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三菱自動車、2020年度第2四半期決算は826億円の営業赤字
通期の見通しに変更はないが、構造改革は前倒しで実施できている
2020年11月6日 11:13
- 2020年11月4日 発表
三菱自動車工業は11月4日、2020年度上期および第2四半期(2020年4月1日~9月30日)の決算発表と、あわせて構造改革の進捗状況の報告を行なった。
第2四半期の売上高は5749億円で前年同期マイナス5531億円(前年同期比49.0%減)、営業利益はマイナス826億円と赤字、経常利益も870億円の赤字となり、親会社株主に帰属する四半期純利益も2099億円の赤字となった。また、グローバル販売台数は35.1万台で、前年同月比41%減となった。
三菱自動車代表執行役CFO(最高財務責任者)の池谷光司氏は「第1四半期から第2四半期にかけて、収益の回復基調を見せているが、以前厳しい状況が続いている」と述べた。
営業利益の変動要因としては、新型コロナウイルスの影響で全世界的に経済活動が停滞したことで、販売台数が全世界的に落ち込みマイナス937億円。販売費用は販売台数が落ち込んだことがプラスに働き71億円。その他コスト低減等は進まず、為替などの影響も含め826億円の赤字となった。
販売台数は、主力エリアであるアセアン(ベトナム・タイ・インドネシア・フィリピンなど)が前年同月比53%減、日本でも同48%減と回復が遅いことが響いたほか、全市場で前年同月比マイナス30~40%減と厳しい状況が続く。
2021年3月期(2020年4月1日~2021年3月31日)連結業績予想は、不透明な要因が多々あるものの、回復基調が見えていることから年度末には2019年度と同等まで需要が戻ったと想定したうえで、コスト構造改革などは順調に進められているので、前回の決算報告と同様に、売上高1兆4800億円(前年同期比34.8%減)、営業利益は1400億円の赤字、経常利益も1600億円の赤字、親会社株主に帰属する当期純利益は3600億円の最終赤字とした。
地域別販売台数については、第1四半期は新型コロナウイルスの影響で大幅に落ち込んだが、第2四半期に入りロックダウンなどが少しずつ緩和され始めたことで、需要の回復が見られる。しかし、欧州を中心に第2波が始まっており、先行きの不透明感が強まっていると代表執行役CEO(最高経営責任者)の加藤隆雄氏が言及。
さらにこの厳しい環境下においても、ディーラーネットワークとデジタルマーケティングの強化による販売の改善、在庫削減など将来の販売拡大につながる施策を優先して実施したことで、当初の予想より落ち込んでいる地域がある一方、予想を超えている地域もあり、結果的に計画通りの数値で推移しているもののグローバル販売台数については、前回発表の84.5万台(前年度比25%減)から82.4万台(前年度比27%減)へと引き下げたと解説した。
構造改革の進捗
加藤CEOは続けて構造改革の進捗について解説。固定費削減については中期経営計画にて、2021年に2019年度比20%のマイナスを目標に掲げているが、新型コロナウイルスなど特殊要因があったものの、本上期で前年比マイナス20%を達成。その他の項目についてもおおむね計画通り進捗していて、前倒しで計画を達成できていることで計画以上に構造改革を進行できそうだと報告した。
また、今後は得意とする環境技術の促進と、DNAの軸である4WD技術、オフロード性能の進化を通じ、安心感と魅力のある商品をユーザーに届けてきたいとし、新たに策定した「新環境計画パッケージ」により、プラグインハイブリッドEVを軸とした電動化を推進。この計画に沿って、本下期にプラグインハイブリッドEVモデルを含む新型「エクリプスクロス」をグローバル市場に順次投入。さらに、徐々に環境規制が厳しくなりつつあるアセアン地域においては、アウトランダーPHEVを投入していくと述べた。さらにアウトランダーPHEVの生産を12月よりタイでも開始する。環境対応モデルの拡充を図っていくと述べた。
最後に、グローバル需要が少しずつ回復していることから、正常化に向けて動き出しているように感じるが、欧州での新型コロナウイルスの第2波による活動制限、アメリカの大統領選挙の結果など、先々の不透明感が払拭されていない状況が続いている。また、もっとも重要な販売エリアであるアセアンの回復が相対的に鈍いが、選択と集中による構造改革を確実に実行することで、業績回復の土台をしっかりと作ることを最優先事項とし、収益回復の道筋が少しずつ見えてきたと締めくくった。
【お詫びと訂正】記事初出時、販売台数の桁を間違えて掲載しておりました。お詫びして訂正させていただきます。