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アルティウムセルズ、バッテリセル製造時のスクラップ材を100%リサイクルへ

2021年5月11日(現地時間)発表

新型バッテリ「アルティウム」を搭載するGMの次世代EVプラットフォーム

リサイクル材を市場に還元

 GM(ゼネラルモーターズ)は5月11日(現地時間)、LGエナジーソリューションとの合弁会社であるアルティウムセルズが、北米最大級のリサイクル会社であるLi-Cycleとバッテリセル製造から出るスクラップ材を最大100%リサイクルする業務契約を締結したと発表した。この新たなリサイクルプロセスは、2021年後半より開始する予定。

 今回の業務契約で、アルティウムセルズは「コバルト」「ニッケル」「リチウム」「グラファイト」「銅」「マンガン」「アルミニウム」などのバッテリ材料をリサイクルできるようになり、こうした材料の95%は新バッテリの生産や関連事業で使用することが可能となる。また、このバッテリ材料のリサイクルに用いられる湿式製錬プロセスは、温室効果ガスの排出量を従来のプロセスよりも30%削減し、環境への影響を最小限に抑えることができるという。

 Li-Cycleの社長兼CEOで共同創業者のアジャイ・コッチャー氏は「当社とアルティウムセルズとの共同作業は、バッテリ製造のスクラップを埋め立て処分せずに、相当量の貴重なバッテリグレード材料を、バッテリサプライチェーンに戻すことに役立つでしょう。我々のリチウムイオン資源回収技術は、採鉱よりも持続可能な代替手段であると証明されており、今回の提携は、その技術の進化に向けての重要な一歩です」と述べている。

GM用プラットフォーム コンポーネンツ(23秒)

 GMは2013年以来、ユーザーから回収したバッテリパックを、保証サービスで交換したパックも含めて100%リサイクルまたは再利用している。また、新型バッテリ「アルティウム」はモジュール式デザインを採用しているため、リユースやリサイクルが簡単にできる構造となっている。そのため、GMの最新のEVのほとんどは修理の際に、再生バッテリパックに交換されているという。

 GMのEV(電気自動車)・自動運転車担当バイスプレジデントのケン・モーリス氏は「GMの廃棄物ゼロへの取り組みは、2025年までに世界全体で我々の製造廃棄物の90%以上を埋立地や焼却地から転換することを目指しています。これから我々は、アルティウムセルズおよびLi-Cycleと密接に連携して、産業界が材料をより有効に活用できるよう支援していきます」とコメントしている。

 アルティウムセルズのCOOであるトーマス・ギャラガー氏は「我々は、より少ない廃棄物と消費エネルギーで、より多くのものを生み出すように努力しています。これは、我々のコンポーネントと製造プロセスのサステナビリティを改善するための重要なステップです」と述べている。

GM用プラットフォーム コンポーネンツ