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デンソー、米ハネウェルとのアライアンス強化 電動航空機用推進システムの共同事業スタート

2021年5月24日 発表

ハネウェルとの共同開発品であるEPU(両翼のプロペラ部に搭載)

2022年に電動航空機用推進システムの試験飛行を実施予定

 デンソーは5月24日、米国のハネウェル(電子制御システムや自動化機器を手掛ける企業)と、電動航空機用推進システムの事業においてアライアンス契約を締結し、共同事業を開始すると発表した。

 共同事業の対象は、電動航空機用推進システム製品の開発・設計、生産、販売、およびアフターサービスで、両社はまず「エアタクシー」や「貨物機」などの都市型エアモビリティ分野に注力するとしている。すでにクライアントとのプロジェクトを進めていて、2022年に電動航空機用推進システムの試験飛行を実施する予定という。

 昨今、MaaSの進展によりモビリティが多様化する中で、都市部での渋滞や、それにより発生するCO2、過疎地での交通網の確保といった課題の解決策として、新たな空のモビリティである電動航空機が注目されている今、電動航空機は、静かで快適性に優れるだけでなく、CO2を排出しない環境に優しい次世代モビリティと位置付けている。

 デンソーは、2035年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言していて、その実現に向けて「モノづくり」「モビリティ製品」「エネルギー利用」の3つの領域全体でカーボンニュートラルに取り組んでいる。特に「モビリティ製品」においては、全モビリティの電動化を見据えたブランド「ELEXCORE(エレックスコア)」を立ち上げ、電動化製品の普及を通じて、環境負荷の低減を推進している。

 今回、2019年より共同開発を続けていたハネウェルとアライアンスを強化し、電動航空機用推進システムの共同事業を開始。ハネウェルの航空機向け技術開発での100年以上の実績と、デンソーの約70年にわたり自動車向け技術開発で培った高い技術力を融合し、両社で電動航空機用推進システム製品であるEPU(Electric Propulsion Unit、電動推進ユニット)を開発。

 その中でデンソーは、航空機においてもっとも重要な軽量化を実現し、空のモビリティの価値向上に貢献するため、独自の磁気回路を用いた高出力モーターや、内製SiC(シリコンカーバイド)を用いた高効率・高駆動周波数インバーターを開発するとしている。

両社のコメント

 デンソー 経営役員 エレクトリフィケーションシステム事業グループ長 海老原次郎氏は「モビリティへのニーズが変化する中で、デンソーがどのように対応・進化していくのかを今回のアライアンスの強化によって皆さまにお伝えできると考えています。持続可能な社会の実現には環境に優しい移動が必要であり、それは、2035年までにカーボンニュートラルを目指すデンソーが貢献すべき領域です。ハネウェルとの協業を通じて、環境に優しく、安心して使えるモビリティの実現を目指します」と述べている。

 ハネウェル エアロスペース事業 エンジン&パワーシステム プレジデント デイヴ・マリニック氏は「ハネウェルの技術は100年以上にわたって人類の飛行に貢献してきました。デンソーの自動車技術におけるリーダーシップとハネウェルの航空宇宙分野での経験を組み合わせることで、世界中の人々がよりクリーンでスマートな方法で移動できるようになるでしょう」とコメントしている。