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ホンダF1 田辺TD、次戦イギリスGPの“スプリント予選”は「FP1と事前シミュレーションが重要になる」
2021年7月5日 11:17
- 2021年7月2日~4日(現地時間) 開催
F1第9戦オーストリアGPは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手がポール・トゥ・ウィンで3連勝を飾った。ホンダのパワーユニットとしてはモナコGPでのフェルスタッペン選手の優勝から、セルジオ・ペレス選手のアゼルバイジャンGPでの優勝を挟んでの5連勝を達成した。
ホンダパワーユニットの5連勝は、1988年のセナ・プロ時代(マクラーレン・ホンダ)の開幕11連勝以来となる。この結果により、マックス・フェルスタッペン選手はドライバー選手権においてポイントを182に伸ばし、2位のルイス・ハミルトン選手(メルセデス)と32点差と1レース優勝分(25点+ファステストラップポイントの1点)以上にリードを広げた。また、コンストラクターズ選手権でも、レッドブル・ホンダは286点となり、2位のメルセデスに44点差をつけ、1-2フィニッシュ(1位25点+2位18点+ファステストラップの1点)分の差となっている。つまり仮に次戦ノーポイントでもポイントリーダーの座を維持できるということだ。
レース後にはホンダにとってうれしいサプライズプレゼントもあった。表彰台のコンストラクターズの代表として、ホンダF1テクニカルディレクターの田辺豊治氏が表彰台に上がることになったのだ。田辺氏にとっては2019年のF1復帰後初優勝のオーストリアGPに次いでの表彰台登壇となる。
レッドブルの地元でのホンダ関係者による表彰台登壇は、両者の良好な関係を象徴するものだと言える。そうした表彰台から戻ってきた田辺氏によるオンライン会見が行なわれたので、その模様をお伝えしていきたい。
#F1jpポディウムの様子です🍾
— HondaモータースポーツLive (@HondaJP_Live)July 4, 2021
今日は一度もリードを許さずに勝ち切ったフェルスタッペン選手、そして2019年の復帰後初勝利以来、2度目の登壇となった田辺豊治TDです🙌 👉🐂👈#PoweredByHonda#ホンダモースポpic.twitter.com/Y8urRbknBC
レッドブルとホンダのいい関係を象徴する田辺TDの表彰台登壇
──田辺TDから今日のレースの振り返りを
田辺氏:3連戦、3戦目のオーストリアGPだったが、マックス・フェルスタッペン選手がポール・トゥ・フィニッシュという力強いレースを展開して、レースを支配したという形で終了することができた。3連戦、3連勝という形で総括でき、5連勝というよい形で進んでいると思う。しかし、まだ23戦して9戦が終わっただけだ。
ペレス選手に関しては、前を走るノリス選手に仕掛けてポジションを落としてしまった。その後アグレッシブな走りをして追い上げたが、他車を押し出したという形で5秒ペナルティを2回もらって6位。後続のクルマと9.6秒差だったので、あと0.5秒で順位を戻せたが及ばず6位になった。
アルファタウリの2台はレースペースがよくなく、ガスリー選手が9位、角田選手はピットイン時の白線を越えてしまいペナルティを2回もらって12位だった。
次戦はシルバーストーンで、多くのF1チームのホームになっている。レッドブルにとっても、ホンダにとってもイギリスでの拠点に近く、各チームもアップグレードを入れてくると思う。また、スプリント予選(筆者注:レース形式の予選)という新しい形のフォーマットも入ってくるので、それに向けて準備をしていく。
──田辺氏が表彰台に上がったが、表彰台に上がったこと、コンストラクターズなのにホンダを代表して上がった心境は?
