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ホンダF1、開幕戦での優勝はあるのか? 速さの光るレッドブル・ホンダのフェルスタッペン

F1予選デビュー戦で予選13位となった角田裕毅選手(22号車 アルファタウリ・ホンダ) (C)Getty Images / Red Bull Content Pool

ホンダF1のPU完全新設計の新骨格

 F1開幕戦バーレーンGPが3月26日~28日(現地時間)に、バーレーン国際サーキットで開催されている。日本時間の28日0時から予選が開催され、ホンダPU(パワーユニット)を搭載するマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)がメルセデスの2台を抑え見事ポールポジションを獲得。バーレーンでのテストや、練習走行などで示してきた速さが本物であることを証明した。

 ホンダはF1最終年となる2021年シーズンに「新骨格パワーユニット」と呼ぶ完全新設計のPUを投入。本田技術研究所 HDR Sakura センター長 兼 F1プロジェクトLPL 浅木泰昭氏は、F1開幕前のオンラインプレスカンファレンスで新骨格PUの詳細について「カムシャフトのレイアウトを大幅にコンパクト化して、地面に近い方に降ろしている。そうするとバルブの挟み角なども変わります。それにより燃焼室の形状を大きく変えるというのも目的だが、同時に非常にコンパクトになり重心も下がり、カムシャフトの上の空気の流れなども変わる」と発言。

「シリンダーとシリンダーの距離になるボアピッチも縮めてコンパクトにしている。片バンク3基あるが、それの1つ1つの距離を縮めてコンパクトにしている。エンジンに詳しい人が今の話を聞くと、まったく新作じゃんと思われると思いますが、そのとおりだ(笑)」と完全に新設計したPUであることを明かしている。

 この新骨格PUは燃焼効率も向上。「クランク軸出力を上げると、排気エネルギーが減る。そこをどうやって両立させるかを考慮しながら燃焼室を一番いいであろうと思う形にする。そのためにバルブの挟み角を変える必要があれば、カムのレイアウトも含めて全部変えるというような順番になっている」と語り、燃焼効率を上げるとパワーが出るようになるが、その引き換えとして捨てていた排気の熱エネルギーが減るというデメリットがある。

 現代のF1では、この排気の熱エネルギーをMGU-Hという形で回収しているほか、「MGU-Hは排気ガスからエネルギーを回生するシステム。このMGU-Hの電力量というのは無制限になっている。このため、そこが勝負の肝になっている」(浅木氏)と後輪軸出力を上げるためのポイントになっており、新骨格エンジンでは新しいアイディアを採り入れ、2020年シーズンより熱エネルギーの回収の性能があがっているのは間違いない。

信頼性の高いホンダの新骨格PU、開幕戦優勝はあるのか?

 浅木氏が常々語っているのは、エンジンはPUにはまず「信頼性」が必要であるということ。どんなにパワーがあっても信頼性がなければ、セッティングなどを詰めていくことができず、決勝レースでトラブルが出れば勝つことはできない。

 新骨格、完全新設計となるとその信頼性が心配となるが、バーレーンでの公式テスト、そして予選までPUを起因とした致命的なトラブルは出ていない。ホンダPUを搭載する、レッドブル・レーシング・ホンダ、アルファタウリ・ホンダとも順調にテストや練習走行を積み重ねてきた。

 開幕戦バーレーンGPにおいても、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手は、FP1(練習走行1)、FP2(練習走行2)、FP3(練習走行3)、予選のいずれもトップタイムを記録。メルセデスのハミルトン選手との差は予選で0秒388で、タイムを出す必要がある場面ではメルセデス勢を上回ってきた。

ポールポジションを獲得したマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ) (C)Getty Images / Red Bull Content Pool
パルクフェルメにインタビューに訪れたデビット・クルサード氏の50歳の誕生日を祝うフェスタッペン選手 (C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 予選5位となったピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)も0秒881差の1分29秒809で速さを示しており、ホンダが今シーズン投入した新骨格PUの性能のよさを示している。

予選5位となったピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ) (C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 ミディアムタイヤでのQ2突破に失敗したセルジオ・ペレス選手(11号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)は11位、同様にミディアムタイヤでのQ2突破に失敗した角田裕毅選手(22号車 アルファタウリ・ホンダ)は13位でのスタート。しかしながら、ミディアムタイヤでQ2を突破したのは、レッドブルの1台、メルセデスの2台、アルファタウリの1台であることを考えると、ソフトタイヤで上位勢がピットインするとペレス選手は5位のポジションに、角田選手は7位のポジションに着く可能性がある。

セルジオ・ペレス選手(11号車 レッドブル・レーシング・ホンダ) (C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 もちろん序盤の混乱に2台とも巻き込まれずスタートできた場合とはなるものの、角田選手もマシンの好調さを表明しており、日本時間で29日0時に始まるF1開幕戦の決勝レースが非常に楽しみな状況にあることは間違いない。速さを見せたホンダPU勢、決勝レースでの強さに期待したい。

