ニュース
アルプスアルパイン、歩道走行用の障害物検知ユニットが電動カート「ポルカ―」に採用
2021年6月25日 19:28
- 2021年6月16日 発表
高齢者の自由で自立した移動を支援
アルプスアルパインは6月16日、業界に先駆けて開発していた歩道走行用の障害物検知アルゴリズムを活用した障害物検知ユニットが、電動カートメーカー大手の福伸電機が販売している障害物検知機能付き電動カート「ポルカ―(POLCAR)」に採用されたと発表した。
かねてより高齢化が世界的な社会問題として取り上げられ、日本では政府が「人生100年時代構想」を掲げ、増加する高齢者の学び直しや新たなチャレンジを促す仕組みに加え、健康寿命を延ばす施策などについて継続した議論がされている。高齢者がより活躍できる社会を実現するためには、高齢者の移動を促進することで地域内流動を活性化させ、生活の質を持続的に高めていくことが重要と言われている一方で、高齢化に伴う身体機能の低下は避けられず、高齢者による交通事故は増加。運転免許の早期返納の世論も高まり、高齢者の自由な移動はむしろ制限される傾向にあると言える。
この課題解決に向けてアルプスアルパインは、高齢者の自由で自立した移動を支援する低速車向けの障害物検知ユニットを開発。今回、福伸電機が開発した障害物検知機能付き電動カート「POLCAR(SPX-1)」に採用された。同電動カートは福伸電機の代理店経由で6月16日より販売が開始されている。
採用された障害物検知ユニットは、センサとデータ処理のためのコントローラを一体化したモジュール製品で、センサ部には「アクティブIRステレオカメラ」を利用。赤外線を照射することで、特徴点が少ない物体や視認性の低い暗闇の中など、通常のカメラでは検知が難しい環境においても正確に物体を把握することができる。
さらにLiDARと比べてコストやサイズ、重量を抑えることができるとともに、一般的なTOFカメラの測距性能を上まわる、電動カート向けに適した最大6mの範囲を検出可能なため、コストパフォーマンスが高いとしている。
また、業界に先駆けて独自開発した歩道走行用の障害物検知アルゴリズムにより、壁やフェンス、路上のブロックや段差、路面の穴や溝、のり面のほか、電動カートによる事故多発の原因となる踏切の遮断桿も検出対象として捉えることが可能。天候の変化や日向・日陰の混在といったカメラ画像に影響を及ぼす光量の変化が大きい環境でも、物体との距離やその形状の把握ができるとした。
さらに、白線や点字ブロックといった障害物として誤検出されやすい路面サインについては、AIを活用した画像認識により誤検出を軽減。電動カートのみならず、6km/hまでの移動体であれば、本ユニットを搭載することで障害物検知によるさまざまなソリューションを実現することができるという。
アルプスアルパインは今後、走行や障害物回避といった一連の動作の完全自動化や、公共空間で生活する人々との共生・協調する機能に加え、本ユニットで検知した各種データをクラウドとつないでモニタリングして解析することで、データビジネスへの応用も視野に入れ開発を強化。高齢化社会への貢献を目指すとしている。