田辺氏:2度目がまわってくるとはまったく考えていなかった。レースが終わってクリスチャンから無線が入って「田辺、ポディウムだ」と言われて、まわりの人たちに「行き方、覚えている? 今回は大丈夫?」などと言われながら行くことになった。前回のレースではヘルムート・マルコさんが登壇して、レッドブルにとってホームコースで特別な場所なのだと思いながら見ていた。そんな特別な場所で2年前にポディウムに乗ることができたこと、そんなところに自分がポディウムに登壇したのだと思っていたのが先週だった。自分の人生の中でいい思い出になったと思うし、レッドブルとしてもホンダに期待をしてくれているのだということを感じた。
──2年前は復帰後初優勝、涙でよく見えなかったと思うが、今日はどういう風に風景、光景で見えたか?
田辺氏:今回はお客さまが一杯入っていた。それでもグランドスタンドにはやや隙間があって昔のようには満席という訳ではないが、オレンジ一色のスタンドもあり、そういう雰囲気の中で前回のシーンを思い出しながらあの場に立っていた。今回は前回比べるとグランドスタンドを見回す時間があり、感慨も深かった。下に各チームのスタッフが集まっていて、マックスの優勝、ボッタス選手の2位、ノリス選手の3位を祝福していたのが印象的だった。
次戦のレース形式のスプリント予選に向けては、FP1と事前のシミュレーションが重要になる
──フランスで2基目を入れたが、メルセデス陣営からからパワーが上がったと言われて田辺氏が否定するような報道もあった。なんでもオイルが新しくなったと聞いているが、それも影響しているのか? 田辺氏:長いことエクソンモービルさんと燃料だけでなくオイルに関しても協力関係にある。これまでも燃料に関しては何度かお話しさせていただいたが、オイルに関してもアップデートをしている。信頼性やパフォーマンスの両方を向上させるという目的で、その向上が認められたということでオイルを投入したという形になる。 ──来季のホンダのレッドブル・パワートレインズへのサポートに関しても報道があったが、田辺氏から何かコメントはあるか? 田辺氏:レッドブルとホンダで話をしていると承知している。私の方からお話しできることは、今の時点ではない。 ──次のイギリスGPではスプリント予選、レース形式の予選という新しいフォーマットが導入される。その見通しなどについて教えてほしい。 田辺氏:今のレギュレーションだと、レースではパワーユニットのモードが1つのモードにしかできない。通常のレースではそれが予選のQ1から適用されるが、次のレースでは予選から適用される(筆者注:レース形式のスプリント予選のグリッドを決める予選の予選。金曜日にFP1の後に行なわれる、次のレースでは金曜日にFP1/予選、土曜日にFP2/スプリント予選、日曜日に決勝レースという変則的なスケジュールで行なわれる)。このため、FP1で走った段階でパワーユニットのモード選択などを行ない、そこから金曜日の予選、土曜日のスプリント予選をそのモードで走らないといけない。したがってFP1で行なう最終的な最適化が大事になるので、事前のシミュレーションの精度を上げていくことが重要だ。仮にそれができないと、そのまま予選、スプリント予選に突入しかねないからだ。次戦ではそうしたシミュレーションと最適化が鍵になると思う。 (レース形式の)スプリント予選が入ってきてどういうGPになるかはやってみないと分からないところがあるので、考えられることを想定して対応して臨みたいと考えている。F1第9戦オーストリアGP 決勝結果
順位 | 号車 | ドライバー | 車両 | 周回数 | タイム | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 33 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・レーシング・ホンダ | 71 | 1時間23分54秒543 | 26 |
2 | 77 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 71 | +17.973秒 | 18 |
3 | 4 | ランド・ノリス | マクラーレン・メルセデス | 71 | +20.019秒 | 15 |
4 | 44 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 71 | +46.452秒 | 12 |
5 | 55 | カルロス・サインツ | フェラーリ | 71 | +57.144秒 | 10 |
6 | 11 | セルジオ・ペレス | レッドブル・レーシング・ホンダ | 71 | +57.915秒 | 8 |
7 | 3 | ダニエル・リカルド | マクラーレン・メルセデス | 71 | +60.395秒 | 6 |
