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F1で30年ぶり4連勝後のホンダF1 山本雅史MDと田辺豊治TDが会見 最後のシーズンだからこそ「記憶に残るシーズン」として終えたい

2優勝したマックス・フェルスタッペン選手の表彰台の下から拍手を送るホンダF1 マネージングディレクター 山本雅史氏(左)とホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏

 6月27日(現地時間)に決勝レースが行なわれたF1シュタイアーマルクGP(オーストリア シュタイアーマルク州 レッドブル・リンク)では、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手がポール・ポジションからスタートして、一度も首位を譲ることなくそのまま優勝した。フェルスタッペン選手は先週末のフランスGPに続く2連勝で、ホンダパワーユニット(PU)としては、アゼルバイジャンGPでのセルジオ・ペレス選手の優勝を挟んでモナコGPのフェルスタッペン選手の優勝から4連勝となった。

 ホンダが供給するパワーユニットを搭載した車両がF1で4連勝するのは、1991年の故アイルトン・セナ(マクラーレン・ホンダ)の開幕4連勝以来の30年ぶりとなる。

F1第8戦シュタイアーマルクGP、レッドブル・ホンダのフェルスタッペンが独走で2連勝 ホンダは1991年以来の4連勝

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1334321.html

 これで、ライバルとなるメルセデスとの戦績は8戦して5勝3敗、ポイントでもフェルスタッペン選手がドライバー選手権、レッドブル・レーシングがコンストラクター選手権で首位を維持し、かつどちらにおいてもリードを拡大して、この週末に同じレッドブル・リンクで行なわれるオーストリアGPに臨むことになる。

 レース終了後には、ホンダF1の2人の首脳陣、ホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏、ホンダF1 マネージングディレクター 山本雅史氏の2人によるオンライン会見が行なわれたので、その模様をお届けしていく。

Race Highlights | 2021 Styrian Grand Prix

ホンダパワーユニット勢は4台中3台完走、3台入賞。ポールトゥウインを実現と力強いレースだったと田辺TD

──それでは田辺TDから今日のレースの振り返りを。

田辺氏:21年シーズンで5勝目、モナコGPから4連勝を実現した。予選でもメルセデスのルイス・ハミルトン選手にコンマ2秒という大差をつけてポールを獲ったマックス・フェルスタッペン選手が、最終的には2位のハミルトン選手が最後にピットに入ったこともあり大きな差をつけてトップでゴールして優勝した。力強い予選、決勝が展開でき、素晴らしい優勝だった。

 今回のレースでは2チーム4台すべてがQ3に進むなどよい形で予選までを終えることができていたが、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー選手が残念ながら早々にリタイアになってしまい、レースでの力強さをみせることはできなかった。

 レッドブルのもう1台、セルジオ・ペレス選手はピットでのタイムロスがあり、ボッタス選手に抜かれてしまい、それが響いて4位のままでゴールを迎えることになった。今のF1では前のクルマにつくとオーバーテイクすることが難しく、タイヤがオーバーヒートして抜けない傾向がある。そのため途中で戦略を変更して臨んだが、惜しくも0.5秒差で敗れた。

 角田裕毅選手は8位で予選を終えたが、3グリッド降格ペナルティもあり、11位からスタートした。周囲のクルマがミディアムなのに対して、中古のソフトで臨まないといけな中、ソフトからハードに乗り換えるレースをしっかり走りきって10位でゴールしてポイントを獲得してくれた。

 ホンダ車4台中3台が完走し、3台ともに入賞というオーストリアでの1戦目を終えることができた。来週もここでレースがあり、金土日のデータをしっかりと見直して来週に臨みたい。来週は温度も変わってくるかもしれないし、タイヤのアロケーションが変わるのに合わせてセットアップなども見直して、ここでの2連戦が締めくくれるように準備していきたい。

──レッドブル・ホンダ初優勝の地(筆者注:2019年)のレッドブル・リンクで、レッドブル・ホンダとしての10勝目を実現した。ホンダとしてこの2年間とちょっとで、変わったのはどんなところか?

田辺氏:ホンダとしてはパワーユニットを進化させてきた。レギュレーションで使えるユニット数も決まっており、信頼性とICEとERSの出力を合わせた出力と使い方によるパフォーマンスを追求してきた。他社のパワーユニットの使い方やパフォーマンスなどからさまざま学んでいる。マネジメント、バックオフィス、ミルトンキーンズのメンバー、そして現場、すべての面で向上があったと思っている。

──フェルスタッペン選手には、19コーナーでBBW(ブレーキバイワイヤ)のトラブルがでていたようだが、影響はなかったのか?