バーレーンGPに挑む角田選手

F1第1戦バーレーンGP FP1

順位号車ドライバー車両タイム周回数
133マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ1分31秒39412
277バルテリ・ボッタスメルセデス1分31秒692+0秒29817
34ランド・ノリスマクラーレン・メルセデス1分31秒897+0秒50320
444ルイス・ハミルトンメルセデス1分31秒921+0秒52715
516シャルル・ルクレールフェラーリ1分31秒993+0秒59914
611セルジオ・ペレスレッドブル・レーシング・ホンダ1分32秒071+0秒67715
710ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ1分32秒195+0秒80123
855カルロス・サインツフェラーリ1分32秒366+0秒97215
93ダニエル・リカルドマクラーレン・メルセデス1分32秒434+1秒04020
1099アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1分32秒786+1秒39216
117キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1分33秒134+1秒74018
125セバスチャン・ベッテルアストンマーティン・メルセデス1分33秒157+1秒76321
1318ランス・ストロールアストンマーティン・メルセデス1分33秒233+1秒83920
1422角田裕毅アルファタウリ・ホンダ1分33秒329+1秒93521
1531エステバン・オコンアルピーヌ・ルノー1分33秒528+2秒13420
1614フェルナンド・アロンソアルピーヌ・ルノー1分33秒872+2秒47818
1763ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス1分34秒127+2秒73322
186ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス1分34秒340+2秒94622
1947ミック・シューマッハハース・フェラーリ1分34秒501+3秒10716
209ニキータ・マゼピンハース・フェラーリ1分34秒975+3秒58116

F1第1戦バーレーンGP FP2

順位号車ドライバー車両タイム周回数
133マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ1分30秒84723
24ランド・ノリスマクラーレン・メルセデス1分30秒942+0秒09525
344ルイス・ハミルトンメルセデス1分31秒082+0秒23524
455カルロス・サインツフェラーリ1分31秒127+0秒28026
577バルテリ・ボッタスメルセデス1分31秒218+0秒37123
63ダニエル・リカルドマクラーレン・メルセデス1分31秒230+0秒38322
722角田裕毅アルファタウリ・ホンダ1分31秒294+0秒44723
818ランス・ストロールアストンマーティン・メルセデス1分31秒393+0秒54624
910ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ1分31秒483+0秒63627
1011セルジオ・ペレスレッドブル・レーシング・ホンダ1分31秒503+0秒65623
1131エステバン・オコンアルピーヌ・ルノー1分31秒601+0秒75424
1216シャルル・ルクレールフェラーリ1分31秒612+0秒76526
1399アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1分31秒740+0秒89327
145セバスチャン・ベッテルアストンマーティン・メルセデス1分31秒769+0秒92226
1514フェルナンド・アロンソアルピーヌ・ルノー1分31秒770+0秒92324
167キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1分31秒862+1秒01515
1763ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス1分32秒331+1秒48428
1847ミック・シューマッハハース・フェラーリ1分33秒297+2秒45024
196ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス1分33秒400+2秒55328
209ニキータ・マゼピンハース・フェラーリ1分33秒449+2秒60219

F1第1戦バーレーンGP FP3

順位号車ドライバー車両タイム周回数
133マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ1分30秒57711
244ルイス・ハミルトンメルセデス1分31秒316+0秒73914
310ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ1分31秒583+1秒00613
477バルテリ・ボッタスメルセデス1分31秒855+1秒27816
511セルジオ・ペレスレッドブル・レーシング・ホンダ1分31秒908+1秒33111
655カルロス・サインツフェラーリ1分32秒108+1秒53116
77キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1分32秒224+1秒64715
831エステバン・オコンアルピーヌ・ルノー1分32秒423+1秒84611
918ランス・ストロールアストンマーティン・メルセデス1分32秒431+1秒85413
103ダニエル・リカルドマクラーレン・メルセデス1分32秒477+1秒90012
1116シャルル・ルクレールフェラーリ1分32秒482+1秒90517
1299アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1分32秒500+1秒92311
1322角田裕毅アルファタウリ・ホンダ1分32秒709+2秒13215
145セバスチャン・ベッテルアストンマーティン・メルセデス1分32秒755+2秒17815
1514フェルナンド・アロンソアルピーヌ・ルノー1分32秒820+2秒24315
164ランド・ノリスマクラーレン・メルセデス1分32秒860+2秒28310
1763ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス1分33秒323+2秒74614
1847ミック・シューマッハハース・フェラーリ1分33秒422+2秒84514
199ニキータ・マゼピンハース・フェラーリ1分33秒622+3秒04514
206ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス1分33秒959+3秒38216

F1第1戦バーレーンGP 予選結果

順位号車ドライバー車両Q1Q2Q3周回数
133マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ1分30秒4991分30秒3181分28秒99715
244ルイス・ハミルトンメルセデス1分30秒6171分30秒0851分29秒38518
377バルテリ・ボッタスメルセデス1分31秒2001分30秒1861分29秒58617
416シャルル・ルクレールフェラーリ1分30秒6911分30秒0101分29秒67815
510ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ1分30秒8481分30秒5131分29秒80915
63ダニエル・リカルドマクラーレン・メルセデス1分30秒7951分30秒2221分29秒92718
74ランド・ノリスマクラーレン・メルセデス1分30秒9021分30秒0991分29秒97418
855カルロス・サインツフェラーリ1分31秒6531分30秒0091分30秒21517
914フェルナンド・アロンソアルピーヌ・ルノー1分30秒8631分30秒5951分30秒24915
1018ランス・ストロールアストンマーティン・メルセデス1分31秒2611分30秒6241分30秒60115
1111セルジオ・ペレスレッドブル・レーシング・ホンダ1分31秒1651分30秒65911
1299アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1分30秒9981分30秒70812
1322角田裕毅アルファタウリ・ホンダ1分30秒6071分31秒2039
147キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1分31秒5471分31秒23812
1563ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス1分31秒3161分33秒43011
1631エステバン・オコンアルピーヌ・ルノー1分31秒7246
176ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス1分31秒9368
185セバスチャン・ベッテルアストンマーティン・メルセデス1分32秒0566
1947ミック・シューマッハハース・フェラーリ1分32秒4496
209ニキータ・マゼピンハース・フェラーリ1分33秒2737
 (C)Getty Images / Red Bull Content Pool