8 | 16 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 71 | +61.195秒 | 4 |
9 | 10 | ピエール・ガスリー | アルファタウリ・ホンダ | 71 | +61.844秒 | 2 |
10 | 14 | フェルナンド・アロンソ | アルピーヌ・ルノー | 70 | +1周 | 1 |
11 | 63 | ジョージ・ラッセル | ウイリアムズ・メルセデス | 70 | +1周 | 0 |
12 | 22 | 角田裕毅 | アルファタウリ・ホンダ | 70 | +1周 | 0 |
13 | 18 | ランス・ストロール | アストンマーティン・メルセデス | 70 | +1周 | 0 |
14 | 99 | アントニオ・ジョビナッツィ | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 70 | +1周 | 0 |
15 | 7 | キミ・ライコネン | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 70 | +1周 | 0 |
16 | 6 | ニコラス・ラティフィ | ウイリアムズ・メルセデス | 70 | +1周 | 0 |
17 | 5 | セバスチャン・ベッテル | アストンマーティン・メルセデス | 69 | DNF | 0 |
18 | 47 | ミック・シューマッハ | ハース・フェラーリ | 69 | +2周 | 0 |
19 | 9 | ニキータ・マゼピン | ハース・フェラーリ | 69 | +2周 | 0 |
NC | 31 | エステバン・オコン | アルピーヌ・ルノー | 0 | DNF | 0 |
※マックス・フェルスタッペン選手に最速ラップポイントとして1ポイント追加
ドライバーランキング(F1第9戦オーストリアGP終了後)
順位 | ドライバー | 国 | 車両 | ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | マックス・フェルスタッペン | NED | レッドブル・レーシング・ホンダ | 182 |
2 | ルイス・ハミルトン | GBR | メルセデス | 150 |
3 | セルジオ・ペレス | MEX | レッドブル・レーシング・ホンダ | 104 |
4 | ランド・ノリス | GBR | マクラーレン・メルセデス | 101 |
5 | バルテリ・ボッタス | FIN | メルセデス | 92 |
6 | シャルル・ルクレール | MON | フェラーリ | 62 |
7 | カルロス・サインツ | ESP | フェラーリ | 60 |
8 | ダニエル・リカルド | AUS | マクラーレン・メルセデス | 40 |
9 | ピエール・ガスリー | FRA | アルファタウリ・ホンダ | 39 |
10 | セバスチャン・ベッテル | GER | アストンマーティン・メルセデス | 30 |
11 | フェルナンド・アロンソ | ESP | アルピーヌ・ルノー | 20 |
12 | ランス・ストロール | CAN | アストンマーティン・メルセデス | 14 |
13 | エステバン・オコン | FRA | アルピーヌ・ルノー | 12 |
14 | 角田裕毅 | JPN | アルファタウリ・ホンダ | 9 |
15 | キミ・ライコネン | FIN | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 1 |
16 | アントニオ・ジョビナッツィ | ITA | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 1 |
17 | ジョージ・ラッセル | GBR | ウイリアムズ・メルセデス | 0 |
18 | ミック・シューマッハ | GER | ハース・フェラーリ | 0 |
19 | ニキータ・マゼピン | RAF | ハース・フェラーリ | 0 |
20 | ニコラス・ラティフィ | CAN | ウイリアムズ・メルセデス | 0 |
コンストラクターランキング(F1第9戦オーストリアGP終了後)
順位 | チーム | ポイント |
---|---|---|
1 | レッドブル・レーシング・ホンダ | 286 |
2 | メルセデス | 242 |
3 | マクラーレン・メルセデス | 141 |
4 | フェラーリ | 122 |
5 | アルファタウリ・ホンダ | 48 |
6 | アストンマーティン・メルセデス | 44 |
7 | アルピーヌ・ルノー | 32 |
8 | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 2 |
9 | ウイリアムズ・メルセデス | 0 |
10 | ハース・フェラーリ | 0 |