトの情報の入口である2.3Mイメージセンサー AR0231は、3.0μmの裏面照射型により優れた低照度感度を実現。最大140dBのHDR(ハイダナミックレンジ)を実現しているという。とくにHDRに関しては、4回露光で140dB@30fps、3回露光で120dB@40fpsのモードがあり、これはカスタマーが選ぶことになる。

新世代アイサイトユニット。従来のアイサイトからハードウェアを一新している。基線長は従来同様の350mm
カメラ部
カメラ部裏側
FPGAの発熱対策のためか、アクティブファン形式になった。高機能化の証でもある
オン・セミコンダクターについて
オン・セミコンダクターの沿革
日本国内におけるオン・セミコンダクター
オン・セミコンダクターのシェア
イメージセンサーの構造
AR0231の特徴

 スバルがオン・セミコンダクターの2.3Mイメージセンサー AR0231を、新世代アイサイトに選んだのは、広角化を図る上で画素数が必要だったからという。SUBARU 先進安全設計部 担当部長 兼 自動運転プロジェクトマネージャー 柴田英司氏によると、その広角化は「約2倍」とのことで新世代アイサイトへの貢献が大きいのが分かる。逆にいうと、どんなに広角化しても180度を超えてはいないと思われるので、従来のアイサイトが意外と狭い視野でさまざまなことを実現していたのが分かる。

 この広角化により、新世代アイサイトは交差点での作動領域を拡大。さらに前方レーダーや高精度3D地図などと組み合わせることで、「アイサイトX」機能である渋滞時ハンズオフアシストやアクティブレーンチェンジなど、より高度な運転支援機能を提供している。

新型レヴォーグの先進安全機能1
新型レヴォーグの先進安全機能2

 もちろん、広角化&高画素化などでよく見えるようになったことから、アイサイトの基本である安全性能は高くなっており、より安全なクルマを求める人にとって新型レヴォーグは注目すべきクルマといえる。