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ソニーが「VISION-S」に取り組む理由について、AIロボティクスビジネス担当 川西泉氏が基調講演

2021年5月26日 実施

 自動車技術会は、5月26日~28日にオンラインによる「2021年春季大会」を開催。同大会の基調講演として、ソニーグループ 執行役員 AIロボティクスビジネス担当 川西泉氏を迎えた「VISION-Sプロジェクト:ソニーのモビリティに対する取り組み」をオンデマンド配信した。

 同基調講演は5月26日~7月30日に開催している「人とくるまのテクノロジー展2021オンライン」の開幕に合わせて行なわれたもので、川西氏による講演では、ソニーのコーポレートプロジェクト「VISION-S」について、VISION-S プロトタイプ車両の概要説明など、モビリティの進化に対するソニーの考え方や取り組みについて紹介した。

ソニーグループ 執行役員 AIロボティクスビジネス担当 川西泉氏を迎えた「VISION-Sプロジェクト:ソニーのモビリティに対する取り組み」が配信された

 VISION-Sは、ソニーが次世代の移動のカタチを目指して開発を続けているEV(電気自動車)。基調講演の中で川西氏はVISION-Sについて、自立歩行する「aibo(アイボ)」や自律飛行する「Airpeak」と並び、AIロボティクス領域として取り組んでいるもので、これらは自律して動くロボットであり、クラウドとつながるエッジコンピューティングとして見ていることを明かした。

ソニーがAIロボティクス領域として取り組む自動運転する「VISION-S」、自律飛行する「Airpeak」、自立歩行する「aibo(アイボ)」

 また、VISION-Sには「SAFETY」「ENTERTAINMENT」「ADAPTABILITY」という3つのコンセプトがあり、SAFETYの分野では、自動運転を実現させるソニーのイメージングやセンシング技術の活用、ENTERTAINMENTでは、ソニーが得意とするオーディオビジュアル、インフォテインメント、ヒューマンインターフェースの応用。ADAPTABILITYでは、クラウドを活用したコネクティビティによってユーザーに合わせて柔軟に進化していくことを目指し、将来的に環境問題への貢献も目指すサステナビリティへの思いも込めたという。

 現在、VISION-Sは5月よりドイツ・フランクフルトで上質な走行性能の実現に向けた開発を開始。EVならではの加速性能や静粛性を生かして、高速走行やさまざまな走行条件のもとで安定した走行と快適な空間を追求した車両の開発を進めるとともに、ヨーロッパ以外の地域でもテストを行なうために試験車両の台数を増やしていく予定という。

 ソニーがVISION-Sに取り組むことについて、川西氏は「モビリティの進化は、自動車というハードウェアの変化にとどまらず人々のライフスタイルや社会の在り方も変えていくパワーを持っています。モビリティは、EV化、サービス化、スマートグリッド化の流れを加速することで、社会課題や環境問題への貢献という点において、その影響力はモバイルよりも大きいと考えています」との考えを話した。

 また、昨今の新型コロナウイルスがもたらした社会への影響について、川西氏は「新型コロナウイルスによって新しい生活様式を求められる中、モビリティや従来の移動を前提とした社会構造は変化を求められており、移動に求められる価値は大きく変わるかもしれません。このような背景や社会の変化も踏まえ、ソニーはこれからの移動の価値を見つめ直し、高めることを目指していきます。いかによりよい安心安全をお届けできるか、移動にどのような感動をもたらすことができるか、そしてより豊かな社会環境につなげられるか、クリエイティビティとテクノロジーの力で新たなモビリティの世界を切り開いていきたいと思います」との考えを語っていた。