田辺氏:詳しくはチームに聞いていただきたいが、他には影響はでていない。パワーユニットには全く影響はなかった。

──今日は余裕をもってレースができたか? 気持ちに余裕があるか?

田辺氏:2次曲線とはいわないけど、曲線的にプレッシャーは高まっている。常にそうしたことの繰り返しで、どこまでも高めていきたいと思う。

レッドブルの地元で完勝、レッドブルもホンダも次はホンダの地元である鈴鹿でいいレースを見せたいと山本MD

山本氏:エンジニアリングを見ている田辺が総括してくれているが、僕は客観的に見ているところもあるので、総じて言うと、昨日の予選は久々にレッドブルのホームコースということもあるし、いろいろな話があって緊張がある予選だった。

 その中でフェルスタッペン選手の走りは、1人だけ3秒台と圧巻だった。今日のレースもポールトゥウインで、圧巻なレースだった。すべての現場の人に感謝したい。

 だが、やはりルイス・ハミルトン選手は手ごわいし、今日もレース後にトト(トト・ウォルフ氏、メルセデスF1チーム代表)に合ったが、ホンダが本当によくなったと褒めていただいた。しかし、依然としてメルセデスとは拮抗した状況が続いており、1戦1戦確実に戦っていかないといけない。

 この後月曜日は少しゆっくりした後、水曜日から次のレースに向けた準備をしていく。次戦では1スペック分ソフト側にタイヤの割り当てが変わるので、面白いレースになると予想している。そんな中今回のレースに優勝できたことで、1991年以来の4連勝となり、次は1988年の黄金時代かなんていう話を広報担当と冗談で話していたところだ。

 角田選手に関して、厳しいご意見があることは承知しているが、今回のレースでは、個人的には厳しい判定だとは思うがグリッド降格のペナルティはあったものの、3日間ミスなく週末を過ごすことをまた1つ勉強した。

 そして11位からスタートして10位でポイントを持って帰ってきたのはよかった。本人の悪い癖でやらかしてしまうことをなくせば、よい週末を過ごすことができると実証できた。

──ヘルムート・マルコ氏が表彰台に上がっていた。彼は50年前のオーストリアGPでデビューしたが、彼が表彰台に上がった経緯などをご存じだったら教えてほしい。

山本氏:正直それは分からないが、今週末はとにかくマルコさんの機嫌がよく、オーストリアで行なわれたグランプリとしてはレッドブルが初ポールだった。クリスチャン(クリスチャン・ホーナー氏、レッドブル・チーム代表)の計らいもあるとは思うが、マルコさんがあんなに笑顔だったというのは非常によい光景だった。レッドブルの記念撮影のときもマルコさんの背中はビチョビチョだったが、それでもレッドブルのシャンパンも浴びるよと非常にご機嫌だったのが印象的だった。

──この4連勝はすごいことだが、その一方ホンダが今シーズン限りで撤退することには変化はないと思う。その状況の中で、山本氏の元にはホンダの社内からの反応はどう届いているか?

山本氏:日本にいらっしゃる方は見られている方もおられるかもしれないが(山本氏は欧州に行きっぱなしで、レッドブル・レーシングなどに帯同している)、先週末のレースではF1、Moto GP、スーパーフォーミュラ、インディカーシリーズもホンダが勝ったことを記念して、レッドブルとMoto GPのマシンが青山(ホンダ本社)に飾られていた。実際に優勝記念ポスターも作られ、それが役員室に貼られている様子なども東京の人達が写真として送ってきてくれている。

 社内のムードとしては、「このまま突き進んでほしい」という激励をもらったり、「こんなにいい結果なのにやめるのはもったいないよね」などと言ってもらっている。そうした声に応える意味でも、シーズンの最初に言ったとおり最後のシーズンだからこそ「記憶に残るシーズン」として終えたいと思っている。モータースポーツ部長をしている永井が、鈴鹿に向けてもしっかり準備してくれており、社内は盛り上がっている。

──ホンダについてはどんな感じでレッドブルのホームGPを迎えたか?

