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三菱自動車、2020年度第3四半期決算発表 「2021年度の黒字化は可能」とCFO池谷氏

新型アウトランダーの投入などで2021年度は販売台数も115万台程度まで戻す

三菱自動車の第3四半期決算説明会がオンライン形式で行なわれた。左から代表執行役Co-COO 矢田部陽一郎氏、代表執行役CFO 池谷光司氏、代表執行役Co-COO 長岡宏氏

 三菱自動車工業は2月2日、2020年度の第3四半期(2020年4月1日~12月31日)の決算発表と、あわせて減損損失の認識に至った経緯の報告を行なった。説明会に出席したのは代表執行役CFO(最高財務責任者)池谷光司氏、代表執行役Co-COO(共同最高執行責任者)長岡宏氏、代表執行役Co-COO(共同最高執行責任者)矢田部 陽一郎氏の3名。

 第3四半期の売上高は9528億円で前年同期マイナス7141億円(前年同期比43.0%減)、営業利益は867億円の赤字、経常利益も929億円の赤字となり、親会社株主に帰属する当期純利益も2440億円の赤字を見込んでいる。また、グローバル販売台数は56.9万台で、前年同期比35%減となった。

2020年度第3四半期累計 業績サマリー【前年同期比】
2020年度第3四半期累計 営業利益変動要因分析【前年同期比】
2020年度第3四半期累計 販売台数実績【前年同期比】

 減損損失の認識に至った経緯としては、幅広い分野におよぶ構造改革計画で早期の経営立て直しを図る新中期経営計画「Small but Beautiful」を策定した結果、従前からの将来車両販売台数見通しが更新され、投資の一部回収が見込めなくなったことから、生産用資産について、帳簿価額を回収可能価額まで減額を実施。また、連結子会社の販売関連資産についても、同計画に基づく販売体制再編による一部の店舗閉鎖などを決定したため、帳簿価額を回収可能価額まで減額したと明かした。

 さらに、生産用資産の一部および連結子会社の生産用資産についても、同計画に基づく生産体制再編・事業縮小を決定したため、資産グループを他の生産用資産から区分し、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、これらの減損損失は事業構造改革費用として計上済みとしている。

 販売台数は、主力エリアであるアセアン(ベトナム・タイ・インドネシア・フィリピンなど)が前年同期比43%減、日本でも同37%減と回復の遅いことが響いたほか、全市場で前年同期比30~40%減といまも厳しい状況が続いている。

 2021年3月期(2020年4月1日~2021年3月31日)通期業績見通しは、売上高1兆4600億円(前回の見通しから200億円減)、営業利益は1000億円の赤字(同プラス400億円)、経常利益も1200億円の赤字(同プラス400億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は3300億円の最終赤字(同プラス300億円)と、継続しているコスト構造改革などの影響で若干の回復基調により赤字幅の減少を見込むものの、販売台数については新型コロナウイルスの第2波の影響なども鑑み、80.2万台と前回の見通しよりも22万台減とした。

2020年度 通期業績見通し
2020年度 営業利益見通し変動要因分析【前年度比】
2020年度 販売台数見通し【前年度比】

2021年度には黒字化を実現すると池谷社長

 2021年度の黒字化実現について池谷氏は「固定費の削減については、当初2年間で20%の削減目標のところ、2020年度中に18%達成の目途が立っている。また、すでに今年度に織り込まれている効果と、第3四半期に行なった希望退職、パジェロ製造や岡崎工場の生産固定費の削減など、2021年度以降に効果が出てくるものもある」と黒字化実現に向けての道筋を解説した。また2021年度の販売台数については「当初から2018年度比で9割程度まで回復させるとした目標通り、2020年度は一旦80万台レベルまで落ち込むが、2021年は115万台程度まで戻ると考えている。35万台増のうち15万台は在庫があるので実質20万台増となり、新車の投入もあるため充分可能な数字であると思う」と言及。

 長岡氏は半導体の供給不足の影響について「日々状況をフォローアップしているが、今年度の生産に関してはそれほど大きな影響はないと捉えている。ただし数千台程度のリスクがあることも加味しているが、実際はそれほど大きな数値にはならないと見込んでいる。2021年度は現状と大きく変わらないスタートになると思っているが、随時チェックしていく」と説明した。

構造改革の進捗
新車投入

 アセアン地域の市場の動向について矢田部氏は「アセアン市場全体として2020年4月~12月で3割減と厳しい状況が続いているが、国によって差があり特にインドネシアとフィリピンの回復が遅れている。タイはかなり回復していたが、12月に新型コロナウイルスの第2波が発生し、12月~1月にかけてマーケットが冷え込んでいる。ベトナムやマレーシアは新型コロナウイルスをかなり抑え込んでいることから、マーケットは元に戻りつつある。インドネシアは徐々に回復してきた感じはあるが、タイは経過観察が必要だと認識している」と説明した。

 また、アセアンのマーケットシェアの動向について矢田部氏は「タイでの販売は苦戦している。特に小型乗用車は各社競争が激しく、利益性が低くなっていることと、ユーザーもローンが組めず販売が低迷している。なので今年度はマーケットシェアを追うのではなく、主力となっているピックアップの『トライトン』も競合が出てきて厳しい戦いをしているが、MPVの『エクスパンダー』と追加した『エクスパンダ―クロス』が好評と、とにかく収益性を確保できる車種の販売に力を入れていく。トライトンに関しては、都市部ではなく郊外を中心にデモンストレーションを行なっていて、競合が手をだしていないエリアでのマーケットシェア拡大も想定している」と言及した。

2020年度第3四半期累計 地域別業績【前年同期比】
2020年度第3四半期累計 地域別売上高見通し【前年同期比】

【お詫びと訂正】記事初出時、販売台数の桁を間違えて掲載しておりました。お詫びして訂正させていただきます。