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SUPER GT第2戦富士、GT500はホンダNSX-GTが日立Astemoとして初優勝、GT300はトヨタGR Supra GT(SYNTIUM LMcorsa)が優勝

2021年5月4日 開催

優勝した17号車 Astemo NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット組、BS)

 日本最高峰のレースシリーズ“SUPER GT”の第2戦となる「2021 AUTOBACS SUPER GT Round2 たかのこのホテル FUJI GT 500km RACE」が、5月3日~5月4日の2日間にわたり、富士スピードウェイにおいて開催された。5月4日には110周の決勝レースが行なわれたが、その会場にはトヨタ自動車の豊田章男社長や日産自動車 アシュワニ・グプタCOOなど、マニファクチャラーのトップも駆けつけるという華やかな雰囲気の中で行なわれた。

 GT500クラスは今回初めて導入されたFCY(フルコースイエロー)が導入される直前に17号車 Astemo NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット組、BS)がドンピシャでピットに入った結果、大きなアドバンテージを得て、終盤のトップ争いをなんとかしのぎきって優勝した。2位は開幕戦優勝の14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組、BS)、3位は開幕戦でも3位に入った37号車 KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/阪口晴南組、BS)。

 GT300はレースの大半を52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組、BS)が支配したが、最後の最後でスローダウンしピットに入ってリタイアすることになってしまった。その結果2位にいた60号車 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑組、DL)が繰り上がって優勝した。2位はポールからスタートした61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)、3位は55号車 ARTA NSX GT3(高木真一/佐藤蓮組、BS)。

【前編】手越祐也、国歌独唱。 - Behind the Scene - 2021 AUTOBACS SUPER GT Rd.2 たかのこのホテル 富士 GT 500km RACE
【後編】手越祐也、国歌独唱。 - Behind the Scene - 2021 AUTOBACS SUPER GT Rd.2 たかのこのホテル 富士 GT 500km RAC

スターティンググリッドにはトヨタ自動車の豊田章男社長と日産自動車のアシュワニ・グプタCOOがそろい踏み

スターティンググリッド

 SUPER GTの第2戦となる富士500kmレースは、毎年ゴールデンウィークに行なわれる伝統のレースで、2020年はCOVID-19の感染拡大によりシーズン入りが7月に延期になってしまったため、500kmレースは開催されなかったので、実に2年ぶりのゴールデンウィークの500kmレースとなった。

手越祐也さん

 そうしたこともあってか、今回のレースは実に多彩なゲストが呼ばれていた。元ジャニーズで現在はユーチューバーとしても活躍しているタレントの手越祐也さんもその1人で、レース前に国歌独唱を行なった。最近ではこうした国歌独唱にゲストが呼ばれることも久しくなかったため、感染対策をしながらではあるが徐々に新しいレースの形ができ上がりつつある。

トヨタ自動車 社長 豊田章男氏(右)

 そして、今回もルーキー・レーシングのチームオーナーであるモリゾウ選手ことトヨタ自動車 社長 豊田章男氏は、同チームのピットやグリッドでその姿を確認することができた。さらに、今回もう1人の自動車メーカーのトップもSUPER GTのグリッドに来場していた。それが日産自動車 COO アシュワニ・グプタ氏で、グリッドでチームを激励したり、日産のファンに向かってお辞儀で挨拶をしていた。

日産自動車 COO アシュワニ・グプタ氏(左)、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社 最高経営責任者 片桐隆夫氏(右)
スタンドのファンに挨拶するグプタ氏と片桐氏

日産/ニスモ、2021年のモータースポーツ体制を発表した「モータースポーツファンイベント」レポート

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1306348.html

 また、グプタ氏はポールポジション(19号車WedsSport ADVAN GR Supra)の前で、GTアソシエイション(以下GTA) 代表取締役 坂東正明氏と記念撮影を行なっており、ニッサンのCOOがGR Supraの前で記念撮影という珍しい光景が現出していた。

19号車WedsSport ADVAN GR Supraの前で記念撮影するGTA 坂東正明代表(左)とグプタ氏(右)

GT500クラスはSUPER GTの歴史に残る、トップ4台による接近したトップ争いを制して17号車 Astemo NSX-GTが日立Astemoとして初優勝

GT500のスタートシーン

 GT500のスタートではポールポジションからスタートした19号車WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/宮田莉朋組、YH)だが、スタートしてすぐに1コーナーまでに後ろのブリヂストン勢に飲み込まれていく。それに替わってトップに立ったのは2番グリッドからスタートした8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組、BS)。さらに、ブリヂストンを履いたGR Supra勢が続く、19号車は1周目を終えると6位まで順位を下げていた。

