ニュース
ホンダF1、開幕戦はフェルスタッペン2位 角田は9位でデビュー戦ポイント獲得は日本人初
2021年3月29日 02:09
F1に熱いレースが戻ってきた
3月26日~3月28日(現地時間)にFIA Formula 1世界選手権開幕戦となるバーレーンGPが、バーレーン国際サーキットで行なわれた。28日(日本時間29日)には決勝レースが行なわれた。優勝したのはメルセデスのルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)。
ポールポジションからスタートしたマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)は最後の5ラップで猛烈にトップを追い上げて2位。ほかのホンダPU(パワーユニット)勢は、フォーメーションラップで止まってしまいピットスタートになったセルジオ・ペレス選手(11号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)が5位。このレースがデビューレースとなった角田裕毅選手(22号車 アルファタウリ・ホンダ)はスタートで順位を失ったものの、途中延べ5回も3人の世界チャンピオンを抜きながら9位にまで順位を上げ、日本人ドライバーとしては初めてデビューレースでポイントを獲得した。
レッドブル・ホンダのペレス選手はピットスタート
今シーズン最初のレースになったバーレーンGPだが、スタートで注目されたのは各車のタイヤ選択だ。ポールのフェルスタッペン選手、2台のメルセデス勢、5位のピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)がミディアムタイヤだが、残りのトップ10勢はソフトを選択していた。
タイヤ選択が自由になる11番手のペレス選手以下、アントニオ・ジョビナッツィ選手(99号車 アルファロメオ・フェラーリ)、角田選手、キミ・ライコネン選手(7号車 アルファロメオ・フェラーリ)はミディアムを選択しており、ソフト勢に比べて長くコースにとどまれると考えられるため、ソフト勢とは別の作戦で行ける可能性がある。
ところがレース前に波乱が起きた、レッドブルに今シーズンから移籍したペレス選手がフォーメーションラップでコース脇にストップ。その結果エクストラフォーメーションラップが実施され、決勝レースは1周減算で行なわれた。
スタート後、1コーナーを安定して抜けていった各車だが、3コーナーでこのレースがデビューレースのニキータ・マゼピン選手(9号車 ハース・フェラーリ)がスピンしながら飛び出し、壁にクラッシュしてしまった。その結果セーフティカーが出ることになった。
ホールショットを奪ったのはフェルスタッペン選手。2位にはメルセデスのハミルトン選手、3位にはシャルル・ルクレール選手(16号車 フェラーリ)で、メルセデスのもう1台となるバルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)をオーバーテイク。5位はガスリー選手だ。
4周目にレースは再開したが、今度は5位を走っていたガスリー選手が他車と接触し、フロントウィングを壊してピットに入り、ハードタイヤに交換して追い上げを目指すレースになってしまった。
チームメイトの角田選手もスタートで15位に順位を落とし、再スタートではさらに16位に順位を落とすことになった。ガスリー選手のフロントウィングのデブリが飛び散ったことで、バーチャルセーフティカーが出されることになったが、すぐに解除された。
バーチャルセーフティカーが終わると、レースは落ち着き、トップがフェルスタッペン選手で2位と3位がメルセデスのハミルトン選手、ボッタス選手となった。
トップのフェルスタッペン選手は徐々にメルセデスの2台を引き離していき、この3台で優勝争いが展開されることになった。
ピット戦略でメルセデスのハミルトンが前に出る
最初にピットに入ったのは2位を走っていたメルセデスのハミルトン選手でハードに交換。フェルスタッペン選手は3位を走っていたボッタス選手もカバーしなければならないためすぐに入ることができない。
その数周後にボッタス選手がハードタイヤに交換した後、フェルスタッペン選手がピットに入りミディアムに交換すると、ハミルトン選手がトップに立ち、フェルスタッペン選手が2位、ボッタス選手が3位になった。
フェルスタッペン選手はミディアムタイヤからミディアムタイヤへと交換したため、タイヤ交換の義務を消化するためにもう一度ピットに入る必要がある。メルセデス勢はいずれもミディアムからハードへと交換しているため、タイヤ交換の義務は果たしている。
残り29周でハミルトン選手はピットに入り、フェルスタッペン選手のアンダーカット(ピットで新しいタイヤに交換することで、前のクルマを追い越すこと)を警戒してトップ3で最初にピットに入った。2位のフェルスタッペン選手と3位のボッタス選手はステイアウト。
