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デンソー、2021年3月期決算発表 営業利益は前年比153.9%増の1551億円

2021年4月28日 発表

登壇した取締役社長の有馬浩二氏(左)、経営役員の松井靖氏(右)

売上収益は減少したが、営業収益と当期利益は増益

 デンソーは4月28日、2021年3月期(2020年4月1日~2021年3月30日)の決算発表をオンラインで行なった。売上収益は前年(5兆1535億円)比で4.2%減の4兆9367億円、営業利益は同(611億円)比153.9%増の1551億円、当期利益は同(681億円)比83.6%増の1251億円。また、2022年3月期の業績予想については、売上収益は前年比10.6%増(5233億円)の5兆4600億円、営業利益は同166.3%増(2579億円)の4130億円、利益は同153.5%増(1919億円)の3170億円とした。

 発表会には取締役社長の有馬浩二氏と経営役員の松井靖氏の2名が登壇。まず松井氏は「決算のポイントは2点ある」と前置きし、売上収益については車両販売の回復により売上自体は順調に回復しているものの、コロナ影響による第1四半期の大幅な減少により前年比では減収。また、営業利益はコロナ影響による操業度差損に加え、半導体不足、物流費増などの外部影響、さらに品質費用などがあったが、止血・体質変革により前年比で増益となり、前回公表した予想の1500億円を達成できたと報告。

 22年3月期の業績予想については、電動化やADAS分野の好調な売り上げ収益と、さらなる体質改革の効果を反映して、不透明な環境下ではあるものの、売上収益は5兆4600億円。営業利益4130億円を見込むとした。

 営業利益の増減要因については、固定費増を合理化でカバーしつつ、止血に加え研究開発の効率化やデジタル化による働き方改革の推進など、体質変革を加速したことで前期を大きく上回る4081億円だったが、コロナ影響による操業度の落ち込みや半導体不足による車両減産などの外部特殊要因により大きく削られたと解説した。

 また、所在地別で見ると、第1四半期は連結で前年比60%の水準だったが、アジアに含まれる中国の車両販売の回復が進み、通期で前年比97%まで回復。営業利益も全地域で黒字となったと紹介した。設備投資については止血により3743億円となり、デジタル化や研究開発を推進して来期も低資源で開発を行なっていくとした。

 最後に今期の感想として「特に第4四半期はジェットコースターのような四半期だった。半導体不足、地震、寒波、火災、水難など、サプライチェーンが本当に厳しい状況に追い込まれたが、関わるすべての人が努力したことで乗り越えられた」と感謝を述べた。また、今後も引き続き抜本的な変革、ポートフォリオの組み換え、仕事の進め方の変革などで、変化に強い企業体質に鍛え上げる実行の1年にする。これからも環境安心分野で持続的に貢献できるように、環境では「CO2ゼロ」、安心では「交通事故ゼロ」など究極のゼロを目指して取り組むと締めくくった。

決算資料ダイジェスト版

「多くの方に助けてもらった1年だった」有馬社長

 有馬社長は「コロナ禍での生産変動、サプライチェーンの混乱など、さまざまなリスクに見舞われ大惨事の1年だったが、多くの方に助けてもらった1年だった」と振り返りつつ、「多くの取引先企業に支えられていると改めて痛感した」と感謝を述べた。また、品質問題によって失墜した信頼を取り戻すために、土台の立て直しに専念した1年でもあったと語り、経営改革はまだ道半ばとのことで「危機意識を忘れずに、さらなる体質強化はもちろん、危機管理の強化も一層強める」と語った。

 また、世界の脱炭素に向けての動きが加速していて、先日開催された気候変動サミットで菅総理が、2030年度の温室効果ガス排出削減目標を26%減から46%減へと変更したことにも触れ、日本が目指すカーボンニュートラルにデンソーとして何が協力できるか考えていて、特に「モノ作り」「モビリティ製品」「エネルギー利用」の3つの柱で取り組むと方向性を示し、モビリティ製品については、モーターやインバーターといった電動化やエンジン制御システムなどに加え、水素エンジンに関するものの開発を考えていると述べた。

 最後に「引き続き世界の動向に感度を高くして、トヨタグループと連携しながら日本らしいカーボンニュートラルの実現に貢献できるように尽力する」と締めくくった。