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三菱ふそうと米Wise Systemsが業務提携 AIと機械学習で配送計画を自動作成する「ワイズ・システムズ」説明会
2021年7月15日 18:52
- 2021年7月15日 発表
AIと機械学習で配送計画を自動作成する「ワイズ・システムズ」国内販売開始
三菱ふそうトラック・バスは7月15日、米Wise Systems(Wise Systems Inc.)との業務提携で、AI(人工知能)と機械学習を活用して運送事業者が行なっている配送計画を自動作成するシステム「ワイズ・システムズ」を、2021年第4四半期より販売開始すると発表した。
今回、三菱ふそうが販売を開始する「ワイズ・システムズ」は、AIと機械学習を活用して、配送ルートやトラック、ドライバーを選定して、最適な配送計画を自動作成するシステム。クラウドやスマートフォンベースのソフトウエアとなっており、作成した配送計画はドライバーの端末へ配信される。配送オーダー、荷物、ドライバーや車両、交通状況といった配送に関連する情報が取り入れられており、リアルタイムで配送状況の追跡や進捗を確認できるようにした。
ワイズ・システムズの導入により、従来では複雑で属人的な業務オペレーションを電話やFAX、エクセルなどで個別に対応していたものを、ワイズ・システムズによってすべての情報が可視化され、レポートとして見られるので車両の稼働率や業務効率の向上につながるという。
米国での実績で平均で走行距離15%削減、稼働率20%向上、配送遅延を最大80%解消
同日に記者発表会が開催され、Wise Systemsとの業務提携について、三菱ふそうトラック・バス トラックアジアコネクティビティ デジタルサービス部長のピーター・ファイグラー氏は、日本の物流業界が抱える多くの課題として、ドライバー不足、長時間労働、環境負荷の低減(CO2排出量の削減)、稼働コストの削減、アナログで手間の掛かる配送計画や配達報告作業、アナログな手法によるドライバーへの配送指示などがあると指摘。
ワイズ・システムズを導入することで、米国のユーザーの実績として、平均で走行距離を15%削減、稼働率を20%向上、配送遅延を最大で80%解消した実績があることを紹介。ワイズ・システムズのサービスは、三菱ふそうのトラックに限らず、すべてのブランドのあらゆる種類の車両で利用可能なサービスとなっており、ラストワンマイル配送を最適化する配送計画システムであることを強調した。
日本導入に向けてパイロットユーザーのフィードバックを取り入れた
Wise Systems共同創設者兼CEOのチャズ・シムズ氏は「三菱ふそうトラック・バスと共同で当社の製品を日本のお客さまに提供できることを光栄に思います。両社は、お客さまをより成功させることに重点を置いています。ダイナミックなオペレーションと、ドライバー、配車担当者、エンドカスタマー向けの直感的で高品質な機能を組み合わせることで、市場での優位性とクラスリードのラストワンマイル配送をご提供します」とのコメントを示すとともに、オンラインで参加した会見の中で「(日本導入に向けて)私たちは三菱ふそうとともに、過去数年間パイロットユーザーと協力して、取り組んでまいりました。そしてフィードバックをいただき、そのフィードバックを取り入れており、ワイズ・システムズが開拓した自動化の恩恵を受けることができると信じております」と日本導入に向けた自信を示した。
使えば使うほど賢い提案をして性能を高めていくワイズ・システムズ
ワイズ・システムズのサービス概要については、三菱ふそうトラック・バス 国内販売・カスタマーサービス本部 営業推進部 部長の砥上健司氏から説明があり、ワイズ・システムズの機能は、AIと機械学習によって車両オペレーションに関わるリアルタイムのデータを継続的に学習することで、稼働率、パフォーマンス、顧客サービスを継続的に改善して、その性能を高めていくことが特徴であると説明された。
例えば、配車、配送計画の策定の段階で、ある事務所に配送する時間を15分と計画していながら、実際にはクルマを停める場所やエレベーターの関係で、配送までに20分かかった場合、そのようなケースは次回以降、計画の段階に自動的にそれらを考慮した計画を策定していくという。
砥上氏は「ワイズ・システムズのAI、機械学習は、配車、配送の計画の自動化、ドライバーや荷物を持っているお客さまにリアルタイムで最新の情報を提供するだけでなく、独自のアルゴリズムで学習をしておりますので、使えば使うほど賢い提案をして、配車、配送業務、ドライバーの皆さんの業務効率を自動的に改善していきます」と解説。従来、ベテランの配車担当者が長年の経験で行なっていたルートの提案を、機械学習によって頻繁に利用するルートなどを学ぶことで、回数を重ねるごとに効率的な配送計画の提案を可能にしたことを強調した。
ワイズ・システムズの導入で、配送担当者は日々のルート計画に要する時間を短縮できるほか、配送状況を可視化することで車両の稼働や配送状況をリアルタイムで把握できるようになり、ドライバーはスマートフォンのアプリで配送ルートの確認や荷物の配達完了通知を簡単に実行できるようになる。また荷物を受け取るエンドカスタマーも、配送状況をリアルタイムで把握でき、到着予定時間も受取日にあらかじめ把握できるとしている。
なお、導入価格については、砥上氏は「初期導入費用のターゲットとして、配車担当者へのトレーニングも含めて100万円以下で導入いただくことを考えており、基本的には配車担当者と配送ドライバーの方をセットで業務効率化していきましょうということで、ドライバー1人あたり5000円以下の月額で、1年間契約のような形で契約をさせていただくことを目指して、今準備を進めているところです」と回答した。