その2周後にボッタス選手がピットインするがタイヤ交換に失敗。通常2~3秒程度に終わるところが10秒以上かかってしまった。これでボッタス選手は5位に後退(後に3位に復帰)。これでハミルトン選手とフェルスタッペン選手の一騎打ちとなった。
フェルスタッペン選手は残り16周でピットイン。コースに戻るとハミルトン選手との差は8秒。ここからフェルスタッペン選手はファステストラップをマークしながらハミルトン選手を追い上げ出す。
ピットストップ義務はすべて終了しているので、あとはコース上での勝負だ。残り10周で3.3秒差、確実に差はつまりつつあるが、果たして追い抜くまでいくのか、トップ争いに注目が集まった。残り5周で差は0.523秒になる。タイヤは11周分新しいタイヤで、DRSが効く状態まで追いついた。
残り4周で、フェルスタッペン選手がハミルトン選手を2つめのストレートで豪快なオーバーテイクをしたが、コース外で追い抜いたということで次のストレートで一度ハミルトン選手で譲って2位に下がる。
その後もテールツーノーズのバトルが繰り広げられるが、結局抜くことはできず、そのままハミルトン選手が優勝し、フェルスタッペン選手は2位となった。
3位は最後の最後にタイヤ交換してファステストラップポイントを得たボッタス選手。レッドブル・ホンダのもう1台となるペレス選手は5位まで追い上げてゴールした。
角田選手は序盤で順位を下げたが、徐々に追い上げ、コース上で世界チャンピオンのセバスチャン・ベッテル選手(5号車 アストンマーティン・メルセデス)、フェルナンド・アロンソ選手(14号車 アルピーヌ・ルノー)をオーバーテイク。そして最後のピットが終わった後に、キミ・ライコネン選手をオーバーテイクして、ポイント圏内の10位に上がってみせた。
ベッテル選手に関しては3度もオーバーテイクしたので、コース上で延べ5回世界チャンピオンをオーバーテイクして見せた。そしてレースの最終ラップに前を走るランス・ストロール選手(18号車 アストンマーティン・メルセデス)をオーバーテイクし、9位入賞。日本人ドライバーとしてはデビューレースで初めて入賞し、ポイント獲得を果たした。
F1第1戦 バーレーンGP 決勝結果(暫定)
順位 | 号車 | ドライバー | 車両 | 周回数 | タイム | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 56 | 1時間32分03秒897 | 25 |
2 | 33 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・レーシング・ホンダ | 56 | +0.745秒 | 18 |
3 | 77 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 56 | +37.383秒 | 16 |
4 | 4 | ランド・ノリス | マクラーレン・メルセデス | 56 | +46.466秒 | 12 |
5 | 11 | セルジオ・ペレス | レッドブル・レーシング・ホンダ | 56 | +52.047秒 | 10 |
6 | 16 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 56 | +59.090秒 | 8 |
7 | 3 | ダニエル・リカルド | マクラーレン・メルセデス | 56 | +66.004秒 | 6 |
8 | 55 | カルロス・サインツ | フェラーリ | 56 | +67.100秒 | 4 |
9 | 22 | 角田裕毅 | アルファタウリ・ホンダ | 56 | +85.692秒 | 2 |
10 | 18 | ランス・ストロール | アストンマーティン・メルセデス | 56 | +86.713秒 | 1 |
11 | 7 | キミ・ライコネン | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 56 | +88.864秒 | 0 |
12 | 99 | アントニオ・ジョビナッツィ | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 55 | +1周 | 0 |
13 | 31 | エステバン・オコン | アルピーヌ・ルノー | 55 | +1周 | 0 |
14 | 63 | ジョージ・ラッセル | ウイリアムズ・メルセデス | 55 | +1周 | 0 |
15 | 5 | セバスチャン・ベッテル | アストンマーティン・メルセデス | 55 | +1周 | 0 |
16 | 47 | ミック・シューマッハ | ハース・フェラーリ | 55 | +1周 | 0 |
17 | 10 | ピエール・ガスリー | アルファタウリ・ホンダ | 52 | DNF | 0 |
18 | 6 | ニコラス・ラティフィ | ウイリアムズ・メルセデス | 51 | DNF | 0 |
NC | 14 | フェルナンド・アロンソ | アルピーヌ・ルノー | 32 | DNF | 0 |
NC | 9 | ニキータ・マゼピン | ハース・フェラーリ | 0 | DNF | 0 |