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GM、ブランド初のEV「リリック」世界初公開 フル充電で300マイル以上の航続距離

後輪駆動モデル、AWDモデルを展開

2020年8月7日(現地時間)公開

ブランド初の新型EV(電気自動車)「リリック」を世界初公開

 米GM(ゼネラルモーターズ)は8月7日(現地時間)、ブランド初の新型EV(電気自動車)「リリック」を世界初公開した。リリックの日本導入時期は未定としている。

 新型リリックは専用のEVアーキテクチャーを採用し、より長い走行距離、魅力あるドライビングエクスペリエンス、乗員スペースといった価値を提供するという。

 リリックにはアルティウム・バッテリーシステムを車両の構造的な要素として組み込み、乗り心地やハンドリング、安全性を向上。このバッテリーパックの配置によって低重心化の実現、重量配分を50:50に近づけたことで、スポーティでレスポンスよく軽快な走りを可能にしたとのこと。

 リリックは後輪駆動(RWD)モデルになり、モーターを車両後部に配置することで重量配分と俊敏性を向上。この方式はホイールスピンを起こさずに舗装路により多くのトルクを伝達できることから爽快な加速を実現し、さらにコーナリング能力も高めたとのこと。オプションでAWDモデルも用意される。

新型リリックは後輪駆動(RWD)モデルとともに、オプションでAWDモデルも用意

 バッテリーについては、約100kWhのエネルギーを供給可能なGMの新型アルティウム・バッテリーシステムを搭載。アルティウムに採用した最先端のNCMA(ニッケル-コバルト-マンガン-アルミニウム)化合物は正極にアルミニウムを使用しており、コバルト等のレアアース素材の使用を低減。これは現在のGMで使われるバッテリーと比較し、コバルト含有量を70%以上削減したことになるという。

 この最先端のバッテリー化合物は、スマートなモジュール構造を可能にする大容量で平面的なパウチ型セルに封入されており、複雑さを低減し、冷却の必要性を簡素化。さらにバッテリーの電子回路をモジュール内に直接組み込んでいるため、現行GMのEVモデルと比較してバッテリーパックの配線が約90%削減された。充電については、直流(DC)急速充電で150kW以上での充電が可能とのこと。フル充電で300マイル以上の距離を実現するとしている。

 一方、リリックでは乗員とのパートナーシップが図れるという最新のテクノロジーを採用しており、例えばドライバーが近づくとリリックはドライバーを認識し、照明を使ったアニメーションで出迎えるとともに、車内のシート、ミラー、エアコンディショナーの調整などを行なう。車内ではキャデラックの最高レベルのドライバーインフォメーション、インフォテイメント、コネクティビティが統合されており、よりシームレスで充実したエクスペリエンスを提供するとのこと。

ドライバーが近づくとリリックはドライバーを認識し、照明を使ったアニメーションで出迎える

 対角33インチの最新型LEDディスプレイを備え、ドライバーの視野全体に広がる大きな1つの画面にドライバーインフォメーションの詳細、インフォテイメント・コントロール、カメラビューを統合。この新型ディスプレイは現在の自動車業界では最高の画素密度を誇るとしており、10億色以上の表示を可能にした。

 また、不要な音を遮断することを目的に、ノイズキャンセリング能力を向上させるためマイクや加速度センサーをより多く搭載する新型ロードノイズキャンセリング技術を初めて導入。この新システムによって車内のノイズレベルを低減させ、より静かな乗車体験を可能にしている。

 外観では張りのあるラインとクリーンなサーフェスを特徴とし、低くなだらかに傾斜するルーフラインとワイドスタンスによって俊敏性を強調するとともに、流れるようなルーフスポイラーなどの細部には、高速道路での走行効率を高めるため空力性能を考慮したデザインが施されたという。

 また、フロントまわりでは最もユニークなデザインエレメントの1つとなるブラッククリスタルグリルを採用し、このグリルはオーナーが車両に近づいた際に縦長のスリムなLEDシグネチャーライティングがドラマチックな照明演出で迎える機能が備わる。リアまわりでもスリムなLEDを組み込んだスプリットテールランプデザインを採用しており、フロント同様の照明演出が用意される。

リリックの外観

 室内では新しいEVアーキテクチャーの採用に伴い、インテリアにおける空間の使い方や配置を見直し、キャビンの広さやデザインの可能性を拡大。その結果、より広々としたミニマリスティックなデザインになるとともに、バックライト付きスピーカーグリルや、隠し収納部付きの湾曲したスクリーン、照明機能など、こだわりのあるディテールを多数採用したとのこと。

リリックの室内

 そのほか、完全ハンズフリー運転支援システム「スーパークルーズ」の最新バージョンを採用し、自動車線変更機能が備わるとともに、デュアルプレーン拡張現実(AR)対応ヘッドアップディスプレイやリモートセルフパーキングなどの新技術を搭載した。

 なお、リリックのチーフエンジニアであるジェイミー・ブリュワー氏は、「『リリック』はあらゆる旅を楽しく爽快にするために考案されたクルマです。100年以上に及ぶ革新的な技術を活用し、このブランドを新たな時代に導くと共に、よりパーソナルで、つながりを感じさせ、夢中になれる体験をお客様に提供します。そのためにわれわれはEV専用のアーキテクチャーを開発しました。『リリック』は単に優れたEVだというだけでなく、キャデラックであることを第一に考えているのです」と述べている。