2コーナーの先に煙を噴いてとまる23号車 MOTUL AUTECH GT-R。止まった段階では火も出ていた

 ところがレースが3周目の1コーナーを迎えると、23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)の右の排気口あたりから出火し白い煙を吐き出しながら2コーナーの先に停車することになった、2号車からは火が見えており、その後マーシャルにより火は消し止められたが、これでリタイアになってしまった。これにより3周目からセーフティーカー(SC)が導入されることになった。

 レースは30周目あたりから1回目のピットストップが始まったが、32周目に4位を走っていた38号車 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組、BS)の右リアのハブが壊れてタイヤがストレートで取れてしまう。このタイヤを回収するため、今回から正式に導入されたFCY(フルコースイエロー。コース全体がイエローになり追い越し禁止になり80km/hの速度制限が設定される)がレースの中では初めて出された。

 これで大きく得をしたのが、そのFCYが出る直前のタイミングでピットに入っていた17号車 Astemo NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット組、BS)。コース上の速度が最も遅くなるFCY中にピットに入ったので、ロスタイム分を得して全車がピットインを終えると、ピットストップ前にトップを走っていた36号車 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔組、BS)の前に出てトップに立った。

序盤トップに立った36号車 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔組、BS)、最後のFCYが出た直後にスローダウン

 その後全車が2回目のピットストップを終えると、8号車 ARTA NSXがトップに立っていた、その後ろには36号車 au TOM'S GR Supraが2位、17号車 Astemo NSX-GTが3位という順位に。ところが、コース脇に止まったクルマを排除するために終盤に出されたFCY解除されると、36号車 au TOM'S GR Supraが1コーナーでスローダウンして、その後コカ・コーラコーナーでストップすることに。さらに8号車 ARTA NSXには黄旗中に追い越し違反が取られてドライブスルーペナルティになり、これでトップ2台が消えることになった。

2回目のピットストップが終わった後8号車 ARTA NSX(野尻智紀/福住仁嶺組、BS)がトップに立つが黄旗無視によりピットスルーペナルティが出されて後退

 残り10周でトップに立っていたのは17号車 Astemo NSX-GT、そしてその真後ろに14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組、BS)。この2台で残り10周で激しいトップ争いが展開さることになった。さらに、そこに15位から追い上げてきた1号車 STANLEY NSX-GT、37号車 KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/阪口晴南組、BS)も追い付いてきて、トップ4が数秒以内で争う激しいレースになった。

終盤に2位の14号車、3位の37号車、4位の1号車を従えて周回する17号車 Astemo NSX-GT
2位に入った14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組、BS)
3位に入った37号車 KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/阪口晴南組、BS)
4位に入った1号車 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/武藤英紀/牧野任祐組、BS)
ニッサン勢の最上位は3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正組、MI)

 結局2位以下の猛攻をしのぎきった17号車 Astemo NSX-GTが優勝。スポンサーのケーヒンが他の会社と合併したことによりブランドが「日立Astemo」に変更されてから初優勝となった。2位は前戦優勝に続き表彰台獲得となった14号車 ENEOS X PRIME GR Supraでポイントリーダーの座を堅持した。3位は終盤に1号車をオーバーテイクした37号車 KeePer TOM'S GR Supra、4位は1号車 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/武藤英紀/牧野任祐組、BS)、5位は3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正組、MI)でニッサン勢の最上位、6位は39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一組、BS)となった。

喜ぶ17号車 Astemo NSX-GTのクルー
GT500の表彰台

 以下、GT500クラス決勝結果(結果は暫定)。

順位カーナンバー車両名ドライバータイヤサクセスウェイト周回数
117Astemo NSX-GT塚越広大/ベルトラン・バゲットBS12110
214ENEOS X PRIME GR Supra大嶋和也/山下健太BS40110
337KeePer TOM'S GR Supra平川亮/阪口晴南BS24110
41STANLEY NSX-GT山本尚貴/武藤英紀/牧野任祐BS6110
53CRAFTSPORTS MOTUL GT-R平手晃平/千代勝正MI4110
639DENSO KOBELCO SARD GR Supraヘイキ・コバライネン/中山雄一BS16110
719WedsSport ADVAN GR Supra国本雄資/宮田莉朋YH110
88ARTA NSX-GT野尻智紀/福住仁嶺BS8110
912カルソニック IMPUL GT-R平峰一貴/松下信治BS2110
1064Modulo NSX-GT伊沢拓也/大津弘樹DL110
1116Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT笹原右京/大湯都史樹DL110
1224リアライズコーポレーション ADVAN GT-R高星明誠/佐々木大樹YH109
1336au TOM'S GR Supra関口雄飛/坪井翔BS3098
38ZENT CERUMO GR Supra立川祐路/石浦宏明BS1031
23MOTUL AUTECH GT-R松田次生/ロニー・クインタレッリMI2