山本氏:1年ぶりにレッドブル・リンクに来て一番思うのは、普段レースで会わないレッドブルの首脳陣も来てくれている。そういう人たちが、レースに来てホンダに敬意を見せてくれている。ホンダ最後の年で、レッドブルには感謝の気持ちしかないので、このレースで勝ててよかった。

──1991年の4連勝のあとでは黄金期である1988年にどれだけ迫れるかとか、連勝どこまでのびるか?ということにも注目が集まると思うが、本当に大事なことはポイントを積み重ねていくことだと思うが……。

山本氏:そのとおりだ。91年の4連勝に並んだというのはすごいことで、88年はすごかったのでもうあんなことは二度と起こらないと思うが、1戦1戦大事にレースしていくことに尽きる。このチャンピオンシップをしっかり戦って生き残っていくことだ。それをしっかりレッドブルとホンダができれば結果はついてくると思う。88年うんぬんの話は、次はそれがそっちかなーなんていうことを広報と冗談で言い合った話をちょっと口が滑っただけなので半分聞き流してほしい。

──レッドブルのホームコースでよい結果が出せたのはいいことだが、今年の後半にはホンダのホームコースで日本GPが控えている。

山本氏:ホンダもレッドブルも今回はレッドブルのホームコースだということは強く意識していて、その中でよい形で勝ったことはチームの一体感がより強くなるだろう。来週も同じようなレースがうまくできるといいと思っている。この前クリスチャンと一緒にコーヒーを飲んでいるときに、彼は「鈴鹿は絶対やりたいよね」と言ってくれていた。この勝利でいい関係がさらに強くなると思うので、(鈴鹿に向けて)勢いが続くようなよいレースを続けて行きたし、われわれも鈴鹿でレースをやりたいと思っている。

シュタイアーマルクGPで優勝を飾ったマックス・フェルスタッペン選手

F1第8戦シュタイアーマルクGP 決勝結果

順位号車ドライバー車両周回数タイムポイント
133マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ711時間22分18秒92525
244ルイス・ハミルトンメルセデス71+35.743秒19
377バルテリ・ボッタスメルセデス71+46.907秒15
411セルジオ・ペレスレッドブル・レーシング・ホンダ71+47.434秒12
54ランド・ノリスマクラーレン・メルセデス70+1周10
655カルロス・サインツフェラーリ70+1周8
716シャルル・ルクレールフェラーリ70+1周6
818ランス・ストロールアストンマーティン・メルセデス70+1周4
914フェルナンド・アロンソアルピーヌ・ルノー70+1周2
1022角田裕毅アルファタウリ・ホンダ70+1周1
117キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ70+1周0
125セバスチャン・ベッテルアストンマーティン・メルセデス70+1周0
133ダニエル・リカルドマクラーレン・メルセデス70+1周0
1431エステバン・オコンアルピーヌ・ルノー70+1周0
1599アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ70+1周0
1647ミック・シューマッハハース・フェラーリ69+2周0
176ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス68+3周0
189ニキータ・マゼピンハース・フェラーリ68+3周0
NC63ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス36DNF0
NC10ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ1DNF0

※ルイス・ハミルトン選手に最速ラップポイントとして1ポイント追加

ドライバーランキング(F1第8戦シュタイアーマルクGP終了後)

順位ドライバー車両ポイント
1マックス・フェルスタッペンNEDレッドブル・レーシング・ホンダ156
2ルイス・ハミルトンGBRメルセデス138
3セルジオ・ペレスMEXレッドブル・レーシング・ホンダ96
4ランド・ノリスGBRマクラーレン・メルセデス86
5バルテリ・ボッタスFINメルセデス74
6シャルル・ルクレールMONフェラーリ58
7カルロス・サインツESPフェラーリ50
8ピエール・ガスリーFRAアルファタウリ・ホンダ37
9ダニエル・リカルドAUSマクラーレン・メルセデス34
10セバスチャン・ベッテルGERアストンマーティン・メルセデス30
11フェルナンド・アロンソESPアルピーヌ・ルノー19
12ランス・ストロールCANアストンマーティン・メルセデス14
13エステバン・オコンFRAアルピーヌ・ルノー12
14角田裕毅JPNアルファタウリ・ホンダ9
15キミ・ライコネンFINアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1
16アントニオ・ジョビナッツィITAアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1
17ジョージ・ラッセルGBRウイリアムズ・メルセデス0
18ミック・シューマッハGERハース・フェラーリ0
19ニキータ・マゼピンRAFハース・フェラーリ0
20ニコラス・ラティフィCANウイリアムズ・メルセデス0

コンストラクターランキング(F1第8戦シュタイアーマルクGP終了後)

順位チームポイント
1レッドブル・レーシング・ホンダ252
2メルセデス212
3マクラーレン・メルセデス120
4フェラーリ108
5アルファタウリ・ホンダ46
6アストンマーティン・メルセデス44
7アルピーヌ・ルノー31
8アルファロメオ・レーシング・フェラーリ2
9ウイリアムズ・メルセデス0
10ハース・フェラーリ0