ニュース

ホンダ、2020年度第3四半期決算発表「軽自動車の電動化ももちろん念頭に入れている」と倉石副社長

2020年度の連結営業利益を1000億円増益の5200億円に上方修正

2021年2月9日 発表

ホンダはオンラインにて決算説明会を行なった

販売台数は日本とアメリカは前年比80%程度、中国は110%超

 本田技研工業は2月9日、2020年度第3四半期連結決算の概況を発表し、オンラインで決算説明会を開催した。登壇したのは代表取締役副社長の倉石誠司氏、専務取締役の竹内弘平氏の2名。

 まずは石倉氏より、第3四半期決および今年度の見通しに関する統括が語られた。2020年度第3四半期累計(9か月間)の販売台数については、2輪事業が1059万1000台、4輪事業が342万5000台、ライフクリエーション(LC)事業が385万5000台であった。

2020年度 第3四半期累計 販売台数

 主要市場の状況としては、日本は新型コロナウイルスの影響で前年度を下回ったものの、10月以降はN-BOXやN-ONEなどがけん引して前年を上回った。特にN-BOXシリーズは4年連続販売台数1位を獲得するなど好調さをアピール。しかし、2020年通期では新型コロナウイルスや半導体の供給不足の影響を受け、前年度を下回る見通しだと明かした。

 アメリカ市場はゆるやかに回復しているが、9か月累計では前年同期を下回った。CR-Vやシビック、パイロットを中心に回復の兆しも見えるが、2020年通期は新型コロナウイルスの感染者数が見えないため、見通しは不透明であるとした。さらに、新型MDXなどライトトラックを中心に拡販するが、前年度を下回る見込みであるとした。

 中国は、消費刺激策の効果などで前年同期を上回り、6か月連続で単月の売上を更新した。2020年11月には東風本田と共同開発した「M-NV」を発売。2020年度通期は半導体不足の影響はあるものの、前年度実績を上回る見通しであると述べた。

 2輪は、中国やアメリカで公共交通機関の代わりにバイクを使うニーズが増えたため、市場はほぼ回復。アジア圏の市場も回復し始めたものの、9か月累計では前年を下回った。2020年度通期としては、新型コロナウイルスの影響で市場が不透明だが、インドやインドネシアでの販売増を見込み、前回の見通しから上方修正された。

主要市場の状況 二輪事業 日本
主要市場の状況 二輪事業 米国
主要市場の状況 二輪事業 中国
主要市場の状況 二輪事業 アジア、ほか

 第3四半期の連結決算は、売上高が9兆5467億円(前年比16.8%減)、営業利益は、販売費や一般管理費の抑制やコストダウンの効果により4470億円(前年比30.1%減)となった。また、2020年度の連結営業利益については、新型コロナウイルス感染拡大や、半導体供給不足の影響はあるものの、1000億円増益とし5200億円に上方修正した。また、当期利益は持分法による投資利益の増加などもあり4650億円と750億円ほど上方修正した。ただし販売台数は、二輪はインドやインドネシアの増加により前回見通しより増加。四輪は半導体の供給不足の影響により前回見通しより減少とした。

2020年度 第3四半期累計 連結決算総括
2020年度 連結業績見通し
代表取締役副社長の倉石誠司氏

 また後半に行なわれた質疑応答で倉石副社長は、業績修正の要因については、コストダウンや事業活動の見直し、コスト管理、研究開発費の削減によるものだと改めて説明。また、半導体の影響がなければ、為替の影響を除き、新型コロナウイルスの影響を吸収して昨年度を上回るレベルの通期見通しを報告できたと思うので残念だと吐露。

 また、半導体の供給不足に関しては、今年前半で解消し、来期には影響はないものと見ていると説明。もちろん生産調整も各地で図っているが、半導体の供給不足の影響で四輪の販売台数を10万台減としていると解説。また、今回発表した見通しは、半導体の影響を踏まえた数値となっていると報告した。

 半導体の仕入れについても、すでに複数のメーカーから適切な数を仕入れて在庫しているが、それでも供給不足が発生している。今後在庫の持ち方を含めて見直しが必要かもしれないと、現在検討していることを明かした。海外のサプライヤーが多いことが問題とは認識していないとした。

 EVの戦略について問われると、電動化はまったなしの状況と認識し、2030年には四輪販売の3分の2を電動化する目標に向かって取り組んでいる。それぞれの地域に合ったものを提供していきたいと考え、北米ではGMと、中国ではCATLとの協業を進めており、自社開発も含めて最適な方法を模索。これまで以上に電動化を加速させることを検討していると改めて報告した。

 また軽自動車の電動化についても、もちろん方向性は電動化の加速なので、軽自動車についても同様に考えている。ただし、いつどのようなということはまだ言える状況にないと締めくくった。