GT300クラスは、GR Supra本家の52号車に悲劇が訪れる中、カスタマーチームの60号車 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTが優勝

優勝した60号車 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑組、DL)

 GT300ではポールポジションからスタートした61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)がそのままトップに立った。しかし、予選3位から2位に上がった60号車 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑組、DL)が激しく追いかける状態に。序盤はこの2台による激しいトップ争いが展開された。

GT300のスタートシーン

 しかし、1回目のピットインを終えると、トップに立っていたのは52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組、BS)。1回目のピットインでフルサービス(燃料補給とドライバー交代だけでなくタイヤ交換も行なうこと)を行なった61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTに対して、52号車は1回目のピットストップではタイヤ交換などを行なわず、順位を上げる作戦に出たのだ。

2位に入った61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)

 2回目のピットストップを終えても引き続きトップに立っていたのは52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT。また、トップから10秒離れて2位に上がっていたのが55号車 ARTA NSX GT3(高木真一/佐藤蓮組、BS)で、3位には予選3位からスタートした60号車 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT、4位にポールからスタートした61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTという順位になっていた。終盤に55号車 ARTA NSX GT3を60号車 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTと61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTが抜いていき、それぞれ2位と3位に上がった。

終盤スローダウンする52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組、BS)

 そのまま52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTが優勝すると思った残り7周、なんとその52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTが急にスローダウンし、そのままピットに入りレース終了となった。これにより、2位だった60号車 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTが1位、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTが2位、そして55号車 ARTA NSX GTが3位に繰り上がる。その3台の差は約1秒。ゴールまで激しいトップ争いが展開されたが、そのままの順位でゴールすることになった。

3位に入った55号車 ARTA NSX GT3(高木真一/佐藤蓮組、BS)

 4位は65号車 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟組、BS)、5位は10号車 GAINER TANAX with IMPUL GT-R(星野一樹/石川京侍組、DL)、6位は88号車 JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥組、YH)となった。

喜ぶ60号車 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTのクルー
GT300の表彰式

 以下は、GT300決勝結果(結果は暫定)。

順位カーナンバー車両名ドライバータイヤサクセスウェイト周回数
160SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT吉本大樹/河野駿佑DL9103
261SUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人/山内英輝DL103
355ARTA NSX GT3高木真一/佐藤蓮BS103
465LEON PYRAMID AMG蒲生尚弥/菅波冬悟BS45103
510GAINER TANAX with IMPUL GT-R星野一樹/石川京侍DL3102
688JLOC ランボルギーニ GT3小暮卓史/元嶋佑弥YH6102
756リアライズ日産自動車大学校 GT-R藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラYH60102
84グッドスマイル 初音ミク AMG谷口信輝/片岡龍也YH102
918UPGARAGE NSX GT3小林崇志/名取鉄平YH102
102muta Racing Lotus MC加藤寛規/阪口良平/小高一斗BS102
11244たかのこの湯 GR Supra GT三宅淳詞/堤優威YH18102
125マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号平木湧也/平木玲次YH102
1325HOPPY Porsche松井孝允/佐藤公哉YH12102
1496K-tunes RC F GT3新田守男/平良響DL15102
1587グランシード ランボルギーニ GT3松浦孝亮/坂口夏月YH101
1611GAINER TANAX GT-R平中克幸/安田裕信DL27101
1721Hitotsuyama Audi R8 LMS川端伸太朗/篠原拓朗YH101
1830TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT永井宏明/織戸学/上村優太YH101
1934Yogibo NSX GT3道上龍/密山祥吾YH101
207Studie PLUS BMW荒聖治/山口智英YH101
2150Arnage AMG GT3加納政樹/柳田真孝YH101
2235arto RC F GT3ショーン・ウォーキンショー/ジュリアーノ・アレジYH100
236Team LeMans Audi R8 LMS本山哲/片山義章YH100
24360RUNUP RIVAUX GT-R青木孝行/田中篤/内田優大YH100
259PACIFIC NAC CARGUY Ferrari木村武史/ケイ・コッツォリーノYH100
2648植毛ケーズフロンティア GT-R田中優暉/飯田太陽YH100
2752埼玉トヨペットGB GR Supra GT吉田広樹/川合孝汰BS3397
2831TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT嵯峨宏紀/中山友貴BS72
22アールキューズ AMG GT3和田久/城内政樹/山下亮生YH71